2025年12月27日土曜日

スキルと覚悟のバランス

 

前言

このスライドは、今から30年ほど前に作ったものです。人生一番生意気な40歳前後にまとめた資料ですが、いま振り返ると当時よりもずっと今の社会に切実に当てはまる気がしています。  

日本社会は相変わらず、いや以前にも増してスキル(能力)ばかりを追い求め、「commitment(覚悟)」はどうしても後回しにされがちです。資格や方法論は増えたのに、「どこまで引き受けるのか」という問いは軽くなった。そんな違和感があります。

もっとも、これを人生論として考えてほしいなどと言い出す時点で、すでに上から目線の自己中心的な高齢者の完成形かもしれません。それでもなお、組織の話としてではなく、自分自身の人生に引き寄せて考えてもらえたら――そう願って、あえてこの古いスライドを持ち出しました。

スキルと覚悟のバランス

――スキルだけでは、組織も人も強くならない――

私たちはしばしば「スキル不足」を問題にします。ITスキルが足りない、専門知識が弱い、コミュニケーションが下手だ――。確かにスキル(Capability)は重要です。しかし、それだけでは組織も人も強くなりません。

今回修正したスライドが示しているのは、極めてシンプルで、しかし見落とされがちな事実です。スキルと同等、いやそれ以上に重要なのが個人の「覚悟」である、ということです。

スキルとは何か ―― 図の左側

図の左側にある「スキル(Capability)」は、大きく二つに分かれます。

① 社会的スキル(ヒューマンスキル)
  • チームワーク
  • コミュニケーション
  • 意思決定
  • 他者との協働  等々
② 技術的スキル(テクニカルスキル)
  • ITスキル
  • 会計・税務などの制度的知識
  • 方法論、専門知識  等々
これらはいずれも「学べば身につく」能力です。研修やOJT、資格、経験によって、ある程度は後天的に獲得できます。しかし、ここで話を終えてしまうと、現場でよく見る“残念な光景”に行き着きます。

    、、、スキルはある。
    、、、しかし、誰も責任を取らない。
    、、、誰も本気で踏み込まない。

能力が足りないのではありません。覚悟が欠けているのです。


覚悟とは何か ―― 図の右側

そこで登場するのが、図の右側にある 「覚悟(Commitment)」 です。

英語で言えば Commitment。中国語で言うなら「承諾」が最も近いでしょう。「覚悟」という言葉が持つ精神論的な響きではなく、自分で引き受けると決める意思が核心です。

今回のスライドでは、覚悟を「組織に属する個人」ではなく、一人の人間として生きる覚悟として、次の4点に整理しました。

  1. 自分の立ち位置と価値観を引き受ける覚悟
    ─ どこに立ち、何を守り、何を引き受けるのかを自分で決める

  2. 自分の成長を止めない覚悟
    ─ 年齢や環境を理由に、可能性の更新をやめない

  3. 人との関係を育てる覚悟
    ─ 孤立を選ばず、信頼・尊敬・関心をもって関係に関与する

  4. 他者の人生に貢献する覚悟
    ─ 見返りを前提にせず、誰かの成功を本気で支援する

重要なのは、すべては個人の覚悟から始まるという点です。「会社が悪い」「環境が悪い」と言う前に、自分は何を引き受けると決めたのか(責任)が問われます。


スキル × 覚悟 = 相乗効果

このスライドの核心は、中央にある言葉です。

相乗効果(Synergy)

スキルと覚悟は、足し算ではありません。掛け算です。
  • スキルが高くても、覚悟がゼロなら成果はゼロ
  • 覚悟があっても、スキルがなければ空回りする
一人ひとりが
  • スキルを磨き、
  • 覚悟を引き受け、
スキルと覚悟が噛み合ったとき、人はようやく自分の人生を自分の足で進めるようになります。

人生と組織に共通するピラミッド構造


スライドは、成功を次のピラミッドで示しています。
  1. スキル × 覚悟
  2. 自分にしかできない貢献を通じて、人生で出会う人々と長く続く信頼関係を築く
  3. 楽しめる環境 ─ 自分も、周囲も
  4. 成功 ─ 組織においても、人生においても

ここで重要なのは、順序を飛ばせないということです。スキルと覚悟という土台がないまま、成功だけを求めても、それは砂上の楼閣になります。

スキルだけでは足りない理由

スキル偏重の組織や人生では、こうした現象が起きがちです。
  • 判断を先送りする
  • 責任の所在が曖昧になる
  • 「できる人」が静かに去っていく
これはスキルの問題ではありません。覚悟の欠如です。

逆に、覚悟を引き受けた人は違います。未熟でも学び、失敗しても前に出る。その姿勢が周囲の能力を引き出し、結果として組織も人間関係も強くします。

成功は、覚悟とスキルの上にしか積み上がらない

強い組織は、制度やスキルから生まれるのではありません。強い人生も、肩書きや運から生まれるのではありません。一人ひとりのスキルと覚悟の相乗効果から生まれます。
  • 能力を磨くこと
  • そして、それをどこに使うと引き受けるのかこの二つが揃って初めて、
信頼が生まれ、
人に囲まれ、
楽しめる環境が育ち、
結果として「成功」が積み上がっていくのです。

スキルだけがあっても、覚悟がなければ届かない。
覚悟だけでも、スキルがなければ形にならない。
だからこそ、スキルと覚悟のバランスが重要なのです。

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