2025年11月7日金曜日

サキソフォン一年生 ― 60代の迷いと発見

 

サキソフォン一年生

60代も後半になって始めたサキソフォン。
気がつけば、もう一年が経ちました。

始める前は、まさかここまでハマるとは思ってもみませんでした。
この歳になって、新しい発見がこんなにあるとは驚きです。

練習の「理想形」と「現実」

サックスの練習は、音色・スケール(音階)・レパートリーの三本柱を、1日30分以上続けるのが理想だそうです。音色練習とオーバートーンで自分のサウンドを作り、スケールで指を鍛え、学んだことを曲や即興に応用する。まるで吹奏楽部の教科書のようなプロセスです。

さて、私はというと――これがなかなか王道とはいきません。

音色練習の途中で「あ、この音、何かに似てるな」と思えば、気づけばYouTubeでメイシオ・パーカーやデビッド・サンボーンを聴き漁り、退屈なスケール練習なんかほっぽり出して、いつのまにかカッコいいフレーズの耳コピ大会になっている始末です。

「聞く」から「聴く」へ

それでも、この一年で確実に変わったことがあります。
それは、音楽の聴き方です。

これまで私は音楽を「聞いて」きました。
しかし、サキソフォンを始めて気づいたのです。
私は“聴いて”いなかった、と。

一音一音に意識を向けて聴くと、音楽が立体的に感じられます。
楽器を演奏するだけでなく、音楽そのものに「体が関わる」感覚です。
サキソフォンは、ただ吹くものではなく、体と一体になって音を出すもの。
お腹の底からベルの先まで、自分が一本の楽器になったような気がします。

古い楽器と新しい迷い

ちなみに、私のアルトサックスは四半世紀前に息子が学校で使っていた入門機です。オーバーホールしたとはいえ、あちこちにガタがきています。

もちろん、上達の遅さを楽器のせいにはしません。
……しませんが、クリスマスを前に、新しいサックスを買おうかどうか、悩んでいます。

迷う理由はいくつかあります。

「熱しやすく冷めやすい」自分の性格、そして残りの人生でどれだけ上達できるのか。投資すべきか、見送るべきか。

でもまあ、こうしてグチャグチャ考えている時点で、もう半分買う気になっているんですよね。これまでの人生のパターンからして――たぶん、もうすぐポチッとしているでしょう。

今後の展望

まだまだ初心者の域は出ませんが、
音楽の楽しみが何倍にも広がった一年でした。

「聞く」から「聴く」へ。
人生の後半で、こんな変化があるとは思いませんでした。

次の一年は、音のひとつひとつに、もう少し“余裕”と“遊び心”を込めていきたいと思います。
    
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