2010年12月31日金曜日

ゲーム・チェンジャー

深大寺(今年はゲゲゲのおかげで随分と有名になりました)

われわれが最大の仮面をかぶるときは、内面にひそむ邪悪と醜悪をかくすためでなく、われわれの空虚さ(中味のなさ)をかくす場合である。何といっても、隠すのに最も難しいものは、存在しないものである(Our greatest pretenses are built up not to hide the evil and the ugly in us, but our emptiness. The hardest thing to hide is something that is not there)。

これは、エリック・ホッファーの『情熱的な精神状態』からのアフォリズム(金言)です。この一年半、日本の政治やマスコミを見ていて「これだ、コレコレ!」と思いました。

アメリカの雑誌、Foreign Affairesの11月号に、「The Game Changer」という中国に関するレポートが掲載されていました。「中国は、国際社会で大きなポジションを狙っているだけでなく、自分の都合の良いようにゲームのルールを変えるゲームチェンジャーだ」と批判しています。最近、アメリカのメディアでこういった内容の記事を多く見掛けます。これって、これまでアメリカがやってきたことなのにね。

一方、日本では「中小企業の活路は中国にある」と新聞やTVで中国ビジネスを奨励しているようです。中国に対する見方が相反しているので面白いですね。当の中国では、「中国はどんどん良くなっている」といった報道が急増しているようです(共産党の常として、ヤバイときに事実と真逆の報道をするのか?)。

経済力と軍事力でイギリスが覇権を握った19世紀半ばから第一次世界大戦までは、パクス・ブリタニカ(イギリスによる平和と秩序)と言われました。その後、アメリカが新興国としてのし上がって来て20世紀になってパクス・アメリカ-ナと言われるようになりました。特に、ソ連崩壊後は、アメリカの一極体制になりパクス・アメリカ-ナが長く続くかと思われたのです。ところが、そうは問屋が卸しませんでしたね。昨今、アメリカの弱体化は歯止めが掛からない。21世紀、パクス・シニカ(Pax Sinica)、つまり、中国による世界平和と秩序維持の時代が訪れることがあるのでしょうか?

政治や国際情勢の話題に深入りするのはやめましょう。 墓穴を掘っちゃいます。

子どもの教育に関して一言。

最近、グローバル社会で生き抜くために、英語教育だけでなく中国語まで子どもに習わせる親が増えてきていると聞きます。偏差値偏重の受験システムでは飽き足りず、国際人に育てるために中国語も必須だということなのでしょうか。

「優秀な人材に国籍は関係ない」と声高に叫ぶ政治家やコメンテーターもいるようですが、私はそうは思いません。やはり、世界を舞台に仕事をしようとすれば、自分が日本人であることを意識せざるをえません。あなたがどこの国の人か分からないようであれば、外国人と信頼関係なんて築くことは不可能なのです。これが国の外交ともなれば一層重要なことです。「日韓中を一つの市場と考えて、国境を取り払い、パスポートも要らなくなる」といったようなことを、日本の某国大使が発言したそうですが、もっとリアリスティックに考え行動して欲しいですね。大使たるもの国家を代表しているのですから。

年の瀬のウダウダの結論ですが、子どもには外国語もいいですが、日本の歴史や文化を正しく教えて欲しいものです。

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2 件のコメント:

  1. >日韓中を一つの市場と考えて、国境を取り払い、パスポートも要らなくなる」といったようなことを、日本の某国大使が発言したそうです< これは自由貿易協定の事を言っているのでしょうが、協定が国境を無くするなんていう発想は、救いようが無いですね。中国にゴマを擂っているんでしょう。正月早々、びっくりしました。
    未だにEUの幻想を見ている人が居るようですが、昨年から顕著になったEUの問題を見て考え直してもらわないといけません。

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  2. 幼稚園児のサッカーと同じ、つまり、ボールの行くところにみんなで追っかけている訳ですから、EUのことなど分からないでしょうね、今はアジア、ロシア、アメリカで忙しいですから。

    救いは、この1年半で国民の6~7割が覚醒したことだと思います。しかし、残りの3~4割の人がいなくなるまで後10~20年は必要でしょう。要は、そこまで持ちこたえることができるかでしょうね。

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