2009年12月11日金曜日

冬なのにサマーキャンプの話を少し

アメリカの学校の夏休みは、6月の後半から9月のLABOR DAY WEEKEND(労働祝日の週末)までと、日本に比べて随分と期間が長いです(ニューヨーク州の場合)。

アメリカの子供たちは長い夏休みの間、4週間から6週間をサマー・キャンプで過ごします。小学校低学年のうちは自宅から通う日帰りキャンプ(DAY CAMP)ですが、3、4年生頃からスリープアウェイ(SLEEP AWAY)キャンプと言って親元を離れます。

サマー・キャンプは、主催する団体、内容、期間、費用など様々なものがあります。町、村、そしてYMCA などが行う低料金のキャンプもありますが、スリープアウェイのキャンプは大抵が個人経営で、キャンプ運営を家業として代々100 年も続いているところもあるくらいです。イースター(4月)が終わる頃からキャンプの申し込みが始まり、人気のあるニューヨーク郊外のキャンプ場はあっという間にいっぱいになってしまいます。

サマー・キャンプでは全く勉強をしません。

共同生活をしながら朝から晩まで水泳やらテニスに明け暮れるのです。水上スキー、マウンテンバイク、ゴーカート、アーチェリー、コンピュータなど子供達にとってはかなり魅力的なキャンプ・プログラムが揃っています。ビジネスだから人気のないキャンプは経営が成り立たないからです。どのキャンプ場も子供たち(つまり顧客)集めのために余念がないのです。

キャンプ場は海や山や湖の自然に恵まれたところに位置します。このあたりがアメリカの有利な点で、ニューヨークでさえ1,2時間車で走ればキャンプ場を設置する自然がいたるところにあります。

森と湖の中にあるキャンプ場にはバンガロー風のキャビンが建てられています。6人から8人が一つのグループになり同じキャビンで寝泊まりします。大抵のキャンプ場にキャビンは10~20ほどあり総勢100~200人ほどが共同生活をすることになります。キャビンはお粗末な山小屋で、トイレやシャワーなど簡易的なもので、自宅に比べると雲泥の差、見た瞬間は抵抗がありますが、これも勉強の内、慣れるしかないのです。

キャンプ・カウンセラーは夏の間の高校生や大学生のアルバイトで、一つのキャビンに普通2人割当てられます。カウンセラーの中にはイギリスやオーストラリアから毎年夏にやってくる連中もいます。

勉強もしないキャンプに長い夏の間子供たちを入れる意味は十分にあると思います。それは、「親離れ」と「子離れ」です。

日本だと「受験のための集中夏期講習キャンプ」なんてものはありそうですが、小学校高学年や中学生が夏の間、勉強を一切やらないキャンプに1ヶ月も2ヶ月も行くことは考えられないでしょう(そうですよね?)。

アメリカのサマー・キャンプでは学校の勉強はしませんが、共同生活を通じて社会勉強を行うわけです。サマー・キャンプのキャビン内での人間関係やカウンセラーとの会話を通じて社会生活の基礎を作り自立心を育てていきます。

家族に会ったり、電話をかけたりするのは4週間のキャンプなら中間に一回許されているだけでです。これは、親にとってもツライことです。キャンプ初日は子供との別れが辛く涙する親たちもいます。親たちにとってもサマー・キャンプは試練の場なのである。

しかし、何と言ってもサマー・キャンプの特色は様々なスポーツです!

湖で泳いだりテニスをしたり、自然の中で真っ黒になりながら基礎体力をつけていきます。 湖はプールと違って夏でも水は冷たい。当然、足も立たない。

「夏休みは頭を空っぽにするためにあるんだよ。夏の間に頭を空っぽにするから学校が始まるといっぱい頭に入るんじゃない。だから夏休みに勉強なんかしちゃだめなんだよ」。

これは、うちの息子の当時の(十数年前?)コメントです。なるほど、携帯電話の充電と同じ理屈です。電池を使いきらないうちに充電を始めると、充電を繰り返している内にだんだんと電池の長持ちする時間が短くなってしまいます。

LABOR DAY WEEKEND が終りアメリカの夏が終ります。

「BACK TO SCHOOL SALE(新学期のための学校用品のセール)」が始まり、子供たちがいっぱいの夏の思い出と共に随分と逞しくなって学校にもどって行くのです。

1 件のコメント:

  1. あの粗末なバンガロー生活も、良い経験になると思いましたが、子供は意外にも、汚い汚いと言いながら、楽しんでいるようでありました。遠くや別の地区の友達ができるのも良いですね。

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