2012年3月30日金曜日

新しい iPad を手に入れた!


新しい iPad を手に入れました。 巷で言われているようにカメラの性能がいいですね。 上の写真は薄暗い中で机の上を撮影したものです(私は写真はカメラで撮りますが)。

Man-Machine Interface、つまり、人とコンピュータの関係ってここまで進化したのですね。 スマートフォンも使っていない私としては驚きです。 iPadの操作性は、一度使うと病みつきになるのは間違いありません。 ノートブック パソコンを見るとダサく感じます。

一番大きなメリットは、ハードディスクに展開する膨大なファイル・システムがないことです(新しいiPadだけと言う事ではなく iPad1も2も同様)。 場所があるから在庫が積みあがるのと同様で、私は身軽な環境は大賛成です。 でも、整理整頓好きな日本人のビジネスパーソンは寂しく感じるのではないですか?  保守性の強い組織であれば、セキュリティは少し気になるかもしれません。 

問題は、ネットワークにつながらない場合です。 ネットにつながらないと単なるデジタルフォトフレームとして使えばいいか、、、。

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2012年3月29日木曜日

覚悟はあるか?


夏目漱石は、『模倣と独立』(大正二年)の講演を、「人と一緒になって人の後に喰っ付いて行く人よりも、自分から何かしたい、こういう方が今の日本の状況から言えば大切であろうと思うのであります」と締めくくっています。 そして、「覚悟を以てわれわれは進んでいくべきものではないかと思う」と言っています。

私なんて、ずっと「nothing to lose」という感覚が強かったものですから、中味がなくても形式が整っていなくても、わずかばかりですが、覚悟だけはあったと思います。

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2012年3月28日水曜日

卒業 ~ これから始まる!

卒業式

新渡戸稲造の『武士道』の凄いところは、欧米人に対して「日本人には宗教心がなくても武士道がある」とロジカルに説明したところです。 キリスト教では神と人間の関係は契約で、人間は神に対して絶対の服従です。 ここがホウレンソウ(報・連・相)の報告が義務(fiduciary duty)である所以です。 キリスト教徒である新渡戸が、宗教の力を借りなくても日本人には義務を果たす精神(背骨)がちゃんと一本通っていると主張します。 それが武士道であると。

今の日本は、新渡戸が言う武士道の精神なんてドロドロになって蒸発しちゃったのでしょう。 利己的で、つながりの稀薄な国になってしまった。 ところが、ネットの世界でバーチャルなつながりを求めます。 他者に関わる面倒は嫌だけど、一人で不安な状態でいるのも困るという訳でしょうか?

新渡戸稲造は『武士道』で、「克己(こっき)」(自分に克つ、self-control)を説明しています。 義から始まり、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、武士の教育と訓練、そして、最後が克己です。 私欲を克服するということです。 ストイックなまで自分に克つ努力をしないといけない。 このあたりは、ストア派の哲学ですね。 もっとも、今の日本には宗教以前に哲学がないのだから、ストイックなんて誰も考えないのでしょうが、、、。

とにかく、

Let's get the show on the road !

卒業、おめでとう!

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2012年3月27日火曜日

克己する

早咲きの桜(JR三鷹駅南口)

克己復礼為仁(克己復礼を仁と為す)。

克己(こっき)とは自分に打ち克つ、つまり、self-controlのことです。 自分に克ち、他者に対しては礼を重んじる。 それが仁となる。 孔子も孟子もリーダーの必要条件は仁だと言っていますね。 自分に厳しく他者に対して思いやりとか愛情で接することです。

孔子は言います。 「礼にはずれたことを見たり、聞いたり、言ったり、したりしてはいけない」。

あっちを見てもこっちを見ても、礼にはずれることばかりじゃありませんか! どうしましょう? 克己して、出来る限り賢い人たちと付き合うことですね。

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2012年3月26日月曜日

バランスシート重視の生き方

照顧脚下 ~ ibg 上海オフィスの玄関

宗教心が稀薄で、武士道のような精神的な支柱みたいなものがない現状で、「照顧脚下」は日中の若者にどう解釈されるでしょうか? 脚もとを見て、背骨をしっかりとしたものにできるのでしょうか?

