2015年8月28日金曜日

サファリパークよりも動物園が好き?

20年ほど前に作成したスライドです
(赤の丸は日本にある外資系企業で、青い丸はUSの歴史のある大企業です)

長くて少し硬い話題で恐縮ですが。。。。

先日、久しぶりに村上ファンドの村上世彰(よしあき)さんのことが話題になっていました(下の新聞記事参照)。

あちらこちらでグローバル人材の育成が話題になっていますが、今回の村上さんの件に関するメディアの報道を見ていて、まだまだ日本と欧米の間には大きなギャップがあると感じました。 それらのギャップに対する認識を深めることが、英語教育以上に重要なことなんだろうと感じました(必ずしもギャップは埋める必要はないと思います)。

そもそも、「会社(カイシャ)」に対する理解度が疑問です。 


村上ファンドが話題になった時(2006年村上ファンド事件)、「会社は誰のものか?」が話題になりました。 会社に関しては、大きく分けると2つの考え方があります。一つは、会社を商品と考え売買の対象とする、もう一つは、より良い製品やサービスを提供し社会に貢献する事業体と考えるのか。 どちらが良いとか悪いとかといった問題ではありません。 資本主義でのビジネス活動ですから、資金を金融市場や株主から調達し会社を運営し利益を還元するのはもちろんのこと、最終的には会社を商品と考えて売却して利益を得ても問題はない訳です

会社を起業し、成功させ(企業価値、つまり、会社の値段を上げ)、IPO(上場)し、売り抜けて(exitする)、若くして大金持ちになりリタイヤするのは、誰もが羨むサクセス・ストーリーです。 ところが、日本の場合は、会社は「社会に貢献する公器」という考え方が一般的ではないでしょうか? つまり、アメリカ型資本主義は「道義的にどうだろう」と考える人が多いのです。 要するに、これらが認識のギャップで、どちらの考えで会社をとらえるか、または、二つをバランスさせるかであって、会社の経営(またはガバナンス)も色々あるということです。

会社を上場した場合、買収される可能性は常にあります(黒田電気の場合)。 買収されたくなかったら上場しないことです。 黒田電気の株主の中には「投資しているんだから、儲かっているならもっと配当しろよ!」と思っている株主もいると思います。

私は村上さんの本心が分からないし、特に村上さんのファンでもありません、ただ、村上さんは会社の考え方として間違ってはいません。 メディアが、村上さんの会社の社長である娘さんも含めて、村上さんたちが極悪人であるかのような印象を拡散するのは間違っています。

最後に私が一番気になっていることを申し上げておきます。

日本の場合、保身で、つまり、「自分だけよければいい」という考えの人が加速度的に増加していることです。 会社のことを考えて一生懸命働くでもなく、自分の望むような会社を起業する訳でもない。


今、USでは「coddling America」ということが言われています。 「甘やかされたアメリカ」という意味です。 アメリカがcoddlingなら、日本はどうなるのでしょうか? 日本はサファリパークを、あたかも自然の中で生きているが如く何十年もやって来たので、生存本能が消滅しかけているのでしょう。 もしかしたら、その事を分かっていて、サファリパークじゃなくて、四方を檻で囲まれた動物園のほうを求めているのかも知れません。

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村上世彰氏の社外取締役選任、否決…黒田電気

電子部品商社の黒田電気の臨時株主総会が21日に開かれ、かつて「村上ファンド」を率いた村上世彰氏ら4人を社外取締役に選任する議案は反対多数で否決された。

議案は、村上氏の長女・絢氏が代表取締役を務める投資会社C&Iホールディングスなどが提出していた。C&Iは、村上氏個人などと共同で黒田電気株を約16%保有する大株主。

C&I側は、利益の全てを株主への配当に回すことや、他の電子部品商社との合併・買収(M&A)などを進めることを求め、黒田電気と対立。6月の定時株主総会後、C&I側が臨時総会の開催を求めていた。

一方、黒田電気はすでに取締役の半数を社外取締役が占めており、「ガバナンス(企業統治)体制は十分に機能しており、さらなる社外取締役の追加選任は不要」と、C&Iの議案に反対する考えを示していた。 


2015年08月21日 14時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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