2012年3月11日日曜日

(続)大衆の反逆

オルテガはスペインの哲学者で、『大衆の反逆』は1930年に刊行されました。 白水社から選書で再販されています。


大衆が社会を支配すべきではない。 もし支配するようになれば危機的な状況になり、そのことを『大衆の反逆』と言ったのです。 19世紀後半の指導者に対して「彼等の罪は自分の責任に対する不完全な自覚のことであり、この自覚の不足から警戒や見張りを続けることを怠ったのである」と糾弾しています。

今の日本にも同じことがいえませんか? 政治家が「国民のみなさまのために」というのを聞くたびに、オルテガの『大衆の反逆』を思い出してしまいます。 このブログで『大衆の反逆』を取り上げたのは震災前の2010年8月でした。

http://ibg-kodomo.blogspot.com/2010/08/blog-post_1636.html

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2012年3月10日土曜日

文明と文化の間

夕べの西新宿1丁目の交差点です。 傘の波に思わずシャッターを切りました。 新宿は311前のいつもの新宿でした。

1980年に入ってから『ライシャワーの日本史』は日本語版が出版されました。 30年ほど前のことです。

ライシャワーさんは、結びに「これまで以上に意思疎通に熟達し、心底から他国民との共同体意識をもつことが日本人に求められているのである」と警鐘を鳴らしています。 日本が世界に貢献できることは理論的にはいくつか考えられるが、それには日本人が克服しなければならないいくつかの課題がある。 それらは、際立った独自性をもつ言語の問題や、対人関係にみせる特有の流儀、自分たちはユニークだという思い込みの排除だと言っています。

ライシャワーさんは、当時の日本を「世界で最も安定した健全な大国として1980年を迎えた」と賞賛しています。 ライシャワーさんが今の日本を見たらどう思うでしょうか? かなり落胆されるでしょうね。 自分の愛するものに裏切られた、、、と。 勿論、世界情勢も30年前とは劇的に変化しました。 ライシャワーさんは、ソ連の崩壊や東西ドイツの統一、アメリカの弱体化や中国の急速な成長はご存じありません。

資本主義の行き着くところなのか、各国は自分勝手な行動に突っ走る傾向にあります。 しかし、今の日本は外の世界との関係ではなく内部崩壊ですからね。 私は、日本は文明と文化の間にあるギャップを上手にマネージすることが下手なのだと思います。 そもそも自分たちに向き合わないことに慣れてしまった日本人は自分たちの文化に無関心になってしまった。 高度成長期にもどれという意見があります。 でも私は種子島の鉄砲伝来の16世紀あたりに立ち返り、安土桃山から徳川時代を振り返ってみるのが将来へのヒントになるような気がしてなりません。 信長・秀吉・家康やその後の将軍や幕府(shogunate)の幹部たちは、文明と文化のギャップのマネージに長けていたと思います。










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2012年3月9日金曜日

英語力よりも大事なこと

ライシャワーさんの日本に対する見方のすごいところは、大きな流れをしっかりと捉えているところです。一人の人物や一つの局面をつまみ出し、都合のいいように脚色する日本のマスメディアのやり方とは大きく異なっている点ですね。

ライシャワーさんは、アメリカ人であるにも関わらず日本に対する愛情が非常に強かった。 16才まで育った日本が本当に好きだったのでしょう。 その上、歴史学者という研究者の視点、また、アメリカに対する忠誠心をベースにした外交官という視点があった。 中国にも詳しいし朝鮮半島の歴史にも精通している。 こういった多面的な視点があったからこそ、日本という島国の歴史を「流れ」として捉えることができたのでしょう。

「日本人は、外の世界に対して優越感か劣等感のいずれかにとりつかれているようにみえることがままある」(『ライシャワーの日本史』1978年初出)。

優越感と劣等感のいずれかにとりつかれる、これは、まさにコンプレックスのことですね。 このあたりのセルフ・コントロールができないと、英語や中国語がペラペラと喋れてもグローバルに活躍する人材だとは言えません。 文明(新しい技術)が伝わっても文化(心の部分)が育たないということになります。

