2012年7月2日月曜日

埋もれた日本

和辻哲郎

和辻哲郎が『埋もれた日本』(1951年)という随想集に『甲陽軍鑑』のことを書いています。 『甲陽軍鑑』は、甲斐の武田氏の軍法で、軍鑑とは戦(いくさ)の鑑(かがみ)と言うことです。 

和辻哲郎の『埋もれた日本』(1951年)は、キリシタン渡来時代前後(応仁の乱から江戸時代初期)の日本の思想的な状況について書かれています。 多様性(diversity)のあった思想が、徳川時代の長い鎖国政策によって芽を摘み取られたと言うのが和辻哲郎の主張です。 面白いですね。 応仁の乱以後の時代は下克上など社会が崩壊する時代で、そこから一揆といった民衆運動がおこりました。 

さて、『甲陽軍鑑』に国を滅ぼす4種類の大将のタイプが書かれています。

1.バカなる大将(頭が良くても武芸が優れていても、うぬぼれが強い人)
2.利根すぎる大将(見栄っぱりな人)
3.臆病なる大将(道義的性格の弱い人)
4.強すぎる大将(穏健な意見には耳をかさない人)
  
理想の大将は賢明な道義的性格のしっかりとした仁慈に富んだ人物であり、「人を見る明」が大事であると言っています。「明」は、うぬぼれや虚栄心や猜みなどのような私心を去らなくては得られない。 「大将がこの明を得れば、彼の率いる武士団は強剛不壊のものになる」と。 「明」と言うのは、真理を悟る智慧のことです。

果たして、今の「埋もれた日本」を掘り起こして再生させる大将は誰でしょう? 日本の軍法は
  
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