2011年2月11日金曜日

The Soul of Japan

新渡戸稲造

新渡戸稲造が明治33年に英文で出版した『武士道』の序文に以下の記述があります。

「ある時私はベルギーの法学者に『日本には宗教教育がない』と話したところ、『宗教なしで、どうやって道徳教育をするのか』と驚かれた。思い返すと、
自分に善悪の観念を吹き込んだのは武士道であることに気がついた」。

アメリカには多くのジューイッシュ(ユダヤ人)が住んでいます。特に、ニューヨークは約20%がジューイッシュで、公立学校ではジューイッシュの習慣(祝祭日)を尊重したスクールカレンダーになっています。宗教や民族を意識した中で子どもは育つわけです。

エジプト騒乱は、第5次中東戦争(ユダヤ人国家イスラエルと周辺アラブ国家との間での戦争)を引き起こさないか?これが世界の関心事ですが、日本にいる日本人からすると、ユダヤ教だイスラム教だといっても全くピンと来ませんね。新渡戸稲造は、「宗教心は全面的に出てこないが、日本には武士道がある。それは、大和魂(The Yamato Spirit)であり、日本民族の精神である」と主張しています。

もし、この精神的なバックボーンが次第にぼんやりと消えて行くならば、日本民族は何をもってアイデンティファイ(同一化)されるのでしょう?

日本人に宗教心がないという訳ではないのでしょうが、普段の生活では意識することはありません。ここらで、武士道の精神(The Soul of Japan)に立ち帰ってはどうでしょうか? 新渡戸さんの『武士道』は英語で書かれているので、中学校の3年間は英文『武士道』一冊だけを勉強すればいいと思います。暗記するくらい読み込めば、将来海外で仕事をする上で役に立つことは請合いです。「The feeling of distress(惻隠の情)~『武士道』 第五章」なんて言葉、アメリカ人との会話の中でさらっと使えたらカッコいいですよ。

***

2 件のコメント:

  1. お盆や七五三などの行事を守るように、日本人にも宗教心はあると思いますが、他国でイスラム教やキリスト教を持つ人たちのように宗教が人間の行動の原点にはなっていないですね。ですから、武士道が日本人の行動の原点と言うのは、合点がいきます。

    返信削除
  2. 新渡戸稲造の『武士道』を十数年ぶりに読んで見ると、色んな発見があります。『武士道』の中味は当然のことながら変わっていませんが、私が年をとって考えが少々変化したり、ほんの少しばかり成長したのかもしれません。

    同じ本を10年に一度くらい読むと面白いですね。自分も変化しているし、世の中も進化している。ベンチマークとしては最善の方法です。実は、これは三島由紀夫の受け売りです。

    ところで、最近の日本では祝祭日を地域毎に変えようという動きがあるのですよ。そうなれば、伝統的な行事の意味がなくなると思いませんか?

    ***

    返信削除