2010年2月9日火曜日

親の務め ~ 子供が子育てできるまで

(ローリーが3ヶ月間過ごした、成田三里塚 第七ゲート 農水省動物検疫所天浪検疫場。フェンスの向こう側は滑走路)。

我が家の老犬ローリーを見ていると、人間の一生のダイジェスト版を見ているようですね。

人間は動物です。人間も動物も程度の差こそあれ情愛は同じです。では、「人間と動物の違いは何であろうか?」という疑問に対して、福沢諭吉は答えています。それは「相手に対する敬意だ」と。将来の社会を担う子供たちの教育は、人間の「本心」から出た情愛をベースとした思いやりが大切であり、動物と違って人の間には敬意が存在すると。

情愛や敬意がない子育ての継続は、社会正義が機能しなくなり、卑怯者の大量生産となってしまいます。

私は、息子が納税者になった時、「親の務めは終わった」とホッとしたのですが、強烈な批評家である福沢さんは容赦なく言っています。

「父母の職分は、子を生んでこれに衣食を与うるのみにては、未だその半ばをも尽したるものにあらず、これを生み、これを養い、これを教えて一人前の男女となし、二代目の世において世間有用の人物たるべき用意をなし、老少交代してこそ、始めて人の父母たるの名義に恥ずることなきを得べきなり」(「教育のこと」福沢文集 巻之一)。

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4 件のコメント:

  1. 福沢先生の言葉は、厳しいです。私の子育てもまだ、道中半分位です。

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  2. 私は福沢諭吉のことを30年ほど誤解していました。福沢さんには悪いことをしました。一万円札を見る度に謝っています(嘘です)。

    これまで、冷淡な批評家というイメージしかなかった。それは、世の中にある多くの福沢諭吉に関する出版物の影響かもしれません。自分で福沢諭吉の著書を読まずに、そういった出版物を読んで軽信してしまった。多くは福沢諭吉を実学の先生としていると思います。私は福沢諭吉は何者かと問われると、彼はナショナリストだと思います。

    福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で、「軽信することなく取捨を断ずること」と警告しています。

    今の日本は、TVをはじめとするマスコミを軽信しすぎてこんな有様になったのでしょうね。

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  3. 私も、福沢先生がナショナリストである事に同感です。あの時代の偉人は、まだ国という概念が浸透していない中、本当に国の発展に尽くしていたと思います。凄い人達です。
    今の政権がやろうとしている事は危険ですが、これを進める大人を見た子供がおかしいと思わなくなると、もっと恐ろしい事になる、と思われませんか?

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  4. ご存じのように、福沢さんは「一国が独立するには、国民一人一人が賢くなり、独立しなければいけない」と言っています。個々人が、「野蛮」からの距離を遠ざけるように努力しないといけない。それは、「智徳(インテレクトとモラル)」と「人間交際(ソシアル)」によって成し遂げられるべきで、そうして「野蛮国」は「文明国」に進化する。そこに教育が存在すると。

    明治維新前後にアメリカやヨーロッパを自分の眼で見た福沢さんが得た教訓ですね。

    今の日本は、独立とは真逆で「依存」の世界です。多くの人が国家意識のない日本(という社会)にぶらさがろうとしている。依存だと言うと、「格差社会はよくない」と反撃されてしまう。

    福沢さんが今の日本をみたら、椅子から転げ落ちるほどびっくりされるでしょうね。まだまだ「文明」にはほど遠く「野蛮」に近いですからね。

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