「吾輩の運動」じゃないですが、最近あまりにも蝉が喧しいので、散歩がてらに近所の蝉を観察してきました。 油野郎ばかりです。
幼虫で5~6年も土の中で過ごし、成虫としては2週間ほどしか木の上で鳴いていないのに、油野郎なんて呼んだら気の毒ですね。 アブラゼミです。 『吾輩は猫である』の吾輩は、アブラゼミはしつこくていかんと言っています。 失礼な猫です。 吾輩のお気に入りは、ツクツクボウシのようです。日本だと、子供でも蝉の種類をいくつか言うことができますが(吾輩のように猫だって知っています!)、多くのアメリカ人は「cicada(蝉)」さえ知らなくて、「虫(insect)」でおしまいです。 中国では「知了」です。 ジーリャオと鳴き声から漢字に当てはめたものです。 吾輩のように生食ではありませんが、素揚げにして塩を振って食べちゃいます。 蝉の抜け殻は生薬となります。
蝉の鳴き声って、蝉取りに走り回った小学生の頃に連れて行ってくれますね。 羽根が透明なクマゼミを捕まえるとヒーローでした。 当時も油野郎は、、、、、失礼。
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夏目漱石 『吾輩は猫である』蟷螂 (カマキリ)狩りに次いで蝉取りと云う運動をやる。 単に蝉と云ったところが同じ物ばかりではない。 人間にも油野郎、みんみん野郎、おしいつくつく野郎があるごとく、蝉にも油蝉、みんみん、おしいつくつくがある。油蝉はしつこくて行かん。 みんみんは横風で困る。ただ取って面白いのはおしいつくつくである。 これは夏の末にならないと出て来ない。 八つ口の綻(ほころ)びから秋風が断わりなしに膚を撫でてはっくしょ風邪を引いたと云う頃、熾(さかん)に尾を掉(ふ)り立ててなく。 よく鳴く奴で、吾輩から見ると鳴くのと猫にとられるよりほかに天職がないと思われるくらいだ。 秋の初はこいつを取る。 これを称して蝉取り運動と云う。
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