昨日動物園にゴリラを見に行ったとする。それを文章に書く時、「昨日家族と一緒に動物園に行きました。そしてゴリラを見ました。大変大きくて強そうでした」。これは小学生の作文です。動物全般とか動物園とか地球の環境問題とか人と動物の関係とか、そういった抽象度を上げる(普遍性の高い社会全般の問題)話をした上で、具体的なトピックと統合していかないと大人の議論にならない。多くの日本の組織では抽象度の高さより、具体性や論理性の方が重要だと思われています。
文章を書く「形式」は大事なのですが、もっと重要なことは抽象度が高いところから具体的に落とすこと、ちゃんとした概念が文章に埋め込まれているかの2点です。これはプレゼンでも会談でも同じです。特に外国人と初めて会うときの会話においては意識しておかないとなめられます。終始風下に立たされることになる。
抽象度が高いということは全体を見るということで、書き手や話し手の世界観・社会観を示すことなのです。小学生の作文じゃないので、正しい概念を使って文章を構成することも大事です。その人の教養レベルが分かります。私のようなロートル(老頭)は手遅れです。今更どうしようもない。しかし中高生にとって、小学生の作文を論文に進化させることは多くの日本人が考えるよりも重要なのです。
総理のトランプ大統領との会談が迫っています。いまから作文は論文にはならない。「形式」だけでもトランプ大統領のスタイルに合わせたほうがいい。これほど文化の違う相手には、総理の感情や態度では説得がむずかしい。だとすると、形式(論理)で話す以外に方法はない。外務省も担当の通訳も認識しておくべきことでしょう。
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