2017年4月7日金曜日

時間に関する感覚

奈良 秋篠川

毎年この季節に桜が咲くのは循環的変化です。在原業平の時代から今に至るまで同じです。来年のこの季節にはまた咲くでしょう。一方、人は不可逆的変化です。人生は一回。青春期も壮年期も中年期も老年期も一回きり。二回目はないのです。

最近、日本人は時間に対して非常に鈍感になったように感じるのですが、どうでしょうか? もっと、一日一日を楽しく過ごせばいいのに。

世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし (在原業平)

世の中に桜と云うものがなかったなら、春になっても、咲くのを待ちどおしがったり、散るのを惜しんだりすることもなく、のんびりした気持ちでいられるだろうに。

これには以下の反歌があります。

散ればこそ いとど桜はめでたけれ 憂き世になにか久しかるべき

桜は惜しまれて散るからこそ素晴らしいのだ。世に永遠なるものは何もない。

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