2015年4月23日木曜日

智に働けば角が立つ


智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい

(夏目漱石 『草枕』 1906年)

智に働く(偏差値)教育ばかりやってきたから、今の日本は、あっちこっちで角が立つのでしょう。 極端な感情にメディアが棹をさして国民は流されている。 意思のある若者は協調性がないとはじかれる。 要するに、「智」「情」「意」のバランスが悪すぎる。

「住みにくい所」って、いま自分がいる所や組織ですね。 自分の国でもあります。 「智」「情」「意」のバランスをとることが、すなわち、人生で、人生とはそういうものだと思います。 夫婦関係だって親子関係だって、自分は自分で妻や子供といえども自分じゃない。 バランスをとるようにマネージすることを楽しむのが、人生を上手に生きるコツかも知れません。 もちろん、自分自身の中にも「智」「情」「意」の葛藤があって、バランスをとらなければならないと思います。


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2015年4月18日土曜日

桜が終われば、、、



桜が終われば、ツツジとドッグウッド。 

四季が巡る循環的変化に教えられる日本は素晴らしいと思います。 四季の変化に人間は抵抗できません。 したがって、受け入れるしかないのです。 この「あきらめ」が、欧米人との一番の違いでしょう。

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2015年4月15日水曜日

ジャンプできるか?

Bridge The Gap to Success

先日、社会人一年目の若者たちと話をする機会がありました。 皆さん有名大学卒です。 私のような老百姓がとやかく口を出す立場ではないのですが、これまでも口を出してきたので一言。

人生には勉強よりも偏差値よりもっと大事なことや、知っておかなければならないことがあるということです(実は、大学の先生方に一番必要なことかも、、、、失礼)。 どれだけ勉強ができて「一流企業」と言われる会社に入社することができても、どこかのタイミングでジャンプする覚悟と勇気があるかどうかなのです。

有名大学を卒業したんだからとか一流企業に入社することができたからと、多くの人は「有名大学」や「一流企業」が足かせとなり、動きがとれなくなります。 自分が優秀だと思い込んだ人たちは、問題を先送りして、ついには還暦を迎えます。 「Seize the Day (今を生きる)」とは、そうならないための警鐘です。

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2015年4月3日金曜日

桜との付合い


桜は咲く時も散る時も人間様の都合を考えてくれませんね。

写真は夕暮れ時の井の頭通り(横河本社前)の桜です。井の頭公園も歩いてみましたが、日本人は元々こうだったのか、、、 桜との付合いだってできなくなった。 これじゃ、他者(人間)と付き合うのは限りなく難易度が高いのでしょう。

「自然に対する私達の付合ひ方は、私達一人一人の付合ひ方を決定すると同時に、その時代の付合ひ方を決定する。個人の人柄と同時に、その時代の道徳や文化を決定する。自然に対して無関心であったり、粗暴であったり冷酷であったり、おろそかであったりすれば、その人の、あるいはその民族や、その時代の付合ひ方が優しく懇(ねんご)ろになるわけがない」。

『自然の教育』 福田恆存 昭和368

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