2024年1月28日日曜日

50年の日々

連続企業爆破事件は私が大学生になった頃なのでよく覚えています。この事件の数年前に連合赤軍による数々の事件もあったので、興味をもって調べました。1970年頃までは安保闘争の延長線上で、学生の革命運動に共感を持つ人も多く存在しました。しかし、1972年の連合赤軍の山岳リンチ殺人事件以降は急速に支持を失いました(浅間山荘の連中は革命運動の連中とは異なると思いますが)。

1970年代までは、「セクト」という言葉が通常のニュースにも出て来ていました。日本のセクトというのは、本来の意味と違って責任を取る覚悟がない。セクトが力をつけて結束も強く本流(正統)と議論を重ね互いに切磋琢磨し、自らが正統になって公約を果たしていくというものです。かなりボロボロのアメリカ政治ですが、アメリカ社会の基本はセクトと正統(チャーチ)との闘いが基本になっています(アメリカは宗教国家です)。一方日本政治の野党は野党のまま。与党は権力に胡坐をかきゾンビのように生き続ける)。

1970年代後半の学生運動はノンセクトラジカルで、到底共感や相互信頼を生むものではなかった。そして多くの若者はノンポリに走りニューミュージックと共に虚無的になっていったのです。

70年代から80年代にかけて日本人の生活レベルは飛躍的に向上し、学生運動は廃れていったのでしょう。どういった人生を送るか? 人それぞれなのですが、日本人は損切(速やかにやむ)が下手くそですね。

徒然草131段

おのが分をしりて、及ばざる時は、速やかにやむを智というべし

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2024年1月23日火曜日

The Beatles GET BACK

 

28年ぶりでビートルズの音楽を購入しました。The Beatles 『Get Back』(3枚組 blu-ray)です。1996年に『アンソロジー』をCDで買ったのが最後でした。

我が家には blu-ray のプレーヤーがないので、先にアマゾンで SONYの blu-ray プレーヤーを買う事になりました。ビートルズがいなかったら私の人生はずーっと退屈なものになっていたかも知れませんね。長年あまり聴かなくなったビートルズですが、Get Back で真実の4人に触れた気がしました。

1970年に映画『Let It Be』が日本でも上映され観に行きました。全編を通して漂う暗い雰囲気にがっかりした記憶が残っています。しかし『Get Back』を観ると同じ場面、同じ4人を撮ったとは思えない内容です。映画『Let It Be』の暗澹たる気持ちを一掃してくれました。映画『Let It Be』のマイケル・ホッグ監督は、ビートルズを『平家物語』のように盛者必衰として映画を仕上げたかったのでしょうか?

『Get Back』を観ると、2024年の今でさえ4人は大変魅力的だし、彼らの一挙手一投足がセンセーションです。周りにいるオノ・ヨーコもリンダ(後のポールの妻)もモーリーン(当時のリンゴの妻)もスタッフも皆が仲間で、全員でThe Beatlesのサウンドを作っているということが解ります(決してポールのワンマン・バンドじゃない)。

世界中でどれだけ多くの人が自分の人生を彼らに重ねているのでしょう。私の人生は50年以上彼らと重なっています。私が最初に購入したビートルズのアルバム(LPレコード)は『マジカルミステリーツアー』(1968年)でした。

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2024年1月20日土曜日

心を癒す

コーヒーカップ ウォーマー






能登半島地震 海外メディアが注目する災害時における「日本人の行動」

By - ニッポン放送 

https://news.1242.com/article/490231


日本人の自然に対する考え方や概念は欧米人のそれとはだいぶ違う。しかし、AIがどれほど発達しようが、日本人の生き方に共感する外国人は少しずつ増え始めている。地震があろうが津波があろうが、敬遠されるのではなく、日本的な生き方や考え方はむしろ尊敬されているのである。それは音楽家であったり(ロックミュージシャンさえ)芸術家と言われる人たちに多い。彼らは情緒を対象としているからである。

残念な事に日本文化の中にいる日本人が忘れている。最初は忘れさせられたのだが、ChatGPTによる芥川賞受賞作品などの話題にふれると、いまだに忘れることが進歩であるかのようである。

アメリカで心理学というと、深層心理というよりも、所謂、行動心理学です。統計をとってデーターを集計して分析する。統計数値を見ているのであって、人の心を見ているわけではないと思います(私は心理学が何であるかをよく理解していませんが)。

今の世界は、個人も国家もエゴが充満していて(要するに、多様化やグローバリゼーションです)、エゴだらけで、エゴとエゴの戦いじゃないでしょうか? もともと心を癒すのが目的の宗教が、自我を緩和するのではなく自我を増長して相反する自我を抹殺しようとする。

ぼくたちの思惟が他人の思惟とくいちがうとき、あるいは現実の抵抗を感ずるとき、ぼくたちのなさねばならぬことは、それらを性急にくみふせようとあせることではなく、まず自己の発生の地盤を見いだすことである。
(福田恆存『一匹と九十九匹と』1947年)。

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2024年1月19日金曜日

ポピュリズムに乗っ取られた報道

 

井の頭公園の夜明け
日本はすべて山の中である、、、、か?