先週の blog 高橋是清で言いましたが、若い人には損益計算書(PL)でなくバランスシート(BS:貸借対照表)重視の生き方をしてもらいたいものです。

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2012年3月23日金曜日

知識や経験を上手にキャピタライズした高橋是清


高橋是清(1854年~1936年)は豪傑でした。国会の本会議でも茶碗に冷酒をいれて飲んでいたそうです。 二・二六事件において青年将校らに暗殺される少し前に書いた自叙伝の中で、「自分は楽観的な性格だった」と言っています。 過度に楽観的なのも困ったものですが、「楽観的」というのはリーダーの資質で重要なことだし、グローバルに活動する場合でも生き残るカギのような気がします。

大蔵大臣や総理大臣としての高橋是清は、多くの人が語りつくしています。 あまり知られていない若い頃を少々ご紹介することにします。

江戸の絵師の家に生まれた高橋是清は、生後まもなく仙台藩の足軽の家に養子に出されました。 12才の頃、お寺の小姓(雑用)をしていたら、仙台藩のお侍さんの目にとまりました。 このお侍さんは、福沢諭吉と懇意だったこともあり、様々な外国の事情を福沢から入手していました(高橋自伝によると、このお侍さんは「時勢に目覚めた人」)。 そして、 仙台藩から英仏の学問をする者を横浜に派遣しようということになった時、寺の小姓であった高橋是清を抜擢したのです。

13才の時に勝海舟の息子・小鹿(ころく)らと同じ船でサンフランシスコに渡ります。 ホームステイの先駆けですね。 幕末の日本は先見性のある藩は独身の若者(子供?)を海外に派遣しました。1860年代にはサンフランシスコ-香港-上海-横浜を結ぶ定期航路も就航していました。 高橋是清のホームステイはすんなりとは行かなかった。 留学斡旋業者みたいな横浜のアメリカ人貿易商にお金を着服されたり、ホームステイ先の夫婦に騙されて奴隷のように売られたりと散々な目にあいます。 それでも何とか明治元年(1868年)に帰国します。

しかし、このひどい目にあった経験で一気に成長したのでしょうね。 帰国後に出くわす困難な状況に対しても、持ち前の楽観的な性格と度胸で乗り切っていきます。 高橋是清の若い頃の武器は英語です。 英語を武器に職を得ていきます。英語という「知識(スキル)」の部分と度胸と楽観的な性格という「メンタル」な部分がうまくかみ合ったのでしょう。九州唐津藩で英語の先生の仕事をしているときも、石炭を積みに寄港した外国船と交渉して、外国人と会ったことがない生徒たちに英会話の実地研修をさせました。 また、当時は全国各藩で、智能弁舌の士が他藩に遊説し議論を闘わして相手を負かすことで面目とすることが流行っていたそうです。 藩対抗のディベート合戦ですね。 お隣の佐賀藩にいつもやり込められていた唐津藩を代表して高橋是清がディベートに登場、討論の結果、唐津藩の面目をたてることができ藩の人々を大いに喜ばせたそうです。

その後、初代文部大臣である森有礼の支援もうけて中央政治の世界に入っていきます。森有礼とはサンフランシスコで会っていたのでしょう。 英語の知識や若い時の海外での経験、人との出会いを上手にキャピタライズ(資本化)していきました。 短期的に人生を考えていたのでは資産・資本は積み上がっていきません。 高橋是清は自伝の中で「自分は運がいい」と言っていますが、私は上手に人生のバランスシートを運用した人だと思います。 二・二六事件で暗殺されても悔いはなかったのではないでしょうか?

