2025年6月24日火曜日

戦略なき国で、反抗を学べ

        B-2 Bomber (US Airforce HP)

アメリカのトランプ政権がイラン本土への空爆を実施しました。B2爆撃機による軍事行動です。しかし、日本の政府も、メディアも、そして国民も異様なまでに静かです。この異常な沈黙こそが、日本という国の現在地を示しています。

この出来事は遠い中東の話ではなく、極東に位置する日本にとっても無関係ではありません。アメリカが軍事的リスクを背負い、国際秩序をさらに混乱させる今、日本は安全保障やエネルギー供給の面で決定的な脆弱性をさらすことになります。その最前線にいるのが、我々です。

にもかかわらず、メディアは“コメ騒動”や芸能人のスキャンダルに夢中で、政治家は自分の次の選挙のことで頭がいっぱい。国民の多くは半ば無関心。30年後の日本が中国の衛星国家になっているかもしれないという岐路に、私たちはすでに立っているのです。

しかも、現在の日本のかじ取りを託しているのは、自らの身の保身しか頭にない官僚と、彼らにすら侮られる政治家たちです。

これが今の日本です。
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こういう現実を目の前にして、「だったら自分たちはどうすればいいのか?」という声が出てくるのは当然です。

つい先日、20代後半の若者から真剣な問いかけを受けました。

「今の自分は、何をするのがいいのでしょうか?」と。

この問いは、すべての20〜30代にとっての問いでもあるはずです。

以下、いくつかの視点を提示します。決して「正解」ではないかもしれませんが、いま立ち止まっている人にとっての“突破口”になるかも知れません。  

1. 無力感に飲まれないこと ~ まず「知る」ことから始まる

無力に感じるのは当然です。でも、そのまま立ち止まっていては何も変わりません。まずは、「知る」ことから始めるのがセオリーです。

ただし、テレビのワイドショーやSNSの切り抜き動画ではなく、英語の一次情報。世界のシンクタンクのレポート、国際報道、外交政策・安全保障・エネルギーに関する原文資料。「誰かがまとめた情報」ではなく、「自分の目で読んだ世界」が、思考と視野を圧倒的に変えます。
 
情報を受け取る姿勢の差が、未来に対する構えを決める。それが現実です。
 
2. 小さな「当事者」になる ~ 自分の地面で動いてみる

「国の政治を変える」なんてことは、すぐには無理です。でも、たとえば市議会に目を向けてみる、近くの選挙を見てみる、地元で起きている公共事業の決定過程を調べてみる——。そんなところにも国家の構造が透けて見えてきます。

「関係ない」と思っていたことが、実は自分に深く関係している。そう気づいたときに初めて、「危機意識」が「当事者意識」になる。小さくても、具体的に動いてみる。その経験が思考を地に足のついたものに変えてくれます。

3. 海外を視野に入れる ~ 日本だけに人生を預けない

日本が将来どうなるか不透明な時代、視野を国外に広げることは贅沢ではなく、生存戦略です。

語学を身につける。海外の大学や職場に触れてみる。リモートで国際的な仕事に関わる。「自分の生き方を日本の社会構造に100%預けない」という判断ができるかどうか。これは逃げではなく、自分の人生に対する責任の取り方でもあります。

4. 政治を他人事にしない ~ 投票と対話の再定義

「投票しても何も変わらない」という言葉を、何もせずに繰り返すことこそが最悪のパターンです。

確かに、ひとりの一票では世界は変わらない。でも、「変えようとした」という記録を残すことが、民主主義の唯一の入口です。

また、同世代の仲間と「なぜ無関心になるのか」を話してみる。それは他人を責めるためではなく、社会と自分の距離を測る大事なリハビリになります。

最後に:反抗することからしか始まらない

この国の現状に対して、怒りや不安を抱くのは健全な反応です。問題は、それを押し殺して従順(submissive)になってしまうこと。

カミュが「不条理」に対して投げかけたのは、希望ではなく反抗でした。正しさなんて後から決まるものです。まずは「これはおかしい」と疑い、「そうはならない」と踏みとどまる。その一点に、自分の軸を置いてみる。 実存が本質に先行する。最初は自分が何者か分からない。知識を得、色んな人に会い、経験を積んで、何者かになって行く。それが本質である。

これは、サルトルの実存主義に関する私の理解です。主体性に欠け自己欺瞞を続ける日本人は、新たな価値の創造なんて益々苦手になって行くのかも知れません。

何かを信じろとは言いません。だが、何にでも従うなといいたい。

それが、沈みかけた社会に残された、最後の自由です。

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