2023年6月4日日曜日

アイデンティティの崩壊

 



東大の先生の記事

東京大学の先生が「日本の大学には優秀な人材が定着しない」という記事を書いていました。習得主義と履修主義を説明して、日本の履修主義は大きな問題であるとも指摘しています。「履修主義」とは、小中学校で学ぶ生徒が「所定の教育課程をその能力に応じて、一定期間履修すればよいのであって、特に最終の合格を決める試験もなく、所定の目標を満足させるだけの履修の成果を上げることは求められていない」とするシステムです。つまり、学力的には「ザル」だし、教育現場が倫理・道徳的な鍛練の場だとも言えません。これが日本の現実なのです。アメリカの習得主義はお金で解決する場合が多い傾向にありますが、、。

アメリカのアイデンティティ

1970年代の初頭、アメリカの崩壊は大学から始まったと指摘したのはアンドリュー・ハッカーでした。日本はアメリカにほぼ全てを依存している訳ですが、社会の状況は30年くらい遅れて後を追いかけているように思います。http://ibg-kodomo.blogspot.com/2016/06/14.html

アメリカのホワイト層の給料は日本の4~5倍でしょう。でも、優秀な日本人はアメリカで生き残れるほど精神的にタフでしょうか? アメリカ人(サバイブする人たち;恐らくトップ20%)はアメリカのとてつもなく理不尽な社会で何とか生き残る能力を幼稚園児の頃から鍛えられているのです。

アメリカ没落の原因の一つはアメリカのアイデンティティの崩壊です。サミュエル・ハンティントン(ハーバード大学教授、故人)は1990年代の半ばに、アメリカは将来的にプロテスタントの倫理観念とアングロサクソンの政治文化を失い国家としてのアイデンティティが無くなると予言しています。日本のアイデンティティを喪失させることに成功したアメリカは70~90年後に自らのアイデンティティを失うこととなる、、、何という皮肉か

日本のアイデンティティ

フーテンの寅さんの口上はアイデンティティの確認作業です。フーテンで全国をフラフラしている寅さんでも、葛飾柴又に家族や時間を共有した昔からの隣人たちがいる。つまり、アイデンティティを持っているからフラフラできるのです。寅さんのアイデンティティは葛飾柴又の人たちが護っている。

1970年代の中ごろまでは、日本でも評論家や大学の先生たちが日本のアイデンティティ喪失の危機感を盛んに議論していました。ところが、いまやそんなこと問題にしている知性はどこにもいませんね。知性の崩壊、これもアメリカと同じ道を歩んでいます。30~40年遅れて、、、、。

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