能登半島地震で国民を不安にさせる報道の特徴とは?
2024年1月16日 Wedge Online)


日本の報道姿勢の倫理観念は風前の灯です。視聴率や販売部数しか考えていないのでしょう。

大正時代後期から昭和にかけてメディアが発達しました。新聞各紙は発行部数を伸ばすためにセンセーショナルに書きまくった。それが全てではないでしょうが、その後の昭和の戦争に進んで行く要因の一つであったことは明白だと思います。

現代のデマゴーグは昭和初期よりも高度で悪質です。テクノロジーが急速に進化してデマゴーグに加速度をつけているからです。インターネットや生成AIで人々の意識を操る。世論操作をする。結果、ポピュリズムに乗っ取られる。今の日本でしょう。

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2024年1月17日水曜日

2024年 世界はどうなるか?

アメリカの象徴のようなトランプ

トランプの返り咲きで米国の偉大さに終わりが来るとは限らない

私がまだ米国という国を信用している理由:ギデオン・ラックマン 
(Financial Times 2024.1.16)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78929?fbclid=IwAR2CZb6Vugu6W_RQ1xBTaw5paMrvqp8EIIjwCiD4TEP3GmVOB0YK05bPDmI

中東諸国やヨーロッパは歴史も長いし複雑です。しかし、台湾のことや特にアメリカのことを日本人はもっと理解しなければならないと思います。この記事はアメリカの兄貴分であるイギリスの視点で書かれているのでしょう。私は同意しかねる。リーダーには混乱とメロドラマがつきものだとか、バイタリティといってすまされるものなのか? 第二次世界大戦以降、世界の紛争を見ると、世界中でどれだけの人が犠牲になっているのか?(そういった意味ではイギリスとアメリカは同罪だともいえるが、、、)。

アメリカは負けを理解できない国なのです。トランプはそうしたアメリカの性質の象徴です。選挙がなければ果たしてトランプは大統領に立候補するでしょうか? 次にアメリカの特徴として反知性主義というのがあります。日本では反知性主義ということが誤解されていると思います。カーボーイが頭の良い人を嫌うという意味ではない。知性が権力と結びつき世襲されるということ、つまり、階級の固定化を嫌っているのです。直近30年アメリカではキャピタルゲインで金持ちは更に金持ちになることが繰り返されています。結果、経済的格差は広がるばかり。自由と平等を目指すアメリカ人はそれを嫌ってトランプを支持している(日本の政治家は知性がないのに世襲されるという大きな問題がありますが)。

イギリスから見ると反逆者の国アメリカ。そのアメリカは使命と目的を共有化することで国をまとめてきた。移民が増えアメリカの使命や目的が何が何だかわからなくなってきた。宗教国家であるアメリカの宗教(アメリカ型キリスト教)も多様化(diversity)によって正統性が担保されなくなってきた。

今の世界が危険なのは、アメリカと中国という2つの巨大国家が内部崩壊寸前で迷走していることではないでしょうか?

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2024年1月16日火曜日

自分を哲学する50代

むかし、男ありけり。いとまめにじちようにて、あだなる心なかりけり(伊勢物語)。まめ:真面目に。じちょう:誠実。

50代社員が突如ぶち当たる「3つの壁」
35年の「人生後半戦」へ、何が必要か?

https://toyokeizai.net/articles/-/225102


普通の国だったら、今の日本のような政治や経済界のリーダーたちをみたら、国民は黙っていないでしょうね。しかし、日本は淡々と現状維持で時は流れて行きます。「いとまめにじちょう」しているのか?

50歳代で必要なことは、新たなスキルを身に付けることよりも「自分を哲学する」ってことだと思います。「哲学する」といっても、研修で習うのではなく、周りを真似るのでもない。自分自身を振り返って、自分の来た道の再確認をする。会社での役職や活躍とかそんな「山椒魚」みたいなことじゃない。自分の人生を、昔に行ったり現在に戻ったりと循環的に解釈するのです。

自分の直観に頼って実践を繰り返す。直観、すなわち自分が正しいと思うことを繰り返す。今の日本は還暦になっても他と比較して打算的になり過ぎる。損か得か打算的に生き過ぎるように思う。死ぬまで序列に拘り、他者と比べる日々です。塾に行く前の子供たちは決して打算的じゃないでしょう? 自分の直観に従って日々実践あるのみです。日本の受験システム(=日本の教育)は正しい直観、正しい情緒(心)を育まない。だから大人になっても善行が何か分からない人が多い。高齢者然りです。

