2010年9月30日木曜日

勉強すればするほど考える時間がなくなる?


JRお茶の水駅聖橋口から数分のところに湯島聖堂があります。 写真は、孔子を祀っている大成殿です。徳川綱吉が額の字を執筆したそうです。

学而不思則罔、思而不学則殆 (論語)
学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし

「人から教わったり知識をつけても自分で考えることがなければ意味がない、また、一人で考えていても他人の意見を聞いたり勉強することがなければ、危険だよ」という意味です。たった12文字の漢字なのですが、意味深長ですね。これだけで様々な議論ができます。

普通、若い時は知識を蓄積することに集中し、40歳を過ぎる頃から後段の傾向が強くなるのでしょう。両方のバランスがとれている人は少ないと思います。年齢を重ねるとともに独善的になって行くのは人種を問わないことでしょうが、日本の場合、子どもから大人まで「思う時間」、つまり、「考える時間」が少ないのは大きな問題です。

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2010年9月29日水曜日

鎖国時代のほうが外交を分かっていた

学校で鎖国はどう教えているのでしょうね。

18世紀末、ロシアからラックスマンが通商を求めてやって来ました。松平定信は海防強化を命じるとともに、ラックスマンには「日本の対外関係は古(いにしえ)より、通信・通商の二種類に限定される」と言って、「通信無き国」を理由にロシアからの国書を拒否しました。徳川幕府は、鎖国の下、外国に向けてあけられた4つの窓口を四口と呼び、海外との接触を、長崎(幕府直轄)、対馬(対馬藩)、薩摩(薩摩藩)、蝦夷(松前藩)に制限しました。通信は朝鮮と琉球、通商はオランダと中国に限定して行っていたのです。

国の概念なんて抽象的なものです。日本で国境の話は難しいですね。そもそも国境は時代と状況により変化するものです。国境を接する隣国もあり、交渉が存在し、だから外交が必要となります。外交にはプロトコールがあります(http://ibg-kodomo.blogspot.com/2010/06/blog-post_09.html)。ジョン・レノンのイマジンの世界になれればいいのですが、500年は無理でしょう。人間ってまだまだ愚かなものですから。

鎖国というのは、「戦略的な外交政策」ですから、国の「境」を考えるにはちょうど良いのです。外交でのDOsとDONTsをはっきりさせる。即ち、それが外交戦略です。尖閣の問題で一人でも多くの日本人が覚醒したのなら、中国に感謝しなきゃ。

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2010年9月27日月曜日

頭を冷やすために散歩をしました

(夏目漱石旧居跡の吾輩)

昨日は天気が良かったですね。やっと散歩ができます。お茶の水から湯島聖堂に行き、神田明神を抜け、根津から夏目漱石旧居跡を通って団子坂から日暮里まで歩きました。

夏目漱石の「吾輩は猫である」は何度読んでも面白いですね。吾輩である猫の眼から見た人間世界の描写、主人である苦沙弥(くしゃみ)君やその他の登場人物の個性、全てにおいてメリハリがついていて実に見事です。落語で登場人物が多い噺の場合、下手な落語家がやるといけません。多くの人物と情景の描写に振りまわされるからです。 漱石の「吾輩は猫である」は、名人の落語家が登場人物の多い噺を見事に演じているかのようです。

The man who reads nothing at all is better educated than the man who reads nothing but newspapers(アメリカ第三代大統領 トーマス・ジェファーソン)。

以前にもご紹介しましたが(http://ibg-kodomo.blogspot.com/2010/03/blog-post_07.html)、様々な名言を残しているジェファーソン大統領が、「新聞ばかり読んでいる人よりも、全く読まない人のほうが教養がある」と言っています。全く同感です。しかし、日本の場合、新聞に加え、テレビの悪影響が深刻な問題です。「テレビを全く観ない人は、テレビだけを情報源としている人よりも教養がある」です。 戦後の占領政策でアメリカは日本人を洗脳するのにテレビを有効利用したと言われていますが、まだその呪縛が続いているのでしょうか?

