2013年4月7日日曜日

生き甲斐といふ事


福田恆存評論集の第八巻は「教育の普及は浮薄の普及なり」です。

19の評論が収録されているのですが、「生き甲斐といふ事」、「續・生き甲斐といふ事」は、本当に鋭い評論だと思います。 

「生き甲斐とは生ける標であり、生ける証であり、また、生の充実感である。それが今日何處にも無いばかりか、それを探し求める手掛りすら何處にも見付からぬといふ事に、人々は漸く気付きはじめた様である」と問題提起し、

「人々は、それを制度で解決できると単純に思いこんでいる」と展開し、「何よりも必要な事は、人から何と言はれようと、もっと自分を大事にする事だ、自分の本當の聲に耳を傾けることだ。空虚感とか疎外感とか、現在の病状を手っ取り早く説明する言葉が氾濫し過ぎる、そういふものに足を掬われぬ様にしなければならぬ」(昭和46年)。

福田恆存評論集は、5年前に麗澤大学出版会から復刻されています。 

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