2010年9月20日月曜日

中国人スタッフが見た東京の印象 ~ その(1)

三島由紀夫が自決する少し前に高橋和巳と対談をしています。三島由紀夫ほど世間(日本社会)が考えるイメージと実際にギャップがある人はいないのではないかと思います。夏目漱石は、小説同様に講演が見事で非常に魅力的な話し方をする人でした。YouTubeで検索できるものなら漱石の講演を見てみたいものです。三島由紀夫はYouTubeに映像があるので見ることができます。三島も難解な小説よりも(特に初期)、エッセイとか対談が魅力的です。恐らく、三島由紀夫という人の素顔が出ているからなのでしょうね。

対談の中で三島は中国に関して次のようなコメントをしています。

三島「中国というのが非常に西洋人に近いと思うのは、自然に対して人工というのを重んじるところね。中国人の人間主義というのは非常に人工的なものを尊ぶ主義でしょう。作って、変えたという確信を持つことが権力意識の獲得ですから。だから意識の変革ということをやりたくてしょうがないんだよ。中国文学の専門家には悪いけど、これは中国人の伝統的な趣味だと思うんだ」。

自然崇拝、精霊崇拝である多神教(八百万の神)がベースにある文化、これが日本文化であり、中国や朝鮮半島、または、西洋とは違った日本独特の文化です。だから日本の神社は自然と一体化しているし、あらゆるものに神を見いだすわけですから、日本人が優しくもなるわけです(ちょっと日本人を褒めすぎ?)。日本の文化は中国や朝鮮半島から伝わって来たものだと当然のように主張する日本人もいます(特に自称知識人コメンテーター?)。伝わって来て融合したものもあるでしょうが、「根本的には全く違う」ということを理解するべきだと思います。三島由紀夫はそのことを高橋和巳との対談の中でさらりと言っているのです。すごいですねぇ。

先日、ibgの中国人スタッフが北京から出張してきました。彼女は中国の大学院で日本語を専攻したほどの日本通ですが、初めての日本です。人工的な部分の東京ではなくて、自然を重んじている東京を感じて欲しいものです。

次回は、彼女の東京の印象をご紹介します。

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