深大寺の手水舎 息子がとうとう日本を脱出しました。
福沢諭吉の福翁百話に『成年に達すれば独立すべし』というのがあります。福沢さんというのは、どうなっているんでしょうね。時代に関わらず人生のどんな場面でもグッとくる一言を残しています。
往くを咎(とが)めず、去るを悲しまず、自由自在に任して、その働きのあらん限りを逞(たくま)しうせしむべきのみ。 斯(か)くありてこそ社会の進歩も期すべきことなれ(子供が家を出ても、責めたり悲しんだりしないで子供の自由にさせなさい。そして、子供が思う存分に世の中で活躍できるようにするべきだ。そうすることによって社会も進歩するというものだ)。
既に至当の教育を被りて成年に達するときは、独立の生計を営むべし。即ち父母の膝下(しっか)を辞するの時にして、これより後は一切父母の厄介たるを許さず。既にその厄介たらずとあれば、仮令(たと)い父母の尊厳無上なりというも、漫(みだ)りにその子の言行を妨ぐべからず(子供が教育を受け成人になったのであれば、独立し自活させるべきである。父母の家を出て、もう両親の厄介になってはいけない。父母の尊厳は重要であると言うが、やたらに子供の言うことや行動を妨げてはいけない)。
息子は、下関から船で上海。上海から夜行列車で北京。北京からシベリア鉄道に一週間、モンゴル経由で極寒のサンクトペテルブルクへ。そこからスウェーデン、フェリーでドイツに渡りフランスから大雪のイギリス。先日、ニューヨークに着いたとEメールが来ました。
ここ1年余りは日本で働いていたのですが、彼なりに考えた上での日本脱出なのでしょう。ニューヨークで育ち、大学時代の4年間はマンハッタンに住んでいたので、「Get back to where you once belonged」なんでしょうね。
福沢さんは更に言います。
「父母の役目というものは、子供を産んで養育するだけでは、半分も全うしたことにはならない。産んで育て一人前の男女とし、子供たちの世代で世の中の役に立つ人物になるように教育し、老若交代してこそはじめて父母の名に恥じないと言えるのだ」(「教育のこと」福沢文集 巻之一)。
キツイねぇ、、、。
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