2025年12月14日日曜日

2番ドローに追いつけないまま


ブルースは完成せえへん。
せやから五十年、

2番ドローの途中に
居場所があった。

ブルースハープ(10穴のハーモニカ)っちゅうモンはな、まず 2番ドロー(吸音) をモノにせんことには始まらんのや。

ベンドっちゅう技は、音をグッと下げて、あのブルージーな“泣き”を出すための、いわば 魂の呼吸 や。せやけどな、そいつを自由に操ったら天下取れる。

なんでや言うたら、リトル・ウォルターちゅう男、あいつはもう 2番ベンドの化けモン やったからや。10穴しかないハープでもやな、ひとつの穴で3つの音、それに無限のニュアンスや。

デジタルちゃうで。全部、口と腹ん中と心ん中で作る“生(なま)の音”や。これがアナログのええところなんや。

ほんでな、『Juke』や。

ウォルターはんの全米No.1のあの曲や。あれの3コーラス目聴いてみい。2番ベンドを“散歩するみたいに”ヒョコヒョコと行ったり来たりしよるんや。通常吸い→半音落とし→全音落とし、この3つを、シャッフルに乗せて気持ちよ〜く揺らすんや。

あんなん、並の人間ができる芸やあらへんで。ワイはな、50年やってもまだでけへんのよ。

🎵 🎵 🎵 🎵 🎵

2番ドロー・ベンドのカラクリ

2番ドローは普通吸うたらCのハープで「ソ」っちゅう音が出るんやけどな、ベンド入れたら 最大全音下げて「ファ」まで潜れる んや。その間の「ファ#」? もちろん出せる。出せんとブルースにならんわ。あれはな、口ん中の空間いじって、ふたつのリードを同時に共鳴させるワザや。高いほうのリードだけやなく、低いほうのリードも鳴らして、無理やり音程を沈める。ほんで初めて、あの“泣き声”が出よるんや。

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