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2012年3月21日水曜日

「ホウレンソウ」とC3


「ホウレンソウ」、つまり、報告、連絡、相談。 多くの人が社会人になった時に新入社員研修や先輩から教わることですね。 これは古今東西を問わず一番大事なことです。

私のバージョンは、真ん中に「自分との対話」があることです。 他者との対話の前に自分との対話、つまり、自分と向き合うことがあるということです。 これは、自分が納得しないと相手は説得できないという意味です。

コンサルタントの本質は「対話をしながら真理(問題解決)に近づく」です。 自分だけで考え結論に至っても(自分だけが納得しても)だめで、「報・連・相」と「自己との対話」のバランスが重要です。 知識や解決策を売るだけでは長続きはしないものです。

C3(command, control & communication)と言われるアメリカやNATO軍の指揮命令系統は「ホウレンソウ」と同じです。 生死をかけた戦争もベーシックはホウレンソウだということです。

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2012年3月18日日曜日

松方正義ってご存じですか?


小学校の学級会のような国会討論を聞いていて、高橋是清と松方正義を思い出しました。 高橋是清はみなさんご存じだと思います。 そこで、今回は松方正義について少々。 もしかしたら、今の政治家の中には松方正義をご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

日本の内閣総理大臣、初代から伊藤、黒田、山縣、そして四代目が松方正義です。 長州の伊藤、山縣、薩摩の黒田清隆と比較すると、あまり知られていませんね。 松方さんは、伊藤、黒田、山縣内閣でも大蔵卿/大蔵大臣(今の財務大臣)を務めています。

エドウィン・ライシャワーの奥様のハルさんは、松方正義のお孫さんでした。 もっとも松方正義は15男11女の26人の子持ちだったそうなので、何人のお孫さんがいたのでしょう。

松方さんは日本銀行を設立するなど日本の金融財政の開祖みたいな人です。 もともと薩摩藩の財政をきりもりしていた事務方ですが、フランスで国家の財政を勉強しています。 中央に出てくるまでに九州の日田県(明治時代の県で、現在の大分県、宮崎県、福岡県の一部)で県知事も経験しているのです。

松方の残した言葉に、「我に奇策あるに非ず、我は寧ろ奇策を忌む。唯正直あるのみ、正直に之を行へは人民必ず之を信せん」というのがあります。 現在では政治家そのものの意味が変化したのでしょうね。 松方に対しては、組織内の調整力が弱いから退陣に追い込まれたのだと否定的な意見もあるようです。 しかし、欧米列強のアジア侵略の中、日本を近代化させどのような国にするかを一生懸命考えた人たちの一人だったのでしょう。

ちなみに高橋是清は、若い頃、カリフォルニアで騙され奴隷のように農場に売られたこともあるそうです。26人の子持ちだった松方といい高橋といい昨今の政治家とは少々桁が違いますね。

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2012年3月15日木曜日

2012年3月14日水曜日

映画『七人の侍』から学ぶ

映画『七人の侍』(黒澤明監督 1954年)は戦国時代、野武士の略奪に困った百姓たちに雇われた七人の侍が、野武士の一団と戦う物語です。

チームビルディングの教科書

日本人が得意だと思っているけど、実は、非常に苦手な「チームビルディグ」の教科書のような映画です。 チームビルディングは、「Form(形成期) → Storm(混乱期) → Norm(通常期) → Perform(成果期)」の「Form」にあたる部分です。 メンバーが固定化する日本企業には馴染みがないかも知れません。 しかし、今後は日本でもプロジェクト毎に新しいメンバーと仕事をするというコンサルティング型が増えてくるでしょう。 今からでも意識しておいたほうが賢明です。

農民に防衛を委託された『七人の侍』のリーダーは、同じような性格や技術の侍を集めるのではなく、バラエティにとんだプロフェッショナルを7人集めます。 リーダーは、各人のプロフェッショナルとしてのスキルを確認した上で、付加価値を求めています。 バラエティはプラスアルファの部分ですが、チームとしてのバランスを考える上で非常に重要なポイントです。