50歳の人は自分の直観は何かを自分に向き合って考えないといかんと思う。高齢者になる心得を身につけることは50代でまだ間に合う。自分を考える、すなわち、自分を哲学する。自分にしかできないことです。何も考えないで還暦を迎えると、高齢者になってうろたえることになります (気づかないで死ぬ人も多いが、、、)。

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2024年1月10日水曜日

マウントを醸成する日本の教育

炒飯も作り続けているので安定感がでてきました

日本人は誤解している
小さい頃から「落ちこぼれ」に冷たいイギリスの学校の「シビアな現実」
現代ビジネス 谷本 真由美
https://gendai.media/articles/-/120847


「がんばれ!がんばれ!がんばればできる!」というのが日本の教育でしょう。勉強ができない子だっているし、学校の勉強はやりたくない(学校と相性が悪い)子だっている。人それぞれ。もちろん、幼年期・少年期・青年期と、同じ子供だって成長期によって教育の力点は変化するべきです。

日本には「諦める」と「明(あき)らめる」があって、『平家物語』や『方丈記』の時代は2つの違いを理解していたと思われます。政治がカバーする部分と(政治は諦めてはいけない)宗教や哲学や文学がカバーする心の部分があって、今の日本人は2つがゴチャゴチャになっているようです。

教育の成果は地震のような大災害時に顕著に現れます。心の問題が大きいからです。メディアに登場する日本の知識人の発言を聞いていると、公共性や倫理主体を形成しない日本の教育システムが大きく失敗したと言わざるを得ないのです。そういえば、お金にルーズで倫理性に乏しい政治家も同じですね。彼らには諦めない最終的には自分が責任をとるという気概がない。

すべては日本の教育の当然の帰結です。序列主義が作り出すマウントは不安払拭にはならない、心の問題を解決しないのです。幸せを追求しない。おごれる人もひさしからず。

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2024年1月9日火曜日

幸せな人生を送るためには?

ハーバード大の幸福研究の権威が語る「幸せな人生を送るための習慣」 
大切な人たちと好きなことに打ち込もう

https://news.yahoo.co.jp/articles/f692f94430d95e305250f693efe63d2be9bf96cf?fbclid=IwAR2rJFkWm5sQxOKsLdv9WEdov-5OdYd52vK5uN0S0wVg1ZWoQa4lZj0WbEk

ハーバードの教授に言われなくても、、、、。

「万人共通の目的は幸福である」といったのはプラトンです。今の時代でも同じだと思いますちなみにアメリカで哲学って人気がない。非常に現実的なものを求める傾向が強い。日本もだんだんとそうなっていませんか?

日本人の問題は幸せになるための意思決定を自分で行わないことにあります。

仏教の言葉に「因縁果(いんねんか)」があります。「原因」があって「縁」に触発されて「結果」を生むという意味です。原因と結果の間には縁があります。ところが現代の日本では、因(自分)よりも縁(他者や環境)に依存しすぎる。自分で決定しないから結果に対しての責任感が極めて希薄です。さらに諦めがいいのか、結果に対する振り返り(reflection)がない

「どう生きるか?」も大事ですが、そろそろ「なぜ生きるか?」を考える時です。「邂逅の謝念に生きる者は幸福である」(邂逅:出会い、謝念:感謝)といったのは亀井勝一郎でした(『人間の心得』1963年)。自分のこれまでを振り返ると改めて人生は邂逅と謝念だと思います。



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2024年1月8日月曜日

どう自己主張するか?

 

日本と米国の「国語教科書」を比較すればわかる…日本人が「世界最高水準の学力」を生かせない根本原因日本で重視されるのは「自己主張」よりも「自己犠牲」 PRESIDENT Online

https://president.jp/articles/-/77069?fbclid=IwAR17XjT0B2AN8Dt_w-qVNZ6HMH71Vt0AElaJqLHuWaTWTtNyYABV4MemUjk


どのように自己主張するか?


私は高校時代に受験勉強とか学校とは距離をとっていました。分かり易く言えば、落ちこぼれのロクでもない高校生だったのです。しかし、社会人になって長年アメリカ人やその他の外国人と働きながら少しずつ学んだことがあります(彼らに知らないとは言えないので、知ったふりをしながらですよ)。

現場での実践を通じた経験なので全くウソ話ではありません。実は優秀なコンサルタントが作成する資料や彼らのプレゼンは以下の構造になっているのです。

1.POV(point of view)を示すこと。観点は何か?
2.POVを支えるパラダイムは何か? どういった世界観を持っているか?
3.1と2を相手に伝える言葉(概念:普遍性が高いもの)を持っているか?

