2013年5月27日月曜日

全てはわからない

蜘蛛の糸
(芥川龍之介は日本人と宗教を考えたのだと思います)

和辻哲郎は「人間は個人としてだけではなく、人と人の間があるからこそ、そこに人間が存在するのだ」と考えました。 

和辻哲郎の、人と人の間(これは、福沢諭吉が言った「人間交際」だと思いますが)には、個人の自立が大前提になっているのでしょう。 アリストテレスが著書『弁論術』の中で、パトス(パッション)やロゴス(ロジック)の前に、エトス(エシック:倫理観)の確立が重要だと言ったことと同じことだろうと思います。

個人の自立には、自分を知ることが大事だと思うのですが、自分自身のことも100%分かるものではありません。 だから、人と交際したり、書物や自然など、あらゆる他者と接して自分を理解しようとしなければいけないのです。 

死後の世界は分からない。 分からないものに対しては、恐怖心が起こります。 だから、宗教が存在します。 宗教心が希薄な日本人(私を含む)は、分からないものに対する恐怖心を、考えないことで誤魔化しているのか、それとも、自分を含め、全てのものを理解していると考えているのか? もし、後者であれば、日本人って、かなり傲慢で尊大な民族ですね。 

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