2010年9月10日金曜日

「すばらしい新世界」は日本?

『オーウェルの「1984年」をブログに書いたんだね。「1984年」よりオルダス・ハクスリーの「Brave New World(すばらしい新世界)」を話題にするほうが知的だよ。それに、今の日本に近いと思う』と息子に言われました。

「息子も私のブログを読むことがあるんだ、、、」と少し驚きました。早速、『すばらしい新世界』を読んでみました。息子に渡されたのは英語版だったので、読むのに時間がかかると思い日本語の文庫本をオーダーしました(講談社文庫)。ハクスリーが1932年に発表した小説ですので、今から80年前のSFディストピア小説です。ディストピアとはユートピアとは反対で、極端な管理社会で基本的な人権が存在しない社会のことです。

登場人物の一人バーナードは「すばらしい新世界」では「できそこないの人間」です。みんなが政治的なことに興味を持たなかったり、本を読むことに興味を持たなかったりするのが当たり前である中で、彼は苦悶します。つまり、彼だけが問題意識を持ってしまうからです。支配しようとする人間にとっては、大衆が問題意識を持つということは非常に「危険」なのですね。また、「すばらしい新世界」には、「野蛮人生活区」と呼ばれる「未開地区」という保護区域が存在します。そこでは、子どもは「すばらしい新世界」のように試験管からではなく、母親のお腹の中から産まれてくるのです。ここで育ったのがジョンです、ジョンは「すばらしい新世界」に連れてこられるわけですが、ジョンの目にはこの社会はどうしようもない「愚者の楽園」としか見えません。ジョンは町でソーマの配給を妨害し逮捕され、支配者である総統から「すばらしい新世界」の全貌を説明されます。ソーマというのは「1984年」で出てくるプロレフィードですが、ここでは麻薬です。

今の日本人にとって、ハクスリーが「すばらしい新世界」で描いたディストピアは、ディストピアでなく本物のユートピアだと感じるのではないでしょうか?そして、日本の政治を見ていると、「すばらしい新世界」の構築に邁進しているかのように感じるのですが、そう思うのは私だけ?

みなさんの感想をお聞かせ下さい。

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2 件のコメント:

  1. 三鷹の隠居さん☆こんばんは
    夢や希望を持っていない日本人の多さを考えると、この本の世界の方がまだマシじゃないかという気もしました。
    考えることや疑問を持つことを無くしたら、もう人間じゃないんだって事を忘れちゃいけませんね。

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  2. たぶん、日本では学校で勉強して知識をつけること(教育)を優先させて、考えることを長い間やってこなかったのでしょうね。だから、教養のある魅力的な大人が少ないのだと思います。

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