1976年、初めてUSに行った時にドジャーススタジアムを訪れました。
試合を観に行ったのではなく、昼間に誰もいないスタジアムに行って、日本から観光に来たから「中を見学させてくれ」と警備員に言ったのですが、もちろん断られました。それでも「Just One Look !」と言って粘ったのですが、ダメでした。
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昨日はロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショー投手の現役最後の登板でした。試合は大谷翔平の逆転3ランで劇的に盛り上がり、名投手の花道を飾るにふさわしい舞台となりました。実況アナウンサーは大谷とベッツの連続ホームランを「back to back!」と叫び、試合後には往年の名選手アレックス・ロドリゲス(Aロッド)がインタビューで大谷を再び「GOAT」と呼びました。「back to back」とは「連続して」という意味の英語で、アメリカではよく耳にする野球用語です。私自身、大人になって初めて知った表現でしたが、いまでは日本の中継でも自然に使われています。そしてそれ以上に驚いたのが「GOAT」です。
「GOAT」は “Greatest Of All Time(史上最高)” の略。ヤギの絵文字とセットでSNSを中心に広まったスラングで、単なる「legend」や「master」では足りない、圧倒的な存在を称える言葉です。アメリカ発のネットスラングが、こうして日本語実況の中に溶け込んでいるのを見ると、時代は変わったなあと感じます。
もっとも、言葉の流行という点では日本語も負けていません。私はテレビ・新聞や雑誌も見ないので、日本語の流行語に置いて行かれることが多く、家人から「また知らないの?」と笑われます。「あたおか」とか「メンブレ」とか、最初に聞いたときは呪文のようにしか聞こえませんでした。さらに最近では「推し活」です。好きな芸能人やキャラクターを応援する活動を指すそうですが、私は全くついていけません。スラングは「時代の空気」を映す言葉です。ネットスラングは単なる流行語ではなく、“文化の鏡”でもあり、知っていればSNSや趣味活動でも話題に入りやすいのだそうです。しかし、私はジジイなので、そこまで頑張って若者言葉を覚えるつもりはありません。世代間交流を図ろうとも思いません。年寄りとは、いつの時代もそういったものなのです。
「GOAT」と呼ばれることは、単なる「上手い」や「スター」という評価を超えて、その人が時代を代表し、永遠に語り継がれる存在であるという意味を持ちます。大谷翔平が「GOAT」と呼ばれるようになったことは、彼の記録や数字を超えて、文化的な象徴になったことを示しているのかもしれません。アメリカの伝統・文化であるベースボールを変えつつあるのかもしれません。
言葉の広がりと時代の変化。「GOAT」という言葉が、今は大谷翔平とともに世界中を駆け巡っています。
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