2011年2月17日木曜日

中央線のヒト 太宰治

新宿南口

今日は、新宿でミーティングでした。

「新宿の秋田、ご存じでしょう! あそこでね、今夜、さいごのサーヴィスがあるそうです。まいりましょう。」 その前夜、東京に夜間の焼夷弾の大空襲があって、丸山君は、忠臣蔵の討入のような、ものものしい刺子(さしこ)の火事場装束で、私を誘いにやって来た。

太宰治の『酒の追憶』という短編小説です。太宰治の小説にはお酒が登場する作品がいっぱいあります。『酒の追憶』は、酒にまつわる思い出話です。暗いイメージがつきまとう太宰ですが、お酒が出てくる短編を読んでいると、芸達者な落語家が酔っぱらいを演じることに通じる味があります(三遊亭金馬の『試し酒』のように)。要するに、日本酒が飲みたくなるということです。

太宰治ほどJR中央線(太宰の時代ですから省線です)を書いた作家はいないでしょう。三鷹の下連雀(しもれんじゃく)に住んでいた太宰は、三鷹駅と吉祥寺駅の2つを使っていたようです。三鷹だけでなく、西荻、荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺、中野が酒とともに多くの作品に登場します。元祖中央線のヒトだったんですね。

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