2025年9月1日月曜日

稚拙な外交の代償 ― パワーバランスを見誤る日本

    

Trump's rebuke, Xi's handshake, Putin's oil: India's foreign policy test

Soutik BiswasIndia correspondent

https://www.bbc.com/news/articles/c80d2nvzg72o


BBC記事の要約

BBCの記事は、インドのモディ首相が直面する外交の難しさを描いています。インドは「多極秩序」の一角を自任し、アメリカ・ロシア・中国の間で巧みにバランスを取ろうとしてきました。
  • 米国とはインド太平洋戦略で協調しつつも、トランプ政権からはロシア産石油の輸入で批判を浴びています。
  • ロシアとはエネルギー安全保障のため深い関係を維持。
  • 中国とは対立を抱えながらも、経済関係や地域安全保障で「対話」を続けざるを得ない。
つまり、インドの外交は「選ばない」という選択をしており、それは弱さではなく戦略的自律だと擁護する声もあります。しかし同時に、その綱渡りは危うさを孕んでおり、世界のパワーバランスが揺らぐ中で、インドの立場は決して盤石ではない、というのが記事の骨子です。


日本に置き換えた場合

こうした背景を踏まえると、モディ首相が日本を訪れ、石破総理と会談したことは、インドの戦略的立ち回りの一環と見るべきでしょう。本来ならば、日本にとっては貴重な外交の場であり、アメリカ・ロシア・中国・インドの間でどう動くかを示すチャンスだったはずです。

ところが、現実はどうでしょうか。宮城県での半導体工場視察や新幹線の同乗といった「見せ場」はありましたが、これは単なる観光的パフォーマンスに過ぎません。半導体や鉄道技術をPRすることが、インドの複雑な外交方程式にどれだけ影響を及ぼすでしょうか。むしろ世界のパワーバランスを見据えた議論を交わすべき場面で、日本側が深い戦略的構想を提示できなかったことの方が問題です。


稚拙な外交の構図

能力と使命感の両方を欠いた総理に外交を任せるのは狂気の沙汰です。石破総理が主導したTICAD 9もそうですが、果たしてアフリカの国々の現実をどこまで理解しているのでしょうか。名前と位置すらおぼつかない国々を相手に、真の戦略的関与ができるとは到底思えません。

器がなければ、使命感すら空回りします。ダメなものはダメ。そしてダメな人間ほど、自分がダメだということに気づかない。これは紀元前から哲学者たちが繰り返し説いてきた人間の真理です。


結語

インドのように複雑な外交空間を泳ぎ切るには、戦略眼と胆力が必要です。日本はその隣にいながら、自国の総理が稚拙なパフォーマンスに終始するのを許している。これでは国益どころか、国際社会での信頼をも失いかねません。

いま求められているのは「見せかけの親善」ではなく、「世界の現実を直視した戦略的外交」です。果たして日本にその準備があるのか――その問いを突きつけるのが、今回のモディ訪日の本当の意味なのではないでしょうか。

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