七人の侍

千秋実が演じる平八、映画の中では最初に死んでしまいます。 リーダーは「こいつは侍の技量は中くらいだが、明るいから困難に陥ったときには役に立つのだ」と言い、チームへの参加を認めます。 平八のムードメーカーの部分をリーダーが評価してメンバーに入れた訳です。 どんな局面になっても、ユーモアの精神が大事なことを教えています。

加藤大介演じる七郎次が百姓に、「話すのはいい、話す方がいい、、、」と落ち込んでいる百姓に問いかけます。 加藤大介にうってつけの役だと思います。 三船敏郎の菊千代は、侍と百姓のコミュニケーションの橋渡しをいたる所で見せています。 侍と百姓という全く価値観の違うグループのインターブリッジ的存在です。

宮口精二の久蔵は凄腕の無口の剣客で、あまり他のメンバーとは交わりませんが、ちゃんと状況を見ていて、リーダーの指示がなくとも、さっと行動を起こして任務を完了して来る宮本武蔵みたいな奴です。 木村功が演じる若い侍は、久蔵を見て彼の強さと人柄に憧れます。 久蔵は修業中の若い武士(木村功)にとってのロールモデルです(カッコいいわけです)。

稲葉義男演じる片山五郎兵衛は、リーダーには優秀な参謀が必要であることを印象付けます。 どういった組織でもナンバー2の良し悪しが結果に大きく影響します。 志村喬は、七人の侍を率いるリーダーを演じています。 坊主頭をかく仕草が何とも愛嬌があり、器の大きさを現しています。

春は企業の新入社員教育の季節

『七人の侍』を観てグループ・ディスカッションしてはいかがでしょうか? グローバル人材の育成で苦労されている会社であれば有効だと思います。 海外プロジェクトの場合、「Storm」になることを前提として、いかに素早く「Form → Storm → Norm」の期間を乗り切り「Perform」に持って行くかが最初に乗り越えなければならない壁だからです。 この壁を意識しないで前に進もうとすると、プロジェクトは泥沼に陥る確率が高くなります。

この映画は、部課長研修でも有効です。 どういった視点でチームを組むかという勉強になるからです。 「人事部が送り込んできたから、、、、」という組織の作り方は欧米企業では考え難いですね。 自分の組織は自分で作る。 そのためにはクビを切る覚悟も必要になってきます。 日本の大企業の管理職は、スタッフを解雇した経験のある人は少ないですよね?

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2012年3月11日日曜日

(続)大衆の反逆

オルテガはスペインの哲学者で、『大衆の反逆』は1930年に刊行されました。 白水社から選書で再販されています。


大衆が社会を支配すべきではない。 もし支配するようになれば危機的な状況になり、そのことを『大衆の反逆』と言ったのです。 19世紀後半の指導者に対して「彼等の罪は自分の責任に対する不完全な自覚のことであり、この自覚の不足から警戒や見張りを続けることを怠ったのである」と糾弾しています。

今の日本にも同じことがいえませんか? 政治家が「国民のみなさまのために」というのを聞くたびに、オルテガの『大衆の反逆』を思い出してしまいます。 このブログで『大衆の反逆』を取り上げたのは震災前の2010年8月でした。

http://ibg-kodomo.blogspot.com/2010/08/blog-post_1636.html

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2012年3月10日土曜日

文明と文化の間

夕べの西新宿1丁目の交差点です。 傘の波に思わずシャッターを切りました。 新宿は311前のいつもの新宿でした。

1980年に入ってから『ライシャワーの日本史』は日本語版が出版されました。 30年ほど前のことです。

ライシャワーさんは、結びに「これまで以上に意思疎通に熟達し、心底から他国民との共同体意識をもつことが日本人に求められているのである」と警鐘を鳴らしています。 日本が世界に貢献できることは理論的にはいくつか考えられるが、それには日本人が克服しなければならないいくつかの課題がある。 それらは、際立った独自性をもつ言語の問題や、対人関係にみせる特有の流儀、自分たちはユニークだという思い込みの排除だと言っています。

