2012年3月14日水曜日

映画『七人の侍』から学ぶ

映画『七人の侍』(黒澤明監督 1954年)は戦国時代、野武士の略奪に困った百姓たちに雇われた七人の侍が、野武士の一団と戦う物語です。

チームビルディングの教科書

日本人が得意だと思っているけど、実は、非常に苦手な「チームビルディグ」の教科書のような映画です。 チームビルディングは、「Form(形成期) → Storm(混乱期) → Norm(通常期) → Perform(成果期)」の「Form」にあたる部分です。 メンバーが固定化する日本企業には馴染みがないかも知れません。 しかし、今後は日本でもプロジェクト毎に新しいメンバーと仕事をするというコンサルティング型が増えてくるでしょう。 今からでも意識しておいたほうが賢明です。

農民に防衛を委託された『七人の侍』のリーダーは、同じような性格や技術の侍を集めるのではなく、バラエティにとんだプロフェッショナルを7人集めます。 リーダーは、各人のプロフェッショナルとしてのスキルを確認した上で、付加価値を求めています。 バラエティはプラスアルファの部分ですが、チームとしてのバランスを考える上で非常に重要なポイントです。

七人の侍

千秋実が演じる平八、映画の中では最初に死んでしまいます。 リーダーは「こいつは侍の技量は中くらいだが、明るいから困難に陥ったときには役に立つのだ」と言い、チームへの参加を認めます。 平八のムードメーカーの部分をリーダーが評価してメンバーに入れた訳です。 どんな局面になっても、ユーモアの精神が大事なことを教えています。

加藤大介演じる七郎次が百姓に、「話すのはいい、話す方がいい、、、」と落ち込んでいる百姓に問いかけます。 加藤大介にうってつけの役だと思います。 三船敏郎の菊千代は、侍と百姓のコミュニケーションの橋渡しをいたる所で見せています。 侍と百姓という全く価値観の違うグループのインターブリッジ的存在です。

宮口精二の久蔵は凄腕の無口の剣客で、あまり他のメンバーとは交わりませんが、ちゃんと状況を見ていて、リーダーの指示がなくとも、さっと行動を起こして任務を完了して来る宮本武蔵みたいな奴です。 木村功が演じる若い侍は、久蔵を見て彼の強さと人柄に憧れます。 久蔵は修業中の若い武士(木村功)にとってのロールモデルです(カッコいいわけです)。

稲葉義男演じる片山五郎兵衛は、リーダーには優秀な参謀が必要であることを印象付けます。 どういった組織でもナンバー2の良し悪しが結果に大きく影響します。 志村喬は、七人の侍を率いるリーダーを演じています。 坊主頭をかく仕草が何とも愛嬌があり、器の大きさを現しています。

春は企業の新入社員教育の季節

『七人の侍』を観てグループ・ディスカッションしてはいかがでしょうか? グローバル人材の育成で苦労されている会社であれば有効だと思います。 海外プロジェクトの場合、「Storm」になることを前提として、いかに素早く「Form → Storm → Norm」の期間を乗り切り「Perform」に持って行くかが最初に乗り越えなければならない壁だからです。 この壁を意識しないで前に進もうとすると、プロジェクトは泥沼に陥る確率が高くなります。

この映画は、部課長研修でも有効です。 どういった視点でチームを組むかという勉強になるからです。 「人事部が送り込んできたから、、、、」という組織の作り方は欧米企業では考え難いですね。 自分の組織は自分で作る。 そのためにはクビを切る覚悟も必要になってきます。 日本の大企業の管理職は、スタッフを解雇した経験のある人は少ないですよね?

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