明治神宮の文鎮
文鎮はいいですね。 どっしりとして動かなくて。 重石が無くなると、組織なんて簡単に崩壊するし、大都市の運命だって同じことです。 さて、どうしましょうか。
文鎮で思い出したのが漱石の『永日小品』。 今だとブログのような短編集です。
「モナリザ」は『永日小品』の中の一編です。 主人公である井深は、細君が縁起が悪い絵だというので、80銭で買ったモナリザの画を5銭で屑屋に売り払ってしまいました。
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井深は日曜になると、襟巻に懐手で、そこいらの古道具屋を覗き込んで歩るく。
(中略) 井深は一箇月ほど前に十五銭で鉄瓶の葢だけを買って文鎮にした。 この間の日曜には二十五銭で鉄の鍔(つば)を買って、これまた文鎮にした。 今日はもう少し大きい物を目懸(めが)けている。 懸物でも額でもすぐ人の眼につくような、書斎の装飾が一つ欲しいと思って、見廻していると、色摺の西洋の女の画が、埃だらけになって、横に立て懸けてあった。
夏目漱石 『永日小品』 から 「モナリザ」 1909年
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