2010年7月19日月曜日

いつまでも変わらない日本の教育

昭和の初期に民俗学者の柳田国男が歴史教育について語っています。

「中等教育の科目は、大体これを二つに分けることができる。一つは、数学とか理科で、もう一つは国語なり地理歴史である。数学とか理科は、世界どこに行っても同じように教えられ同じように役に立っている共通の学科である。しかし、国語なり地理歴史なりは、これに由って同時に生徒を日本の好き青年たらしめ、さらになお将来の『好き日本人』たらしむるために、とくに設けられている科目である」と。

どこかで書いたような気もしますが、歴史は国によって異なって記述されていますし、それでいいのです。また、同じ国でも時代によって見方は変わってきます。戦後60数年が経ち、当時は明らかにできないような事実だって判明する場合もあります。つまり、歴史とは相対的なものなのですね。歴史教育のキーポイントは、こういったことを子供たちに伝えることだと思います。

日本は歴史教育だけでなくて、政治や経済においても相対的というのが下手くそです。恐らく列島の中で既得権益を守ろうとする力が強すぎるのでしょうね。動的に変化する世界情勢の中での日本の位置を認識することなく、列島内の既得権益だけをいつまでも守ろうとするのであれば、この国はこのままゆっくりと収縮していくでしょう。

日本の教育は、一番分かりやすいサンプルです。

受験を中心とした教育システムを否定して本当に改革してしまったら、塾や予備校の夏期講習は成り立ちませんし、学校の多くの先生たちは教え方を変えなくてはいけません。そして、親も自分たちの責任を学校や塾に押しつけられなくなります。大人たちは自己中心的に既得権益を守ろうとするため、子供たちは世界の中で相対的に競争力のない大人になっていきます。

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3 件のコメント:

  1. 私は、日本の近代史を学校で勉強した覚えが殆どありません。今になって、本を読み、戦前戦後を知ろうとしています。

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  2. 最近の若い人の中には、インターネットで色々と自分で調べている人たちもいると聞きます。ただ、まだまだ少数の人たちでしょうね。日本のdigital divideは、50%-50$じゃなくて、10%-90%くらいの割合で、多くの人がスローガンやデマゴーグに騙されるのでしょう。

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  3. インターネットには、実に多様な、時には恐ろしくなるような歴史観の持ち主がコメントしているのを見ます。そんなコメントに惑わされないためにも、教育は大事ですね。

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