2012年7月29日日曜日

吾輩も暑いのは苦手

ちょっといい置物でしょう!

こう暑くては猫といえどもやり切れない。 皮を脱いで、肉を脱いで骨だけで涼みたいものだと英吉利(イギリス)のシドニー・スミスとか云う人が苦しがったと云う話があるが、たとい骨だけにならなくとも好いから、せめてこの淡灰色の斑入(ふいり)の毛衣だけはちょっと洗い張りでもするか、もしくは当分のうち質にでも入れたいような気がする(夏目漱石『吾輩は猫である』第六話の冒頭)。

『吾輩は猫である』の登場人物の中に、吾輩の主人である珍野苦沙弥(ちんの くしゃみ)の友人で美学者の迷亭くんがいます。 ホラ話で人をかついで楽しむのが趣味の人です。 私はこの迷亭くんの存在が『吾輩は猫である』を粋な物語にしていると思います。 こういった人物を創造できるところが夏目漱石のユーモアの精神で、私が好きなところです。 
  
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