2012年8月1日水曜日

釈迦やイエスのような人ばかりじゃない

鉄人28号 第二巻 村雨兄弟

鉄人28号の一番の面白さは、リモコンが敵に奪われると鉄人が敵にまわるというところですが、登場する悪役もそれぞれに特徴がありストーリーを大変魅力的なものにしています。 悪役は、PX団、S国、スリル・サスペンス、ジャネル・ファイブなど外国を意識したネーミングになっていますが、その中に村雨兄弟という日本人ギャングが出てきます。 兄貴のほうはすぐに死んでしまうのですが、ギャングながらも日本の悪党の矜持を持っています。

日本人って三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)の傾向が強いと思っていたのですが、最近の日本人は、福沢諭吉が言うところの「公心」が急速に溶けて流れ出すという問題に直面しているように感じます。 福沢さんは今から130年ほどまえに、「政府とは国民の公心を代表するものである」と言っています。 でも、政治家に公心がなければ政府は成り立たないし、国民に国家意識なんて生まれませんね。

☆ ☆ ☆

人間の世界はあたかもこの公心と私心の二つの心の戦場のようなものです。仮にも、すべての人の私心が高い境地に進んで公心とぴったり合うような境地に至るということが実現しない限りは、公心の力によって私心を制御する以外方法はないことでしょう。さらに詳しく言うならば、社会のすべての人の心に一点の私心がなくなり、 釈迦、 孔子、イエスのような人ばかりとなって、つまり黄金世界が現実に見れるようになるまでは、人間がつくった法律によって人間の言葉や行為を抑制せざるを得ないことでしょう。 つまり、これが 政府というものが必要な理由です(『福翁百話』 第九十三章 「政府は国民の公心を代表する」)。

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