日本のニュース報道を見て気になるのは、「主観」と「客観」が一緒くたになっていて境目がはっきりしない点です(国の境界も同じか、、、)。司会者や出演者が、自分の感想を言っているのか、それとも、客観的な事実を報道しているのかよく分からないのです。全く専門家でもない人たちが、自称知識人ですかねぇ、中途半端な知識で堂々とコメントしています。「日本は言論の自由が担保されている」と言えばそれまでですが、あまりにも無責任だと思いますね。ジャーナリズム精神なんてものは毫もないのでしょうか。

「事実はこうこうです。様々な意見があるようだけど、私の立場はこうで、このように考えます。その理由は、これこれこうです」と話をすすめてもらいたいものです。でなければ、「この番組はバラエティ番組です」と最初に断るのがいいでしょう。

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2010年9月26日日曜日

調和的というスローガン

胡錦濤・温家宝政権のスローガンは「和諧社会」(調和的な社会)です。

エリック・ホッファーが「情熱的な精神状態」の中で以下のようなことを言っています。

われわれがどう言おうと、まったく調和的な個人というものは、前進する衝動がなく、人生のどの部分でも完全を追究する向上心を欠く人たちである。 だから完全な社会は、停滞社会になるチャンスがつねにある』。

日本人はまったく調和的な個人になってしまいました。停滞社会が長く続いたのですね。アメリカは不景気になって、少しは調和的ということを学んできたのかも知れません。 アメリカ人が「足るを知る」なんて昔は考えられなかったことですからね。

さてさて中国です(やれやれと言うか、、、)。

中国政府は、自分の国や国民性を熟知していて「和諧社会」をスローガンにしているのでしょうね。中国が一番欠いている部分ですから。

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2010年9月25日土曜日

日本が守るべきものとは?

帰国して1年ちょっとが経ちました。この間、日本のことを色々と観察しました。日本の良いところもいっぱい再発見しました。しかし、20年以上前に感じた絶望感も同時に蘇ってきました。 ここ数週間の日本政府の行動や発言を見ていると暗澹たる思いですね。史上最悪と言われた村山内閣の過ちを二度と繰り返さないと、その後の内閣は肝に銘じてきた筈なのに、、、見事にやってくれましたね。

この国は、国家としての自信とか日本人としての民族の誇りとか国民の気骨とか、どうやって回復するんでしょうかね?これは教育の根幹でもあるはずです。今の政治家に言わせると、偏狭なナショナリズムになってしまうのですかね?

アメリカは、保守するものを作るところから始めました。アメリカという魅力で人を虜にするしかないのです。どこの国の人でもアメリカにやって来てアメリカ人になった人たちは、そのことをよく心得ている訳ですね。

日本は、黒船が来て「鎖国という外交戦略」を貫くことをやめて開国し、明治時代は世界に認められようと必死になって「国家」を作りました。ご存じのように、先の大戦で全てが崩壊し、敗戦とともに自信や民族の誇りや国民の気骨というものは粉々に砕かれました。ところが日本人は経済大国になるということで失った自信や誇りを回復してきたのです。

村山政権を誕生させたことで日本の政治は致命的な痛手を負った訳ですが、どうにかこうにかこの15年の間やってきたのです。しかし、これからの日本や日本人はどうやって自信や誇りを回復させたらいいのでしょうか?

日本政府が保守するものとは何なんでしょう?
総理大臣だけでなく、政治家先生一人一人に聞いてみたいと思います。

日本はもう一度、「鎖国」という外交政策をとってはどうでしょうか?日本人の叡智で100年や200年は持続できるかも知れませんよ。 なに、それじゃ解決策になってないって!? 私のウダウダなんてこんなもんですよ。失礼しました。

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2010年9月23日木曜日

中国人スタッフが見た東京の印象 ~ その(2)

わが社の中国人の若者を見ていると、中国の20代の若者の考えがよく分かります。彼らは中国政府やマスメディアよりも自分の眼を信じます。ネット上の情報にしても、注意深く真偽の程を確かめているようです。彼らにとって温家宝首相は人気がありません。災害地などでの温家宝首相のパフォーマンスは、アカデミー賞ものだと揶揄されています

さて、「中国人スタッフが見た東京の印象」です。

北京から来たGさんが東京で最も気に入ったところは「明治神宮」だそうです。「銀座のデパート」なんて言わないところ、我社の若者はカッコいいでしょう!? 以下はGさんのメールから抜粋です。

