マンハッタン島の東側がイーストリバー、車で北上する場合はFDRドライブを走ります。FDRドライブのFDRとは、フランクリン・D・ルーズベルト大統領のことです(セオドア・ルーズベルトではありません)。この人種偏見の権化のようなルーズベルト大統領、われわれ日本人にとって印象はよろしくないのですが、アメリカの義務教育を受けると、ニューディール政策をはじめ、リーダーシップのお手本という良いイメージが刷り込まれます。
星新一が『明治の人物誌』(1978年初版)で伊藤博文を取り上げています。その中に以下の記述があります。
アメリカの小学校の歴史の授業では、とても全部は教えきれないので、古いほうを容赦なく切り捨て、最近ではフランクリン・D・ルーズベルトあたりに重点を置いて教えているという。そこへゆくと日本では、国民性のためか、そもそものはじまりから教えなければ、気がすまない。大化改新だの大宝律令などは、少なくとも名前だけはだれの頭にも残っている。しかし、しだいに暗記しきれなくなり、うんざりしかかった時に明治維新となる。それに、大陸への進出から終戦に至るあいだのことは、反省すべきことがらで、思い出したくないというムードがある。そのため、伊藤博文なる人物については、紙幣で毎日のように顔を見ていながら、きわめて印象の薄い人物となっている。
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星新一が『明治の人物誌』(1978年初版)で伊藤博文を取り上げています。その中に以下の記述があります。
アメリカの小学校の歴史の授業では、とても全部は教えきれないので、古いほうを容赦なく切り捨て、最近ではフランクリン・D・ルーズベルトあたりに重点を置いて教えているという。そこへゆくと日本では、国民性のためか、そもそものはじまりから教えなければ、気がすまない。大化改新だの大宝律令などは、少なくとも名前だけはだれの頭にも残っている。しかし、しだいに暗記しきれなくなり、うんざりしかかった時に明治維新となる。それに、大陸への進出から終戦に至るあいだのことは、反省すべきことがらで、思い出したくないというムードがある。そのため、伊藤博文なる人物については、紙幣で毎日のように顔を見ていながら、きわめて印象の薄い人物となっている。
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明治の偉人を一人あげろと言われれば、迷わず伊藤博文です。この人の生涯を振り返れば、日本がどうやって今の日本になったか、日中、日露、日朝、日米などの外交は勿論のこと、政党政治、日本における憲法の難しさ等々様々なことが明らかになります。また、日本の過去から現在をありのままに見るだけでなく、将来を考える上でも大変参考になるものです。
「平成の開国」を連呼する人たちには、伊藤博文の生涯を振り返ってからにしてもらいたい。いくら今が閉塞感にさいなまれていると言ったって、どうなるか分からないものに対して熱狂するのは、何もわからない大衆を騙すメソドロジー(方法論)に他ならないのだと思います。
私は、星新一と言えば、『ショートショート』しか知らなかったのですが、老師の一人である I さんが読んでいるの見て、図書館で借りてきました。今は、新潮文庫になっています。お薦めの一冊です。
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