2019年6月24日月曜日

心の幸せ

鳥取砂丘のらっきょうで作ったらっきょう漬け

今年の桜桃忌(6月19日)は太宰治生誕110年でした。 太宰が追い求めた心の幸せを追求するのがこれからの日本にとっての進むべき道かも知れません。

『秋風記』は中期の作品です。後期の反俗精神に入る前の作品ということです。太宰は自分はダメな奴だという深い自覚があるから優しい。あくまでも心の幸せを追求する。金持ちの成功者は神のお加護があってエライというアメリカや、物質的な豊かさで誤魔化された独裁監視社会の中国とは真逆の世界観なのです。

「Kは、僕を憎んでいる。僕の八方美人を憎んでいる。ああ、わかった。Kは、僕の強さを信じている。僕の才を買いかぶっている。そうして、僕の努力を、ひとしれぬ馬鹿な努力を、ごぞんじないのだ。らっきょうの皮を、むいてむいて、しんまでむいて、何もない。きっとある、何かある、それを信じて、また、べつの、らっきょうの皮を、むいて、むいて、何もない、この猿のかなしみ、わかる? ゆきあたりばったりの万人を、ことごとく愛しているということは、誰をも、愛していないということだ。」(太宰治『秋風記』より)


2019年6月10日月曜日

梅雨の夕暮れ


梅雨の夕暮れは俳句にもならないですね。

秋篠川から薬師寺を望む。 東塔は平成21年より史上初の全面解体修理に着手しており、令和2年4月に落慶法要を勤修する予定です。西塔の右に見えるのが覆屋。

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2019年6月9日日曜日

半分化粧


半夏生(はんげしょう)です。

葉っぱが白く化粧していくので「半化粧」とも書きます。風流ですね。オシャレですね。

半夏生は陰暦の上での「雑節」の一つ。今年は7月2日のようです。まだ梅雨が明けない時期なので、この頃の雨を「半夏雨」(はんげあめ)と呼んできました。半夏生は、田植えなどの農作業を終える日の目安としてちょうどよい時期にあったのです。

田植えの農作業が終ってほっと一息、しばし休息をして七夕様を迎えます。昨今のこじつけた10連休と違って風情がありますね。国民の祝日は文化ですから意味がある。




















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2019年6月8日土曜日

梅の雨


今年も梅雨がやって来ました。ジトジトと不快だしチャーリーの散歩にも困るので大嫌いなのですが、唯一、「梅の実が梅雨によって熟すのだ」と考えれば梅の雨も趣があり風流なものです。

『仰臥漫録』は病床に釘づけにされた子規の日記です。日本人が理解できる普遍的なテーマが満載です。

自分は一つの梅干しを二度にも三度にも食ふ
それでもまだ捨てるのが惜しい
梅干しの核(たね)は幾度吸はうっってもなほ酸味を帯びてゐる
それをはきだめに捨ててしまふというのが如何にも惜しくてたまらぬ


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