2010年9月12日日曜日

アメリカ同時多発テロから9年

9月11日、アメリカ同時多発テロから9年です。

事件当日火曜日の朝、私はWTC(ワールド・トレード・センター)に隣接するWFC(ワールド・ファイナンシャル・センター)に向かっていました。2001年9月11日は、ニューヨーク地区にある日系企業向けセミナーをマンハッタンの商工会議所で開催する予定がありました。郊外の自宅からメトロノース鉄道でマンハッタンに向かう車中、ブロンクスからマンハッタン島に入る直前、最初の飛行機が1WTCに激突しました。電車の中はビジネスマンで満席です。NYタイムスやウォールストリートジャーナルを読む者、書類に目を通している人、ごく普通のNYでの通勤風景が目に入ります。私は16年ぶりの中国、上海・北京の旅から戻ったばかり、まだ時差ボケの中、午後のセミナーでのプレゼンテーションの内容を考えていました。セミナーのテーマは「危機管理」、私の話は、1993年のWTC(ワールドトレードセンター)爆破テロ事件に遭遇した私の経験を、日系企業の方々に紹介するものでした。

電車の乗客の携帯電話が次々と鳴り出しました。周りがざわつきます。
「WTCに軽飛行機が突っ込んだらしいぞ」。「本当か?」。「バルーンが当たったのかも知れない、、、、」。

私の携帯も鳴りました。妻からです。
「軽飛行機がWTCに突入したらしい。テレビでやっている。WTCから煙が出ている。ダウンタウンには行かない方がいいわよ。新しいニュースがあったら電話するから」。

10分程してグランドセントラル駅に到着しました。駅構内は足止めを食らった人たちでごった返しています。地下鉄は既にストップしています。メトロノースも運転を見合わせると言います。何が起こっているのか全く分かりません。

「これは大変なことになるぞ、、、」。

「仕事仲間の安否の確認をしなければ、、、」。みんながオフィスのあるWFCに向かっている筈です。「仮オフィスとする場所を確保しよう」。グランドセントラル駅周辺のホテルを探しました。しばらくは家に帰れないと思ったからです。いくつかのホテルをあたり、49丁目にあるホテルに部屋を確保することができました。CNNを見ながら部屋の電話で連絡を取り始めます。この時点で携帯電話はすでに繋がらなくなっていました。

この時、二機目の飛行機が2WTCに激突しました

ホテルの窓は南に面しているので、WTCから立ち上る煙は生で見ることができます。テレビにはWTCの状況がLIVE映像で映し出されています。10時になろうとしている時、 2WTC が崩壊しました。テレビでは崩壊が画面いっぱいに放映されています。窓の外からはひときわ大きな灰色の煙が立ち上ります。
2WTC 崩壊直後、UA93便がペンシルバニア州で墜落しました。「LET’S ROLL!」という言葉を残してテロリストに立ち向かったと言われるトッド・ビーマーは元同僚で、彼の妻も同じオフィスで働いていました。90年代半ば、新入社員のトッドは私の仕事を補佐してくれたのです。学生のようなちょっと内気な彼の印象からは想像もできない行動です。

9時38分にはワシントンDCのペンタゴンにAA77便が突入しています

4機の航空機、そして2つのWTCタワーの崩壊と隣接する 7WTC ビルの消滅、全てがあまりにも秩序だっています。20数名の仕事仲間全員の無事を確認するには夜中までかかりました。後で分かったことですが、WTC直前で地下鉄にどじ込められていた者、交通手段がないので徒歩で対岸のニュージャージーまで帰った者、自宅がWTCの近くで停電のために23階の部屋から下りることができなかった者と様々なドラマが起っていました。

* * * * *

9.11同時多発テロに公表されていない真相は本当にあるのでしょうか?US政府陰謀説、チェイニー副大統領主犯説など、かなり過激な説も浮上しては消え、消えてはまた浮上してきています。多発した一連のテロの一つ一つに対して疑惑が表明されていますが、ここでは全ての疑問に対してコメントしません。私自身は当時から7WTCの崩壊が気になっていたので、少しだけ書きます。

仕事で何度か7WTCに入ったことがありました。地下鉄レキシントン線の駅からWTCやWFCに行く場合は、7WTCの前を歩きました。「WTCから離れているにもかかわらず、なぜこれが7WTCと言うんだろう?」と何となく思っていました。また、映画ファンであれば、このビルは見覚えがあるかもしれません。ハリソン・フォードとシガニー・ウィーバーが出ていた88年の映画「WORKING GIRL」の撮影に使われたビルです。7WTCは、WTCの崩壊した2つのタワーから2ブロックほど離れています。ハイジャックされた飛行機が突入した訳でもありません。9.11当日の夕方5時20分、あたかも老朽化したビルを意図的に倒壊させるかのように、一瞬のうちに消滅しました。

当局の発表では、火災による倒壊とのことですが、果たして火災により、鋼鉄の枠組みをもつビルが一瞬にして跡形もなく崩壊するのでしょうか?9.11陰謀説の中には、「テロの総司令部が7WTCにあり、WTCに突入した2つの旅客機は、7WTCからリモートコントロールされていたんだ!」と言うものまであります。倒壊したビルの瓦礫が次の日には全て現場から持ち去られたのも不可解です。

* * * * *

アメリカという国は、お金さえ十分にもっていたら自由で平等で民主的な国だと認識できます。それは資本主義の論理が強烈に働いているわけで、資本主義と民主主義は相反します。この点を理解していないと、様々な不愉快な出来事によってアメリカが嫌いになってしまうのです。

アメリカの格差社会は日本で問題にするようなレベルではありません。5%弱の世帯がアメリカ全体の純資産の60%以上を占めているのです。持っている金が多ければ多いほどエライと見なされ、実際お金さえ持っていれば、アメリカでの生活はかなり快適になります。お金を持っていないか、お金をかけない暮らしをすると、アメリカの生活にはウンザリさせられます。

アメリカ人は自分を守ることを強烈に優先させます。開拓時代は、それこそ銃を手にとって自分自身や家族を守っていたのでしょう。現在はどうでしょうか?資産を増やしお金でわが身や家族をプロテクトしようとしています。9.11の同時多発テロにより、強固に信じていた国や体制に疑問が出始めて、自分のことは自分で守るという傾向が一層強くなったのかも知れません。

アメリカ人は、かなりインテリであっても自国の歴史や、世界の歴史について知らない人が多いように思います。そして、強いアメリカを盲目的に信じてきました。しかし、アメリカがやっている事は基本的に正しいのだという前提は、9.11を境に崩れてきているのではないでしょうか?

民主主義は民意の代表であることが前提であれば、政府はメディアをコントロールするだろうし、それには絶対的な資本の力が必要となります。金があればあるほど強いと言う訳です

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ローマ帝国は、東ローマ帝国が滅亡するまで1500年ほど続きました。イスラムのオスマン帝国でさえ500年続きました。アメリカはたかだか二百数十年です。帝国アメリカは今後どういった展開を見せるのでしょうか?

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