マッカーサーが植えた赤坂乃木神社のハナミズキ

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2012年3月7日水曜日

エドウィン・ライシャワー ~ 日本とアメリカの架け橋

Mr. & Mrs. Reishauer

新渡戸稲造はアメリカ人女性を妻として『武士道』を書きました。 日本人女性を妻としたエドウィン・ライシャワー(1910 ~ 1990)の以下の著書も是非読んで欲しいものです。 これほど日本や日本人を理解していたアメリカ人はいないと思います。
  • 『ザ・ジャパニーズ』 文藝春秋、1979年。The Japanese, Belknap Press, 1977.
  • 『ライシャワーの日本史』 文藝春秋、1986年/講談社学術文庫、2001年。Japan The Story of a Nation, C.E. Tuttle, 1978.
ライシャワーさんは日本(東京白金)で生まれ育ち16才になって渡米しました。 日本とアメリカという二つの立場でモノを見る目が養われていました。 このことがその後の彼の生涯を決定付けました。 ハーバード大学教授、駐日大使、そして、日本人よりも日本の歴史や日本人をよく知る日本通のアメリカ人となっていきました。  奥様のハル(春)夫人は、第四代総理大臣松方正義(薩摩藩出身)の孫にあたり、ライシャワーさん同様、調布のアメリカン・スクール(ASIJ)の卒業生でした。

ライシャワーさんは、「江戸時代の日本が、色々と違った考え方を認める余地のある多様性を許す社会制度だった」と言っています。 秩序を保ちながら多様性を許した社会であったと賞賛しているのです。 日本人のアイデンティティを確立したのは徳川家康であり、300年近く続いた江戸時代が今日の日本の「民主主義」と「安定」の基礎となっていると言い切っています。

私も同感です( TVドラマ『水戸黄門』を見ているとよ~く分かりますよね!?)。 民主主義に関してですが、士農工商、様々な制約はあったにもかかわらず、それぞれの身分の中で自由裁量の幅を持っており、社会的な一つの自治組織であったのだとアジアの他の国と比べて日本の特徴を説明しています。

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2012年3月4日日曜日

人望について

人生の半分は武士だった福沢諭吉

『学問のすすめ』の最終回は「人望編」です。 「友達をいっぱいつくることが肝要である」と言っています。

いつの時代でも、どの国で仕事をするにも大切なことは、まわりの人たちに理解してもらい支持されることです。 これが「人望」であり「求心力」です。 仕事を決められた期日内に終わらせることだけがリーダーシップではありません。 時間と品質だけを管理するのが管理職の仕事ではないのです。 仲間に対する気遣いやリスペクトがないと、組織としての相乗効果は生まれないもので、メンバーに対しても、何でも言わせる雰囲気を意識的につくり出すこともリーダーの重要な仕事です。

実は、これはワーク・ライフ バランスでもある。 つまり、相手のライフも尊重するということです。 自分のライフだけを尊重し、他者に自己主張だけをするのは間違いです。 福沢さんが強調する「人間交際(じんかんこうさい)」、つまり、ソーシャルスキル(社交性)の欠如だと言わざるを得ません。

福沢さんは、「人望編」で以下のことに気をつけなさいと言っています(少しばかり私の拡大解釈、、、)。

  1. 言語をまなばざるべからず(日本人なんだから日本語をしっかり勉強しなさい)。
  2. 顔色容姿を快くして、一見、直ちに人に厭わるること無きを要す(表情は明るく服装は身綺麗に、外見で人に嫌われることのないようにしなさい)。
  3. 論語「道同じからざれば相与(とも)に謀らず」を誤解しないように(考えや主義主張が違う人ともうまく付き合いなさい、つまり、コンフリクトからも新たな発見があるかもしれないと言っているのではないでしょうか? さすが、「際(きわ)」の魔術師、福沢さんですね。

「学問のすすめ」の結びは、「人にして人を毛嫌いするなかれ」。 これは海外を見てきた福沢諭吉が日本人に言いたかったことの全てなのかも知れません。

交わりを広くするの要はこの心事を成る丈け沢山にして、多芸多能一色に偏せず、様々の方向に由って人に接するに在り。腕押しと学問とは道同じからずして相与に謀るべからざるようなれども、世界の土地は広く人間の交際は繁多にして、三、五尾の鮒が井中に日月を消するとは少しく趣きを異にするものなり。人にして人を毛嫌いするなかれ。

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2012年3月2日金曜日

信頼関係の構築


コミュニケーションは重要だと言われます(英語や中国語の会話じゃないですよ)。 上海オフィスの中国人インターンにスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』を読んでもらいました。 懐かしいですか? 16年前の本です。

『7つの習慣』には、「信頼関係が構築されていると、コミュニケーションは良好になる」と書かれています。 当たり前のことですね。 そして、信頼関係の構築には以下のことを実践しなさいと言ってます。 理論じゃなく日々実践できるかがポイントでしょう。

1.理解他人(他人を理解しなさい)
2.注意小节(小さいことにも気を配る)
3.信守承诺(約束を守る)
4.明确期望(期待値を明確にする)
5.正直诚信(インテグリティを示す)
6.勇于致歉(過ちをおかしたら心から謝る)

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