20年前のサンディエゴを思い出しながら家で作ってみました
1998年の日記から
サンディエゴは、やはり、エルニーニョの影響でここ最近雨が多い。あちらこちらで土砂崩れが起こっている。もともと雨は少ないために排水の設備が完備していない。少しでも雨が続くと道路は川となる。夜、ホテルにチェックインした時も、雨が降っていた。自分のビジネスのことや、母国である日本の心配よりも「地球は大丈夫なのか?」と本気で考えてしまう。
サンディエゴはメキシコのティファナと言う街と接している。車で10分も走ればそこはメキシコである。日本人に馴染みの深いLAから車で2-3時間もハイウェイを南に走ると、もうメキシコなのである。10年程前、はじめてサンディエゴに来た時、このことが随分と意外に思えた。
サンディエゴに駐在する日本人は毎日メキシコ側の工場とサンディエゴ側の管理会社の間を行ったり来たりする。現在、100社を超える日本企業がUS-メキシコ国境をまたいで操業している。これらは、マキーラドーラ(Maquila Dora)といわれている。スペイン語のマキーラドーラは、英語で言うと「組み立て工場(Assembly Plant)」のことである。30年程前にメキシコ政府により海外からの投資誘致と雇用促進のために設立された制度で、この場所で操業する外国企業は、関税や付加価値税等の税制上の優遇措置が受けられる。ただし、1994年にNAFTA(北米自由貿易協定)が締結され2001年には、これにとってかわられることになっている。
日本企業は、メキシコの労働力を低賃金で手に入れ、メキシコ側のティファナの工場で製品を組み立て、サンディエゴ側の管理会社を通じて全米、もしくはアメリカ国外に輸出する。これは、別に日本企業がずる賢くやっているのではなくて、アメリカ企業や韓国、台湾の企業も同じようなオペレーションを行っている。
日本でも去年報道された某家電メーカーの日本人幹部の誘拐事件が起こったのはまさにこのマキーラドーラなのだ。誘拐された人が無事に帰ってきたのは喜ぶべきことだが、身の代金として犯人グループにいくら払ったのかは未だ謎のままである。メキシコがフリータックス(無税)を餌に外国企業を誘致して、さらに誘拐で儲けようとしているのなら、メキシコと言うのもなかなか油断ができない「恐るべき国」である。
メキシコの政権は6年交代である。1995年、前大統領サリナスはアメリカに亡命した。後継候補も暗殺された。誰が大統領をやっても最初の2年は混乱し、最後の2年も安定せず、中の2年のみがなんとか経済活動に集中できるそうである。現在、セディジョ政権は6年の内の中2年にいる。日本人には、メキシコはタコスとエンチラーダに代表されるメキシコ料理と明るい楽しい国というイメージがある。しかし、実状はなかなか分からない。大統領候補も簡単に暗殺される国なのである。
サンディエゴでは、旨いスペイン料理を食べた。
旨いスペイン料理はフロリダのタンパの近くで7~8年前に食べて以来のことだ。日曜の夜ということもあり、適当なレストランが見つからず「ホテルのレストランで食うか」と、ホテルの近くまでブラブラ歩いて来ると、パブ風のレストランが開いている。「ここでもいいか」と入ったところ、これが大正解だったのである。最初に出てきたパンは自家製の温かいやつだし、ブラックビーン・スープは、ドロドロでなく、さらっとしていてピリッと辛く抜群の味である。パエリアがまた最高で、底の浅い鉄のフライパンに海産物やソーセージの具をいっぱいいれてアルミホイルをかぶせてオーブンで仕上げたのだろう。テーブルに運ばれて、ウェイトレスのおばさんがアルミホイルをはずすと、何ともスペイン風の香りなのである。ちなみにこのレストラン「LA GRAN TAPA」といって、サンディエゴのBストリートにある。
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