  1. 日本は間違いなく清潔です。特に空気がキレイなので心地よいです。衣服がほこりだらけになる心配がないし、靴はドロで汚れる心配もありません。
  2. 東京は夜と昼では2つの違った都市のようです。昼は紀律があります。人は静かで淡々としています。しかし、夜は喧噪にまみれ喧しくなります。
  3. 地下鉄で本を読んでいる人が多い。見ていて大変嬉しく思います。
  4. 人は親切です。こういう事がありました。国会議事堂で入口を警備している警官に道を聞きました。すると、5メーターほど離れているにもかかわらず警官のほうから寄ってきて、親切に道を教えてくれました。これには驚きました。中南海の前にいる警備の解放軍に道を尋ねようとする人なんていません(中南海は天安門横の中国政府要人の官邸のあるところ)、追い払われるだけです。また、東京大学構内の掲示板と構内地図を見ていたら、門衛の詰所の年配の門番さんが「行き先は分かりますか?」と私に大きな声で尋ねてくれました。私は嬉しくなりました!
  5. 日本人は細いことまで礼儀正しいです。地下鉄で足を組んでいる人を見ませんでした(たまたま?)。席を奪い合ったり携帯で話をしている人はいません。喧嘩をしている人もいないし、確実に「和諧社会」といえるのではないでしょうか?(「和諧社会」とは今の胡錦濤・温家宝政権が掲げるスローガンで、中国は調和社会を目指すというもの)。
  6. 東京は上海と似ています。狭くて余裕がないところです。ビルが密集していてビルの上の階に行かないと周りがみえません。たぶん、しばらく東京にいるとプレッシャーを感じるのでしょうね。機会があれば日本の田舎に行ってみたいです。

    この他にも小さな出来事はいっぱいありました。一つ一つは説明しませんが、今回日本に来れたことは非常によかったです。

以上がGさんの東京の印象です。中国政府の日本に対する態度とはかなり違いますね

彼女からのメールは中国語でした。最後に「二郎脚」について少しだけ。地下鉄で「足を組む」と出てきましたね。中国語で足を組むは「二郎脚」と言います。「二郎神」という神様がいて足を組んでいる姿が残っていることから二郎脚と言うのだそうです。この「二郎神」は西遊記で孫悟空を追い詰めて幽閉した神です。

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2010年9月21日火曜日

(続)中国の反日問題を考えてみよう

2005年の中国における反日活動は、上海、北京、成都などの大都市で破壊行為をともなう暴動まで起りました。今回は2005年の時のような暴動は起っていませんが、今回のほうが事態は深刻ではないかと思います。

理由は二つあります。

一つは中国の国内問題の悪化です。所得格差と失業の問題、これらは改善されるどころか、より深刻になっています。中国13億の人口の70~80%は農民と言われています。農民は、ウルトラ格差のなか尖閣も日本も自分らとは関係ないことなのです。自分達の生活や老後の権利さえ保障されていないのですから。そして汚職の問題、国内のインターネットの普及により地方行政の汚職が暴かれ、政府としても処罰をしなければいけない状況も出てきました。したがって、これまで以上に対外的に強く出て矛先をかわさないと、あと2年の胡錦濤政権は一層辛い立場に追い込まれます。

二つ目は日本の問題です。政治の混乱は誰(日本列島の外)が見ても明らかで、絶好の攻撃のチャンスです。2005年に比べると、長期的なデフレとともに日本経済は更に落ち込み、国民の気持ちにも余裕がなくなってきています。全体主義に陥りやすい危険性があります。いつものことですが、マス・メディアも触媒の機能をはたしています。本来の使命である「どこまでも真理に迫る」どころか、「お金のあるところに吸い付けられている」状態です。

昨日は江華島事件が起った9月20日だったのですが、朝鮮半島は静かだったですね。韓国は中国政府が恐いのでしょうね。アメリカ政府のコメントも、第七艦隊司令官の発言と温度差があって、今のアメリカの弱さを表わしているかのようです(江華島事件は朝鮮政府開国のきっかけとなった1875年の日朝間の衝突事件)。

色々と言いたいことはありますが、これ以上しゃべると墓穴を掘りそうなので、このあたりでお終いにします。

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2010年9月20日月曜日

中国人スタッフが見た東京の印象 ~ その(1)

三島由紀夫が自決する少し前に高橋和巳と対談をしています。三島由紀夫ほど世間(日本社会)が考えるイメージと実際にギャップがある人はいないのではないかと思います。夏目漱石は、小説同様に講演が見事で非常に魅力的な話し方をする人でした。YouTubeで検索できるものなら漱石の講演を見てみたいものです。三島由紀夫はYouTubeに映像があるので見ることができます。三島も難解な小説よりも(特に初期)、エッセイとか対談が魅力的です。恐らく、三島由紀夫という人の素顔が出ているからなのでしょうね。

