2012年1月15日日曜日

帰去来

伊勢湾を望む

以下は太宰治の「帰去来」の冒頭部分です(青空文庫より)。 これは太宰の戦中の作品です(1942年10月脱稿)。

人の世話にばかりなって来ました。 これからもおそらくは、そんな事だろう。みんなに大事にされて、そうして、のほほん顔で、生きて来ました。これからも、やっぱり、のほほん顔で生きて行くのかも知れない。 そうして、そのかずかずの大恩に報いる事は、おそらく死ぬまで、出来ないのではあるまいか、と思えば流石に少し、つらいのである。 実に多くの人の世話になった。 本当に世話になった。

「恩に報いる」って日本人だけのものではないのです。 人間ですから、欧米人でも中国人でも人は一人で生きていけませんからね。 ただ、恩に報いるレベルって国によっても違うし、勿論、人によっても違います。 太宰は太宰なりに恩に報いようとしたのでしょう。

私は関西の生まれですが、私の「帰去来」はいつになるのか? その時までは「のほほん顔」で生きていくしかないのでしょうね。

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