ライシャワーさんは、当時の日本を「世界で最も安定した健全な大国として1980年を迎えた」と賞賛しています。 ライシャワーさんが今の日本を見たらどう思うでしょうか? かなり落胆されるでしょうね。 自分の愛するものに裏切られた、、、と。 勿論、世界情勢も30年前とは劇的に変化しました。 ライシャワーさんは、ソ連の崩壊や東西ドイツの統一、アメリカの弱体化や中国の急速な成長はご存じありません。

資本主義の行き着くところなのか、各国は自分勝手な行動に突っ走る傾向にあります。 しかし、今の日本は外の世界との関係ではなく内部崩壊ですからね。 私は、日本は文明と文化の間にあるギャップを上手にマネージすることが下手なのだと思います。 そもそも自分たちに向き合わないことに慣れてしまった日本人は自分たちの文化に無関心になってしまった。 高度成長期にもどれという意見があります。 でも私は種子島の鉄砲伝来の16世紀あたりに立ち返り、安土桃山から徳川時代を振り返ってみるのが将来へのヒントになるような気がしてなりません。 信長・秀吉・家康やその後の将軍や幕府(shogunate)の幹部たちは、文明と文化のギャップのマネージに長けていたと思います。










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2012年3月9日金曜日

英語力よりも大事なこと

ライシャワーさんの日本に対する見方のすごいところは、大きな流れをしっかりと捉えているところです。一人の人物や一つの局面をつまみ出し、都合のいいように脚色する日本のマスメディアのやり方とは大きく異なっている点ですね。

ライシャワーさんは、アメリカ人であるにも関わらず日本に対する愛情が非常に強かった。 16才まで育った日本が本当に好きだったのでしょう。 その上、歴史学者という研究者の視点、また、アメリカに対する忠誠心をベースにした外交官という視点があった。 中国にも詳しいし朝鮮半島の歴史にも精通している。 こういった多面的な視点があったからこそ、日本という島国の歴史を「流れ」として捉えることができたのでしょう。

「日本人は、外の世界に対して優越感か劣等感のいずれかにとりつかれているようにみえることがままある」(『ライシャワーの日本史』1978年初出)。

優越感と劣等感のいずれかにとりつかれる、これは、まさにコンプレックスのことですね。 このあたりのセルフ・コントロールができないと、英語や中国語がペラペラと喋れてもグローバルに活躍する人材だとは言えません。 文明(新しい技術)が伝わっても文化(心の部分)が育たないということになります。

マッカーサーが植えた赤坂乃木神社のハナミズキ

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2012年3月7日水曜日

エドウィン・ライシャワー ~ 日本とアメリカの架け橋

Mr. & Mrs. Reishauer

新渡戸稲造はアメリカ人女性を妻として『武士道』を書きました。 日本人女性を妻としたエドウィン・ライシャワー(1910 ~ 1990)の以下の著書も是非読んで欲しいものです。 これほど日本や日本人を理解していたアメリカ人はいないと思います。
  • 『ザ・ジャパニーズ』 文藝春秋、1979年。The Japanese, Belknap Press, 1977.
  • 『ライシャワーの日本史』 文藝春秋、1986年/講談社学術文庫、2001年。Japan The Story of a Nation, C.E. Tuttle, 1978.
ライシャワーさんは日本(東京白金)で生まれ育ち16才になって渡米しました。 日本とアメリカという二つの立場でモノを見る目が養われていました。 このことがその後の彼の生涯を決定付けました。 ハーバード大学教授、駐日大使、そして、日本人よりも日本の歴史や日本人をよく知る日本通のアメリカ人となっていきました。  奥様のハル(春)夫人は、第四代総理大臣松方正義(薩摩藩出身)の孫にあたり、ライシャワーさん同様、調布のアメリカン・スクール(ASIJ)の卒業生でした。

