2011年8月2日火曜日

Turning Japanese(日本化)とアメリカ

アメリカのデフォルトは債務上限引き上げで回避されました。 英誌エコノミストは、欧米が日本化(Turning Japanese)していると揶揄しています。 意思決定の遅さからリーダーシップの欠如を批判しているわけです。
英誌エコノミストの表紙

今年も原爆記念日がやってきます。 日本の指導者って、原爆記念日に何を思うのでしょうね? 私はこの季節に日本にいるのが昔からいやでした。 日本もアメリカも嫌いになるからです。

「イギリスとの独立戦争を戦い、独立を勝ち取って成立したアメリカ合衆国は自由と平等の国、、、、」、日本のメディアでアメリカの歴史にふれるとき、いつもこのように始まります。 アメリカ人だって、臑に疵持つ身、全てを明らかにはしたくないのでしょうが、ほとんどのアメリカ人は、アメリカ先住民族(アメリカインディアン)虐殺の歴史を意識しています(反省しているかは別として、土地を奪ったのは事実ですから)。 高校の歴史の授業でも、pre-Columbus Americas(コロンブス以前の南北アメリカ)をしっかり教えています。

「神から与えられた神聖な使命である」と、キリスト教徒になるか皆殺しかの選択を迫り、先住民族の文化(氷山の海面下の部分)を破壊したこと、それが「野蛮」から「文明」への進化であると独善的に主張したのでした。 現代のアメリカは、先住民族がアメリカ大陸に何人いたのかを明確にしていないようです。 つまり、先住民族の数を明らかにすると、虐殺の規模が明らかになってしまうからです。 アメリカ建国の歴史が、スターリンや毛沢東の虐殺と並ぶような規模だと困っちゃいますものね。

『神神の微笑』(1922年 大正11年)は、芥川龍之介の日本論、日本人論です。

ヨーロッパから来たキリスト教宣教師が日本での布教活動の壁にぶちあたり、ホームシックになっている物語です。 物語の中で奇妙な老人が宣教師にささやきます。

「外国から日本に来たものは、表面上は勝利したように見える、例えば、中国の漢字やインドの仏教、しかし、これは日本化したものであり、彼らの勝利ではない。 事によると宣教師の神も、この国の土人に変るでしょう。我々は木々の中にもいます。 浅い水の流れにもいます。 薔薇の花を渡る風にもいます。 寺の壁に残る夕明りにもいます。 どこにでも、またいつでもいます。 御気をつけなさい。 御気をつけなさい、、、」。

芥川龍之介が言う日本化は、日本人が長年築き上げた「造り変える力」ですが、英誌エコノミストは、日本のリーダーシップは未開で遅れたものだ、アメリカ大統領も堕ちたものだねと、日本とアメリカを同時にシニカルに切って捨てています。

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