60代も後半になってサキソフォンを始めたのですから、これはもう立派な人生の冒険です。しかも私のサックス人生、スタート地点からして少しばかり変わっています。
きっかけは、息子が小学生のころ吹いていたサキソフォンを処分しようとしたことでした。27年前、ニューヨークのホワイトプレインズにあるサムアッシュで800ドルで買った初心者モデルです。それを昨年、山野楽器を通してヤマハに修理を依頼したのですが、3~4か月後、蘇ったのかどうかは分かりませんが、とにかく戻ってきました。修理費は98,000円。800ドルのサックスを二度目に買ったような気分です。
そして思ったのです。「これは修理費の元を取らねばいけない」と。そこから私のサキソフォン修行が始まりました。私の場合、動機はいつでも不純です。一年が経ちました。修理したとはいえ、サキソフォンにも2025年型と1998年型のジェネレーションギャップがありまして、なにかと手がかかります。昔のサックスにはハイF♯キーがないとか、タンポがくっつきやすいとか、ただでさえ下手くそな私をさらに追い込んできます。思わぬ音が突然鳴るたび、私の心のタンポもくっついてしまうのです。
そこで私は一年間考え続けました。そしてついに決断しました。新しいサキソフォンを買うことにしたのです。しかしここで新たな試練です。この3〜5年でサックスの価格がほぼ倍に跳ね上がっているではありませんか。「弘法筆を選ばず」という言葉が脳裏をかすめました。しかし、決断力があるところを家人にも示さねばならない。
問題はどの仕上げ(フィニッシュ)を買うかです。一般的なゴールドラッカーか、経年変化を楽しむアンラッカーか。ここで、古希直前の私の脳に新たな懸念が芽生えます。
「アンラッカーの渋い経年劣化が出るまで、自分の健康寿命はもつのだろうか?」
サックスの変化と私の健康寿命の競争です。人生というのは、まさかサキソフォンの酸化という化学反応と競争することになるとは思いませんでした。ちなみにアンラッカーはメーカーからの取り寄せです。クリスマスまでに届くかもしれません。指折り数えて待っている時点で、もう立派なサックス愛好家です。
サキソフォンにも性格があります
サックスのラッカー仕上げとアンラッカー仕上げには、それぞれ性格があります。
ラッカー仕上げは塗膜で保護されていて、光沢があり、扱いやすいです。吹奏楽色が強い標準です。一方、アンラッカー仕上げは塗膜がなく、金属そのまま。吹けば吹くほど酸化して渋くなり、ヴィンテージ風に育っていく。「使い込んだ革靴」のような存在……と言われています。
新品の時点ではどちらもピカピカのゴールドです。問題はその後です。アンラッカーは空気や手の油、湿気とすぐ仲良くなります。数ヶ月から数年で変色し、独特の風合いになります。一方ラッカーはきちんと手入れすれば新品の輝きを保ち続けます。
つまり、
ラッカー:長く若々しいままの美しさ
アンラッカー:年月を重ねた深み(が出てくると思われる)
そんな違いがあります。
メンテナンスも異なります。ラッカーは比較的気楽です。アンラッカーはこまめなお手入れが必要です。その分、育てる楽しみがあります。まるで吹奏楽団の中に、自由奔放な変わり者が座っているようなものです。
ラッカー派か? アンラッカー派か?
ラッカー仕上げは塗膜で保護されていて、光沢があり、扱いやすいです。吹奏楽色が強い標準です。一方、アンラッカー仕上げは塗膜がなく、金属そのまま。吹けば吹くほど酸化して渋くなり、ヴィンテージ風に育っていく。「使い込んだ革靴」のような存在……と言われています。
新品の時点ではどちらもピカピカのゴールドです。問題はその後です。アンラッカーは空気や手の油、湿気とすぐ仲良くなります。数ヶ月から数年で変色し、独特の風合いになります。一方ラッカーはきちんと手入れすれば新品の輝きを保ち続けます。
つまり、
ラッカー:長く若々しいままの美しさ
アンラッカー:年月を重ねた深み(が出てくると思われる)
そんな違いがあります。
メンテナンスも異なります。ラッカーは比較的気楽です。アンラッカーはこまめなお手入れが必要です。その分、育てる楽しみがあります。まるで吹奏楽団の中に、自由奔放な変わり者が座っているようなものです。
ラッカー派か? アンラッカー派か?
一般的な扱いやすさや外観ならラッカー仕上げ。金属の鳴りや経年変化を楽しみたいならアンラッカーです。私の場合は、人生の残り時間と楽器の変化のスピードを比べるという、なんとも哲学的な選択になりました。
でも、こうして悩んだり迷ったりする時間こそが、サキソフォンという楽器の魅力でもあるのだと思っています。楽器は単なる道具ではなく、人生の相棒です。
大切なのは毎日吹くこと。下手でもいい。突然変な音が鳴ってもいい。修理費の元を取るために始めたサキソフォンですが、気づけば私の生活のリズムと呼吸を整えてくれる存在になりました。
そして、クリスマスに届くであろう新しい相棒を思い浮かべながら、今日も私は音を外しながら練習を続けています。
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