対談の中で三島は中国に関して次のようなコメントをしています。

三島「中国というのが非常に西洋人に近いと思うのは、自然に対して人工というのを重んじるところね。中国人の人間主義というのは非常に人工的なものを尊ぶ主義でしょう。作って、変えたという確信を持つことが権力意識の獲得ですから。だから意識の変革ということをやりたくてしょうがないんだよ。中国文学の専門家には悪いけど、これは中国人の伝統的な趣味だと思うんだ」。

自然崇拝、精霊崇拝である多神教(八百万の神)がベースにある文化、これが日本文化であり、中国や朝鮮半島、または、西洋とは違った日本独特の文化です。だから日本の神社は自然と一体化しているし、あらゆるものに神を見いだすわけですから、日本人が優しくもなるわけです(ちょっと日本人を褒めすぎ?)。日本の文化は中国や朝鮮半島から伝わって来たものだと当然のように主張する日本人もいます(特に自称知識人コメンテーター?)。伝わって来て融合したものもあるでしょうが、「根本的には全く違う」ということを理解するべきだと思います。三島由紀夫はそのことを高橋和巳との対談の中でさらりと言っているのです。すごいですねぇ。

先日、ibgの中国人スタッフが北京から出張してきました。彼女は中国の大学院で日本語を専攻したほどの日本通ですが、初めての日本です。人工的な部分の東京ではなくて、自然を重んじている東京を感じて欲しいものです。

次回は、彼女の東京の印象をご紹介します。

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2010年9月17日金曜日

中国の反日問題を考えてみよう

オーウェルの「1984年」に「現在を制するものは過去を制する、過去を制するものは未来を制する」とあります。歴史なんて、戦争に勝った側が自分の都合のいいように書き換えてしまうものなのです。東シナ海の尖閣諸島周辺の領海内で9月7日午前、違法に操業していた中国のトロール漁船が哨戒中の海上保安庁の巡視船2隻と衝突した問題で日中関係が騒がしくなってきました。

中国人の反日感情を考えてみましょう。日本の学校では教えてくれませんからね。

下は、ibg上海オフィスの中国人コンサルタントのコメントです。80后(パーリンホウ)と呼ばれる1980年以降の生まれです。有名大学卒のインテリと言えるでしょう。

『2005年に対日感情が最悪になった時も今も基本的には何も変わっていないです。中国人は一般的に子供の頃は日本のことを好きでも嫌いでもありません。学校教育で戦争中の日本の悪いイメージを植え付けられますが、日本のことが嫌いになる程の感情にはなりません。 しかし、突発的な事件や継続的なネガティブ要因(教科書問題等)が生じると、「学校で聞かされたこと」を思い出します。例えば、日系企業で日本人上司が中国人社員を殴ったと聞くと、「やっぱり」という気持ちになります。つまり、事件が起こりさえしなければ、悪いイメージを思い出すことはないのです』。




5年前に対日感情が悪化した時は、中国政府は日本を叩くことで大衆の矛先をかわそうとしたのだと思いますが、今回は日本側の問題が大きそうです(勿論、それが全てではありません)。それは、日本政府が極めて弱体化しているということです。エコノミストの最近の記事に、日本政府は『dysfunctional』(機能不全、崩壊)と書いてありました。かなり強烈な言葉ですね。名目GDPも中国に抜かれてしまいました。日本は世界2位の経済大国だとは言えなくなったのですね。日本が弱くなればなるほど近隣諸国は元気が出てきます。

外交と芸能ニュースを同次元で扱う日本のマス・メディアでは多くの国民は本質をとらえることは難しいと思います。新聞やTVを見れば見るほど本質から遠ざかります。中国のことをよく知らないで「日本の地方都市の景気回復には中国マネーを呼び込め」なんて安易な報道はやめてもらいたいですね。単純に資本として利用できるのであればいいのですが、資本主義のロジックの弱い日本では難しいと思います。相手は超資本主義の国、natural born merchantです。一枚も二枚も上手ですから。「山」も「水」も身ぐるみ剥がれて本当に沈没しても知りませんよ。

孫子の兵法で有名なのは「知己知彼、百戦百勝」です。ご存じですよね。日本人は、日本のことをよく知って、そして中国や外国のことを知らないと、他国と仲良くもできないし戦もできないのです。

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2010年9月16日木曜日

カリフォルニアからシュワちゃんがやって来た!

