2025年9月5日金曜日

Z世代の幸福度低下を考える

 
自衛隊にオスプレイの一号機が導入されたのは2018年、
私が自衛隊仕様のオスプレイを作成したのは2011年でした。


Z世代の幸福度

最近の国際研究によれば、Z世代を中心に若者の幸福度が大きく下がっているといいます。ニューズウィークの記事でもその事実が指摘され、原因のひとつにスマホやSNSの影響があげられていました。確かに、SNSの過剰な比較や孤独感は否定できません。しかし、問題はそれだけではありません。住宅価格の高騰、教育費や医療費の負担、不安定な雇用やギグワークの広がり。こうした経済的背景が、人生の節目で安定を得られない不安を生み出しています。さらに気候変動や国際紛争の影響もあり、若者世代は「将来への希望が持ちにくい」という心理的な圧迫を受けています。

ただし、これらはグローバルに共通する課題であり、同時に各国ごとに特有の問題も存在します。日本には日本独自の問題があり、そこに目を向けなければ本質は見えてきません。

比較幸福論

日本人は自らの幸福を絶対的に感じ取るのではなく、「他人と比べて自分がまだ恵まれている」「まだマシだ」と考えることで安心を得る傾向があります。私はこれを「日本人比較幸福論」と呼んでいます。一見すると社会の調和を保つ役割を果たしているように見えますが、根本的には自立した幸福感を育てないという欠点を抱えています。

戦後教育は、個人の価値観を育むよりも「システムや他者に従順であること」を重視してきました。その結果、若者たちは「比較」なしに自分の幸福を定義することが難しくなっているのです。この構造的問題が、Z世代の幸福度低下の深層に作用していると考えられます。

ごっこの世界

もう一つの要因は「ごっこの世界」です。江藤淳が指摘したように、日本社会は「実体」より「形」にとどまりがちです。

過去の日記を振り返ると、私は東日本大震災時の政府対応を「国ごっこ」と書き、教養を欠いた政治家の振る舞いを「政治ごっこ」と表現しました。国民が無関心のまま日常を過ごすこともまた「ごっこ」にすぎません。オルテガの大衆人や、ニーチェの末人、そして魯迅が描いた「阿Q」のように。

そして今の日本の総理を見ていると、その「ごっこの世界」が極まった感があります。戦艦のプラモデルを愛好するのは趣味として結構なことですが、一国の総理大臣がまるで「電車ごっこの運転手」のように国を導いている姿は滑稽を通り越して危うい。総理の人生そのものが、日本社会の問題の本質、つまり、すべてが「ごっこ」の延長にあることを象徴しているように思えてなりません。

考えられる解決策

私がもっとも危惧しているのは、「問題意識を持たないまま虚無的になる」若者が増えていることです。問題意識がなければ危機意識も芽生えず、当事者意識も持てないまま、ただ日常を消費して、やがて高齢者になって行くことになります。

だからこそ、今の10代から40代の人たちにこそ伝えたいのです。まずはどんな話題でもよい、自分の問題として考えてみること。スマホでも、仕事でも、教育でも構いません。比較の物差しではなく、自分自身の物差しで「なぜなのか」を考え始めること。それが虚無を打ち破り、未来を選び取る第一歩になるのです。ibgの迷子になる地図やノートはそのためのツールです。

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