2013年6月4日火曜日

ロールモデル


「噺の中の人物を演じるのではなく、まずは噺を演じている噺家を真似る」。 今は亡き桂枝雀さんが言わはりました(ここだけ大阪弁)。

枝雀さんは、芸にたいして大変厳しい落語家でした。 人はなぜ笑うのかを「緊張の緩和理論」として分析しました。 落語とは、噺家と客とのコミュニケーション、客との関係で緊張感を盛り上げ、最後に緩和させる。 だから笑いが起こるというのです。

枝雀さんは、お師匠さんである桂米朝さんを完全コピーすることから始めたそうです。 完成すると、ほかの名人たちを次から次へと真似ていった。 そして、そこから自分のスタイルを作っていったのでしょう(冷静な米朝さんと身体全体で表現する枝雀さんは全く芸風が違いますからね)。 

要するに、レベルの高いお師匠さん、つまり、ロールモデルを見つけることが大事だという事です。 子供は親の生き様を見て育つし、会社だって、社員は先輩や上司の行動に影響を受け、彼らの言動がいつまでも耳に残るのです。 自分のスタイルを確立するのは、真似ることが完全にできてからですね。

日本にはロールモデルたる立派な大人がいない、、、と言うよりも、日本人のエトスなんて所詮そんなものなのかと疑う今日この頃です。 

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