カリフォルニアからシュワちゃんがセールスにやって来ました。新幹線をエサにカリフォルニアワインや農作物を日本や韓国に売りつけたいのでしょうね。

去年、カリフォルニア州からIOUが届きました。IOUとは「I Owe You」を意味する借用書のことです。「後で返すから今は待ってね」と宣言する文書のことです。書面には、さすがにIOUとは書かずに「Registered Warrant」と書かれています。ibgがカリフォルニア州に納めた企業所得税の返納分を一方的にIOUで送りつけてきたのです。差出人がカリフォルニア州知事のシュワルツネッガーだったら額に入れてとっておこうと思ったのですが、残念ながら州コントローラー(財務担当)のJohn Chiangさんからでした。



カリフォルニア州は様々な問題を抱えています。

今のアメリカを象徴するかのような州です。州の財政を個人所得税収に依存する比率が高い、つまり、シリコンバレーを中心とするキャピタルゲインとかストックオプションで稼いだ起業家からの税収に頼っているのです。一方、メキシコからの不法移民が何百万人も入り込んでいます。彼らは不法滞在者ですからちゃんと税金も払っていません。州政府は彼らを合法にして、そうすることによって税金を徴収し税収を上げようと躍起になっています。さらに、一人一人の不法労働者と対応するのは効率が悪いからと、企業にその責任を転嫁して、企業が不法労働者に対してちゃんと対応をしなければ、不法労働者が見つかった企業から膨大な罰金をとる仕組みにしています。アメリカ人の考えそうなことですよねぇ。

住宅事情に関してもここ7~8年のアメリカを代表しているかのようです。カリフォルニアは住宅価格の上昇と下降の振れ幅が最も大きかった地域の一つです。土地は広いから家はいくらでも建てられます。ロサンジェルスやサンディエゴは車でちょっと東に走ればもう砂漠です。バブルにのって砂漠のほうにまで宅地を開発して移民や若い人向けの住宅をいっぱい造ってしまいました。金融危機で収入は安定せずローンの支払もままならず家はFORECLOSURE(差し押さえ物件)となり住宅価格は下がり続けます。

ちなみにカリフォルニア州の失業率は全国平均よりも高く、2009年5月が11.6%(全国平均は9.5%)でした(今年に入ってからは12%台です)。

シュワルツネッガー知事は昨年の春に「政府で何とかしてくれ~!」とワシントンDCに乗り込みました。交渉相手はルービン一家のフロントマンのガイトナー財務長官です(日本の財務大臣よりもずーっと甘いマスクですが中味は違います)。ターミネーターのシュワちゃんでもウォールストリートのルービン一家にはかないません。冷たく追い返されてしまいました。政府としては、財政赤字で死にかけている州はカリフォルニア州だけじゃないからカリフォルニアだけを特別扱いする訳にはいかないからでしょう。どうしようもなくなったカリフォルニア州はIOU発行を最後の手段としたのです(ルービンはクリントン政権の財務長官、元ゴールドマンサックス、シティバンク会長)。

カリフォルニア州は人口も3800万人で全米最大の州です。そのカリフォルニアが破綻しています。借用書を発行して支払を待ってもらうしかない状況に陥っているのです。万が一新幹線が売れたら、「支払いはカリフォルニアワインでどうかね?」なんて言ってきそうです。

カリフォルニアがアメリカという国全体の状況を象徴していると思えてなりません。今に世界の国々に対して「IOU」の送付を開始しないだろうか? 戦争を起こされるよりましですが、、、。

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2010年9月14日火曜日

想像力が広がる歌詞 ~ アメリカンパイ

今日は少しマイナーな話を。

ビートルズで英語に興味を持った人は多いと思います。ご多分にもれず、私もその一人です。初めて買ったLPが「マジカルミステリーツアー」。小学生の私は、中学生になれば英語のクラスが始まり、ビートルズが何を歌っているのか理解できるようになると信じていました。 ご想像の通り、中学校の英語の授業は、私の期待には答えてくれませんでした。中学の英語の先生のことはよく憶えていますね。ポマードバーコードのT先生です。学校で教えるだけでなく、家では英語塾を経営し、赤いスカイライン(C10型ハコスカです!)に乗っていました。車のホイールキャップが無くなったとかで、家から学校までの道沿いを塾の教え子に探させたとの噂もありました。