外国人(組織のマネジメント)との議論やプレゼンテーションで重要なことは、以上のようなことを理解しているかどうかなのです。自己主張するにも正しい準備が必要です。

アメリカの小中高の『国語教科書』って思い浮かばなかったので、息子夫婦(テネシー州ナッシュビル在住)に問い合わせると以下のメールが返ってきました。息子夫婦は2人ともアメリカの義務教育で育った日本人です。


息子からの返信

Armonk(ニューヨーク州)では国語の『教科書』というものはあまり覚えていない。小学校低学年のころはあったのかな?プリントとかワークブックみたいなのはあったような気がするけど、内容は覚えてない。読み書きとかだけだった様な気がする。

Armonkでは文法のレッスンは一切無かったね。あと文章を日本の国語の授業のレベルまで細かく分析することは一度もなかった。ようやくSATで、文章の要点を選択する問題みたいなのは出たけど、学校ではそういうのを勉強したり練習したりすることは一度もなかった。SATの参考書にしか出てこなかった。

アメリカの(中学校以降の)国語の授業は国語というより「文学」の授業に近かったかな。いろんな小説を読んでエッセーを書かされたけど、目的がなんだったのかいままで考えたことなかった。本来は自分のPOVとかを考えたり、それを説明する能力を育てるはずだったのかも知れない。

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2024年1月4日木曜日

君たちはどう生きるか、定年後の人生を!

ヘタクソでもアディショナルタイムを楽しむ!

定年後の人生に関する記事が数多く見受けられます。長年所属した組織から離れることを計画し、自分だけの幸せを考えなさいという主旨のものが多いようです。

2023年はアニメ映画『君たちはどう生きるか?』がヒットしました。私は映画を観ていませんが、「君たち」は50代の人たちであるべきだと感じていました。

欲望はインフレします。増大するのです。自分が持っているものに満足できない限り、つまり自分の現状に不満な限り幸せにはならないのです。50年も生きると、人生も100歳まで長生きすることよりも additional time と考えておく方がいい。足るを知ったら幸せになります。50代の10年でこれが理解できない限り、どれだけ大きな家に住んでもポルシェに乗っても永遠に幸せになりません。

何もしみったれた50代以降を暮らせというのではありません。納豆ご飯の朝食でも軽自動車でスーパーに買い物に行く日々でも additional time と思って楽しめばいい。料理を作るのも、ヘタクソなギターだって natural born on-chi でも、ずっとやっていると自分なりの発見や楽しみはあるのです。小さな達成感だってある。additional time を楽しみましょう!

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2024年1月3日水曜日

カルペ・ディエム

 

日本人は「どう生きていけばよいのか?」を考えてこなかった。日本精神を考えるタイミングは直近30年いくつもあった。阪神淡路大震災、オーム真理教テロ、東日本大震災、御嶽山噴火、熊本地震 等々。令和6年、今回は日本人にとって特別な元旦の団欒を打ち砕く大きな地震が発災した。

『平家物語』も『方丈記』も鎌倉時代でした。人間は生と死の中間にあって、常に死に向かって不可逆的に変化しています(無常)、そして、自然は繰り返す、つまり循環的変化なのです。平安から鎌倉時代の日本人は循環的変化の中での人間の生き様を認識していた。

世は無常です。人生も無常です。だからお釈迦様は「ただ今日なすべきことを熱心になせ、誰か明日の死のあることを知らん」を言われました(『一夜賢者の偈(げ)』)。ラテン語の Carpe diem(Seize the day)と同じ事なのです。

一夜賢者の偈(一日賢者の詩):今日一日は賢者として生きようではないか!

過ぎ去れるを追うことなかれ。
いまだ来らざるを念(おも)うことなかれ。
過去、そはすでに捨てられたり。
未来、そはいまだ到らざるなり。
されば、ただ現在するところのものを、
そのところにおいてよく観察すべし。
揺らぐことなく、動ずることなく、
そを見きわめ、そを実践すべし。
ただ今日まさに作(な)すべきことを熱心になせ(後略)

増谷文雄訳

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2024年1月2日火曜日

2024 謹賀新年

 






2024年 元日の朝

日本人の人生観・死生観の中核である無常ということは、宗教の影響というよりも災害に常に見舞われてきたなかで、自然の驚異に逆らわず順応しようという意識が根底にあるのでしょう。まだまだ日本人の倫理観は高い。そう信じたい。失っちゃいけない。

輪島塗は今は亡き両親から引き継いだものです。お重やお屠蘇器は飾りのみ。中味はカラです。お猪口は10数年前に金沢で購入した九谷焼です。

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