2025年12月1日月曜日

日本はなぜ中国に舐められるのか?

 

日中関係の根本は変わっていない

~ 15年越しの考察

いま、日中関係が再びぎくしゃくしています。何も目新しいことではないように思います。いま起きている現象は、15年前に私が感じていた懸念とほとんど同質のものです。むしろ、あの頃より見えにくく、複雑になり、深刻になっています。

この15年間、中国も日本も世界も大きく変化しました。中国はさらなる経済成長を遂げ、日本は国際政治の舞台で後退を続け、アメリカの戦略も様変わりしました。しかし日中関係の根本だけは、驚くほど変わっていません。

私は1970年代、文化大革命の真っ最中の中国に強い関心を抱きました。以来50年以上観察してきましたが、中国に対する本質的認識はいまも変わりません。ここで言う「中国」とは、言うまでもなく1949年に成立した中国共産党の国家です。党が統制し、歴史も情報も意思決定も一元的に管理する社会です。この前提を理解しなければ、日中関係は永遠に見誤ると思います。

いつも腹立たしいのは、日本国内の言論人と称する人々が、同じ思い込みを繰り返してはメディアで声高に叫び続けることです。視聴率しか興味のないマス・メディアも同罪です。そこには見識も歴史観も倫理観もありません。ウソと情緒とプロパガンダに対しては、冷静な真実の積み重ねによってしか対抗できないはずなのに、国内の議論はますます浅く軽くなっています。

中国人の反日感情はどう作られるのか

15年前、私は自社の上海オフィスの中国人コンサルタント(いわゆる“80后”)から、このようなコメントを聞きました。

子供のころは日本を嫌っていない。しかし、学校教育で植え付けられたイメージが、事件が起きた瞬間に思い出されるだけなのです。

つまり反日感情は常に燃えているわけではなく、引き金さえあればいつでも再燃します。国民感情は政府の統治手段の一要素なのです。

2005年の反日暴動も、尖閣の衝突事件も、まさにその構図が露骨に現れた事例でした。私は当時こう書きました。

「歴史とは勝者が書き換えるものである。現在を制する者は過去を制し、過去を制する者は未来を制する」。

オーウェルの『1984年』の一節です。この構造は今も変わっていません。

中国の問題、日本の問題

私は当時の反日騒動について、二つの理由を挙げました。一つは中国国内の社会不安です。所得格差、失業、汚職。国民の不満を逸らすには、外敵をつくるのがもっとも簡単で効果的な手法です。これは共産党統治の本質であり、今も全く同じ構造が続いています。

もう一つは日本の弱さです。政治の機能不全、経済力の低下、そして何よりも国家としての自信の喪失です。15年前の私はこう書きました。

日本が弱くなればなるほど、近隣諸国は元気が出てくる。

そしてこの構造もまた、全く変わっていません。もちろん、そこにはアメリカの外交戦略の意思があります。

日本社会の危うさ

私が危惧していたのは、中国の強硬姿勢そのものではありません。日本の側にある精神的崩壊です。外交と芸能ニュースを同列に扱うメディア、歴史認識を失った政治家、国家としてのビジョンも誇りも示せない社会。国民の心はすり減り、視野は狭くなり、余裕が無くなっています。

15年前の私はこう書いていました。

この国は国家としての誇りや気骨をどう取り戻すのか?

その問いは今も答えが出ないままです。むしろ当時より深刻になっています。

結局、何が変わっていないのか

私が観てきた50年以上の中国、そして日中関係を振り返ると、次のことだけは確信を持って言えます。

日中の緊張は、事件や偶然で起きるのではなく、構造から必然的に生じるのです。

中国側の統治構造、歴史教育、国家戦略。
日本側の精神的な弱さ、政治の失策、メディアの劣化。

15年前も、今も、問題の根本には何も変化がありません。

本稿をまとめながら、ひとつだけ希望を述べるとすれば、それは日本人が自国を知り、相手を知ろうとする姿勢を捨ててはいけないということです。孫子は言いました。

「知己知彼、百戦百勝」。

これは戦争の論理ではなく、外交にも国際社会にも通じる普遍の智恵です。

日中関係はこれからも形を変えながら続いていくでしょう。しかし、本質を見誤らなければ、危機は必ず乗り越えられるはずです。真実に誠実であろうとする姿勢だけが、プロパガンダと歴史の改ざんを超える唯一の道なのです。

駐日総領事・薛剣のXにおける暴言や、王毅外相に代表される日本に対する態度は、日本政府が招いたものです。つまり、日本を舐めている中国共産党を生み出したのは、日本の政治であり、事なかれ主義の敗戦後の日本精神なのです。

果たして、高市新政権はどこまで軌道を修正できるのでしょうか。

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