抽象論はもういいよ
岸田政権のスピード感の無さに不満をぶちまける企業経営者の発言やメディアでの批判を見かけます。「なにもかもがのろい。同じことをやったとしても、迅速に動けば効果は大きくなるんです。例えば円安など為替問題でも、アナウンスはタイムリーにやらないと意味がない」。彼らの批判は「政策は具体的でなければいけない。抽象論はもういいよ、、、、」といった具合です。
抽象的の2つの意味
「抽象的」という言葉は注意を要します。「abstract」と「vague」の2つの意味があるからです。「abstract(抽象的)」とは、いくつかの物事から共通する性質を引き出すことを指しますが、曖昧は「vague」です。抽象度を上げるというのは全体を見る、又は、概念化するという意味なのですが、多くの社会人は「曖昧」の意味で「抽象的」という言葉を使っています。
抽象度とは普遍性の高低のことで、より普遍性が高い概念が抽象度が高い概念と言うことです。日本の官僚的な組織は抽象度を上げる事ではなく、具体性ばかりを追求し評価する傾向にあります。議論は往々にして抽象度が上がらず重箱の隅っこに終始します。
本来ならば中高生の頃、概念を埋め込んだ文章を書く訓練をすべきなのでしょうが、受験システムに流されて、小学生の作文のまま大学生になり社会人になって行きます。
国家間の外交でも同じですね。相手国は抽象度の高いレベルから議論を提起してきます。つかみの部分でつかみ損ねると話はいつまで経っても平行線でしょう。
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