2012年2月12日日曜日

芥川龍之介 『蜘蛛の糸』


芥川龍之介は太宰治のヒーローだったことは有名です。 最近、「太宰は芥川の人生を逆さまに生きた」とどこかで読みました。かっこいい表現ですね。 しかし、『或る阿呆の一生』を書いて自殺した芥川、『人間失格』を残して自殺した太宰、「逆さまに生きた」というよりも、太宰は芥川をロールモデルとして芥川の人生を年代順に辿ったのではないでしょうか。

小学校の時に太宰治の『走れメロス』を習います(以前、ブログに書きました)。 そして、芥川の『蜘蛛の糸』も国語の教科書にありましたね。 小学生だった私は、この『蜘蛛の糸』を読んでから、「小さな虫でも殺しちゃいけない、地獄に堕ちる」と思ったものです。 今の若い先生方は小学生に『蜘蛛の糸』をどう教えているのでしょう? 非常に興味があります。 だって、今の日本って国中が自己中心的なカンダタの国になっちゃいましたからね。

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『蜘蛛の糸』は芥川龍之介(1892~1927)の著作と思われていますが、鈴木大拙(1870~1966)が日本語訳した『Karma : a story of Early Buddhism』(Paul Carus 1852-1919)が原作だそうです。

『蜘蛛の糸』芥川龍之介(1918年) 青空文庫

「そこで 陀多(カンダタ)は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己(おれ)のものだぞ。お前たちは一体誰に尋(き)いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚(わめ)きました。その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急に 陀多のぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断れました。ですから 陀多もたまりません。あっと云う間もなく風を切って、独楽(こま)のようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、月も星もない空の中途に、短く垂れているばかりでございます」。

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