2013年3月27日水曜日

桜の森の満開の下

武蔵野市役所前

坂口安吾と言う人も長いこと誤解していた人です。

学生の頃に、『桜の森の満開の下』という坂口安吾原作の映画が上映されました。 その映画の印象がよくなかった。 だから、坂口安吾は敬遠していました。 今、『堕落論』を読み返してみると、この人はすごいことを言っていることが分かりました。 言っているタイミングがすごい。 敗戦後、半年で以下のように言っています。

「終戦後、我々はあらゆる自由を許されたが、人はあらゆる自由を許されたとき、自らの不可解な限定とその不自由さに気づくであろう。人間は永遠に自由では有り得ない。なぜなら人間は生きており、又死なねばならず、そして人間は考えるからだ。政治上の改革は一日にして行われるが、人間の変化はそうは行かない。遠くギリシャに発見され確立の一歩を踏みだした人性が、今日、どれほどの変化を示しているであろうか」 坂口安吾『堕落論』(1946年)。

安吾が今の日本に関して問われれば、以下のように回答するのではないかな、、、、。

「日本や日本人とは、いつまでたってもお気楽なものだ。 むなしい人間関係の上に安眠し、社会制度や国際情勢というものに全身を投げかけて平然としている。 堕落のもつ性格の一つは孤独であると敗戦直後に言ったではないか。 だから、人間の持っている自然の姿(人性)に帰るためにも、もっと孤独になれ。 とことん堕落しろ! そして、 一人荒野を歩いて、そこから這い上がれ」。

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2 件のコメント:

  1. 坂口安吾の「堕落論」。大学の時、衝撃を受けました。何度読み返しても新鮮な驚きがあります。就職面接で「感銘した本は?」と聞かれ「堕落論」と答えて落とされました。面接官は、読んだ事がなかったのでしょう。題名だけだと「誤解?」しますよね。

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  2. 大学生だと早熟だったのですね。今でも日本企業(特に人事部?)の多くは、安吾が言うところの「堕落」を理解していないと思いますよ。

    安吾は『堕落論』で、「徹底的に堕ちろ、でなければ日本や日本人は再生しない」と敗戦後半年(1946年)で言い切った。「大東亜戦争でも日本は徹底的に堕ちていない。もっと堕落して、孤独になって悩み、そこから這い上がれ」と言ったのです。すごいですね。

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