ライシャワーさんは、「江戸時代の日本が、色々と違った考え方を認める余地のある多様性を許す社会制度だった」と言っています。 秩序を保ちながら多様性を許した社会であったと賞賛しているのです。 日本人のアイデンティティを確立したのは徳川家康であり、300年近く続いた江戸時代が今日の日本の「民主主義」と「安定」の基礎となっていると言い切っています。

私も同感です( TVドラマ『水戸黄門』を見ているとよ~く分かりますよね!?)。 民主主義に関してですが、士農工商、様々な制約はあったにもかかわらず、それぞれの身分の中で自由裁量の幅を持っており、社会的な一つの自治組織であったのだとアジアの他の国と比べて日本の特徴を説明しています。

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2012年3月4日日曜日

人望について

人生の半分は武士だった福沢諭吉

『学問のすすめ』の最終回は「人望編」です。 「友達をいっぱいつくることが肝要である」と言っています。

いつの時代でも、どの国で仕事をするにも大切なことは、まわりの人たちに理解してもらい支持されることです。 これが「人望」であり「求心力」です。 仕事を決められた期日内に終わらせることだけがリーダーシップではありません。 時間と品質だけを管理するのが管理職の仕事ではないのです。 仲間に対する気遣いやリスペクトがないと、組織としての相乗効果は生まれないもので、メンバーに対しても、何でも言わせる雰囲気を意識的につくり出すこともリーダーの重要な仕事です。

実は、これはワーク・ライフ バランスでもある。 つまり、相手のライフも尊重するということです。 自分のライフだけを尊重し、他者に自己主張だけをするのは間違いです。 福沢さんが強調する「人間交際(じんかんこうさい)」、つまり、ソーシャルスキル(社交性)の欠如だと言わざるを得ません。

福沢さんは、「人望編」で以下のことに気をつけなさいと言っています(少しばかり私の拡大解釈、、、)。

  1. 言語をまなばざるべからず(日本人なんだから日本語をしっかり勉強しなさい)。
  2. 顔色容姿を快くして、一見、直ちに人に厭わるること無きを要す(表情は明るく服装は身綺麗に、外見で人に嫌われることのないようにしなさい)。
  3. 論語「道同じからざれば相与(とも)に謀らず」を誤解しないように(考えや主義主張が違う人ともうまく付き合いなさい、つまり、コンフリクトからも新たな発見があるかもしれないと言っているのではないでしょうか? さすが、「際(きわ)」の魔術師、福沢さんですね。

「学問のすすめ」の結びは、「人にして人を毛嫌いするなかれ」。 これは海外を見てきた福沢諭吉が日本人に言いたかったことの全てなのかも知れません。

交わりを広くするの要はこの心事を成る丈け沢山にして、多芸多能一色に偏せず、様々の方向に由って人に接するに在り。腕押しと学問とは道同じからずして相与に謀るべからざるようなれども、世界の土地は広く人間の交際は繁多にして、三、五尾の鮒が井中に日月を消するとは少しく趣きを異にするものなり。人にして人を毛嫌いするなかれ。

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2012年3月2日金曜日

信頼関係の構築


コミュニケーションは重要だと言われます(英語や中国語の会話じゃないですよ)。 上海オフィスの中国人インターンにスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』を読んでもらいました。 懐かしいですか? 16年前の本です。

『7つの習慣』には、「信頼関係が構築されていると、コミュニケーションは良好になる」と書かれています。 当たり前のことですね。 そして、信頼関係の構築には以下のことを実践しなさいと言ってます。 理論じゃなく日々実践できるかがポイントでしょう。

1.理解他人(他人を理解しなさい)
2.注意小节(小さいことにも気を配る)
3.信守承诺(約束を守る)
4.明确期望(期待値を明確にする)
5.正直诚信(インテグリティを示す)
6.勇于致歉(過ちをおかしたら心から謝る)

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