毎年、日本からささやかなプレゼントを送ります。
この荷物を出すと、「ああ、冬が終わるな」と感じます。三寒四温をへて、やがて桜の季節へ。遠く離れたテネシー州ナッシュビルの孫たちに、日本から小さな春を届ける――それが、ジージとバーバのささやかな季節行事です。
ところが、今年は様子が違いました。
追跡サービスで確認すると、荷物はきちんとアメリカに到着し、シンシナティの中継地を経由して、目的地であるナッシュビルまで届いている。よしよし、順調だ――と思ったら、画面に冷たい文字が出ました。
「支払い待ち」
何の支払いだ?
誕生日プレゼントにツケが回るのか?
息子に確認すると、返ってきた答えは一言。
「トランプ関税だよ」
なるほど。
これは日本からアメリカへの「輸出」と見なされ、受取人である息子に輸入関税28ドルの請求が来たというのです。
申告額は40ドル(手品用品)と40ドル(文房具)、合計80ドル。
実際はもう少し安いかもしれません。何しろ1ドル155円の円安ですから、ドル換算すると日本の品物は何でも安く見える。いいのか悪いのか分からない。
それにしても、80ドルに対して28ドル。
ざっと35%。
なかなかのパンチ力です。
なんだか、ヤクザのみかじめ料を取られた気分になりました。
「ここを通るなら払ってもらおうか」
そう言われたようなものです。
こちらは商売をしているわけでもない。レアアースでもない。
子ども用の手品道具と文房具です。
それでも28ドル。
トランプの国家戦略というのは壮大だそうですが、最前線はどうやら我が家の小包がターゲットらしい。
ジージとバーバにとって誕生日プレゼントは、品物の値段ではありません。
送るという行為そのものが、うれしいのです。送料が高くても仕方がない。
そこに「支払い待ち」。
なんとも味気ない。興ざめです。
まあ、払うでしょう(実際は受け取る息子が)。
孫の誕生日に、政治と喧嘩しても仕方がない。
それでも今年の春は、少しだけ苦い。
小さな手品道具と文房具に、
28ドル分の現実が添えられました。
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