2025年12月23日火曜日

人生後半の消費行動についての一考察

 

8年ぶりに携帯替えたんや。替える気? さらさらあらへん。
ただな、充電が怪しなってきてな。人も機械も、まず電源からガタくるんや。

「まあ相談だけしたろか」とショップ予約した時点で、もう負けやった。

人生初のiPhone。
言うとくけど、最新機能なんか要らん。
アプリ使わん。電子マネー使わん。QR? 老眼で見えへん。
写真と動画、それだけ撮れたら十分や。

……せやのに気ぃついたら、
えらい高い板切れ持たされとった。

値段聞いて思わず言いかけたわ。
「兄ちゃん、桁まちごてへんか?」

まちごてへんかった。
しかも店員4人、全員そろって高飛車。
親切ゼロ、説明早口、質問したら面倒くさそう。
年寄りはどうやら「お客」やのうて「処理対象」らしい。

時間かかる、説明長い、同意書多い、値段アホ高い。
――これ買い物ちゃう、儀式や。

本体で心折れたけど、ケースとストラップはアマゾン。
二つで1万円。もう一回言うで。紐で1万円や。

びっくりやけど、なぜか買うてもうた。
クリスマスやしな。歳とると、無駄遣いの理由を季節のせいにするんや。

今はそのiPhone、首から下げて歩いとる。
オレンジのケースに、頑丈な紐。
実用性? ある。落下防止? 完璧。見た目? ……派手や。

正直に言うわ。
ジージ、けっこうウキウキしとる。

高い、面倒、店員も気に入らん。
せやけど新しい道具持つと、ちょっと若返るんや。

首から揺れるiPhone見て、
「まだ枯れとらんで」と自分に言うとる。

合理性?
とっくにどっか行っとる。

せやけど人生の後半戦に要るんは、
合理性やのうて、ちょっとした嬉しさ
や。
たとえそれが、1万円の紐と、クソ高い板切れでもな。

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