2025年12月19日金曜日

イソップ寓話が日本に突きつける問い ~ 狼と仔羊

 
イソップの『狼と仔羊』が教える、現代への警告


昔から折に触れて考えてきたことがありますが、これまで文章にまとめる機会がありませんでした。忘れないうちに、ここに書き留めておこうと思います。それは、中国共産党の言動や行動を見ていると、どうしてもイソップ寓話の一つ『狼と仔羊』を思い出してしまう、ということです。

まず、この寓話を簡単に紹介します。

川の上流で水を飲んでいた狼が、下流で静かに水を飲んでいた仔羊に目をつけます。狼は「お前が水を濁したせいで、私は汚れた水を飲まされた」と言いがかりをつけます。しかし、仔羊は「私は下流にいますから、上流のあなたの水を濁すことはできません」と、冷静に事実を説明します。

すると狼は、「去年、お前は私を侮辱した」と別の罪をでっち上げます。仔羊が「その頃、私はまだ生まれていません」と反論すると、狼は「ならばお前の父親だ」と、さらに理屈をねじ曲げ、最後にはそのまま仔羊を食べてしまいます。

この物語が教えるのは、極悪非道な嘘つきの前では、どれほど正当で論理的な弁明をしても無力である、という冷酷な現実です。相手が最初から結論ありきで害意を持っている場合、理屈や正論は通用しないのです。

私には、この狼の姿が、現在の中国共産党の振る舞いと重なって見えます。狼が中国共産党であり、仔羊が日本であったり、周辺の他国であったりする構図です。

中国共産党に対して、正当性や国際法、論理を積み上げた主張を行っても、それは彼らの前ではほとんど力を持ちません。共産党の支配と存続のためであれば、どれほど悪辣であっても、どれほど露骨な嘘であっても、ためらいなく使う──その姿勢は、まさに『狼と仔羊』の狼そのものです。

だからこそ、日本の政治家や経済界、そして教育界に携わる人々には、この寓話を単なる昔話として片付けず、現実の教訓として肝に銘じて対応してほしいと、切に願います。

正論を述べれば分かり合える、論理を積み重ねれば納得させられる、という前提は、相手によっては成り立ちません。狼に対して仔羊の理屈が無力であったことを、私たちは忘れてはならないのです。

イソップの寓話は短い物語ですが、そこには時代を超えて通用する、人間社会の本質が凝縮されています。『狼と仔羊』は、まさに現代を生きる私たちへの、重い警告だと感じています。

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