2009年12月18日金曜日

エリック・ホッファー

私の先輩が尊敬する人に、独学の社会哲学者と言われるエリック・ホッファーがいます。先輩が尊敬するとあっては私も読まねばならないのです。図書館で著書を3冊借りてきました。

エリック・ホッファーは、7才の時に視力を失いました。その後、15歳の時に奇跡的に視力を回復します。なぜ突然失明し再び急に目が見えるようになったのかは分からないそうです。またすぐに目が見えなくなると思い、起きている間中は読書をしていたそうです。18歳で天涯孤独となり、ニューヨークからロサンジェルスに渡り、様々な職を転々としました。カリフォルニア各地を転々とした後、サンフランシスコで港湾労働者として働きながら、1951年に処女作「The True Believer」を発表し著作活動を始めます。

エリック・ホッファーは正規の学校教育を全く受けていません。しかし、64年から72年まではカリフォルニア大学バークレーで政治学を教えています。働きながら読書と思索を続け、独自の哲学を築き上げた結果です。

エリック・ホッファーは、彼の自伝の中で「後年、思索し、ものを書き始めたとき気がついてみると、私は相変わらず分類をしていたということだ。事実と印象を区別し、照らし合わせていたのである」と言っています。

今の世の中を見てみると、客観的な情報の入手は益々難しくなっています。

今年の夏に帰国してから非常に気になっているのは、日本のテレビのアナウンサーが主観的なことを言っているのか客観的な事実を説明しているのか、極めてあやふやであることです。公共の電波のアナウンサーが自分の考えをニュースの中で勝手に喋ってしまうのは困ったことです。せめて、ニュースの事実と自分の印象とを区別して欲しいものだと思います。

子供の頃から「客観」と「主観」の区別をつけるように注意することは重要だと思います。これは、コンサルタントのスキルとしても重要なことです。大人になってからこのスキルを身につけるのは、なかなか難しいものです。歳をとればとるほど難しい。独善的になるからですね。また、情報のソースがどこなのかを明らかにする習慣も大切なことだと思います。

エリック・ホッファーは、「有意義な人生とは学習する人生のことです」と言っています。港湾労働者をしながら、読書をし、勉強し、文章を書く日課を送った。読んだ本の中から気に入った言葉やアイデアを見つけては書き留めた。こういった蓄積によって、批評や、彼自身の思考を展開することができるようになったそうです。つまり、福沢諭吉が「学問のすすめ」で言う「取捨を断ずる」訓練ができていたのですね。

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1 件のコメント:

  1. 三鷹の隠居さん☆はじめまして。
    エリック・ホッファーのように、学習し続ける人生に憧れています。
    世の中には知らないことばかりですもの、新しい事に出会えるって幸せです。
    これからも、時々お邪魔させてくださいね。

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