今日は、ビートルズではなく、1971年のヒット曲、ドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」について。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、私の年代のアメリカ人はほとんどの人が歌える曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=tr-BYVeCv6U&feature=related

8分以上もある歌の歌詞の意味は不可解です。40年近く経っているのですが、いまだに色々な説があるようです。ドン・マクリーン本人が明らかにしていないので何が正しいのか分かりません。

歌詞の意味として大まかに一致しているところは、歌手バディ・ホリーが死んだことを歌にしていることです。バディ・ホリーが死んだことで「音楽が死んでしまった」と。また、ドン・マクリーン自身の少年から大人になる過程をダブらせているのでしょう。それは1960年代のニューヨークです(バディ・ホリーのデビュー曲は「That'll Be The Day」=そんなの有り得ないだろう!)。 

シンプルな3つだけのコードのサビの部分が頭について離れません(だからヒットしたのでしょうが、、、)。

So bye-bye, miss american pie.
Drove my chevy to the levee,
But the levee was dry.
And them good old boys were drinkin' whiskey and rye
Singin', "this'll be the day that I die.
"this'll be the day that I die."

多くの解説は「Levee」を土手と訳していて、「土手に行ったけど、パーティは終わっていた、、、」と解釈しています。「友達がウィスキーとライ酒を飲んでいる、、、、」と。

YouTubeの映像を見ると、私にはGood Old Boys Were Drinking Whiskey In Ryeと「AND」ではなく「IN」と聞こえます。ネットで確認したのですが、見つかる歌詞は全てWhiskey And Ryeと書いてあり、解説はRyeをRye Whiskeyと解釈しているようです。

マクリーンはNY州New Rochelleの出身です。RyeはNew Rochelleから数マイル北に行った街の名前でもあります。「Leveeに行ったけど、お酒がなかったので、友だち達はRyeまで行ってWhiskeyを飲んでいる」と考えた方がほうがピタッとくるのです。昔、New RochelleにThe Leveeという若者の集まるバーもあったようです。

たぶん、深い意味はなく、PIEとRYEが韻を踏むように適当に考えたのが正解でしょうね。

PIE、DRY、RYE、DIE、、、。

想像力が広がっていくのがいいですね。松尾芭蕉の俳句みたいです。シンプルでも広がる想像力が大きい歌詞は偉大です。 英語は漢字ほどではないですが、アメリカン・パイのような歌詞は想像力をかりたてられていいのです。

やはり、マイナーな話題でしたね。失礼しました。

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2010年9月13日月曜日

オクラで作るシーフードガンボ

週末にニューヨークから友人がやって来ました。

和食ではなく何故かシーフードガンボ(Seafood Gumbo)を作って食べました(上の写真。タラとエビが映っていませんね、、、)。ガンボはアメリカ南部のケイジャン料理(Cajun Cuisine)ですが、語源はオクラを意味するアフリカの言葉だそうです。オクラは夏の野菜なのに、漢字(中国語)では「秋葵」と書きます。秋の葵(あおい)。

葵(あおい)といえば水戸黄門徳川御三家の「三つ葉葵」ですね。格さんが「静まれ、静まれぃ! この紋所が目に入らぬか!」と葵の御紋の印籠を掲げて「こちらにおわす御方をどなたと心得る。畏れ多くも前(さき)の副将軍・水戸光圀公にあらせられるぞ! 一同、御老公の御前である、頭が高い。控えおろ~う!」と一喝しますね。あの葵です。

オクラは明治初期に日本に入ってきたそうですが、今では日本のオクラが世界で一番美しいかもしれません。

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2010年9月12日日曜日

アメリカ同時多発テロから9年

9月11日、アメリカ同時多発テロから9年です。

事件当日火曜日の朝、私はWTC(ワールド・トレード・センター)に隣接するWFC(ワールド・ファイナンシャル・センター)に向かっていました。2001年9月11日は、ニューヨーク地区にある日系企業向けセミナーをマンハッタンの商工会議所で開催する予定がありました。郊外の自宅からメトロノース鉄道でマンハッタンに向かう車中、ブロンクスからマンハッタン島に入る直前、最初の飛行機が1WTCに激突しました。電車の中はビジネスマンで満席です。NYタイムスやウォールストリートジャーナルを読む者、書類に目を通している人、ごく普通のNYでの通勤風景が目に入ります。私は16年ぶりの中国、上海・北京の旅から戻ったばかり、まだ時差ボケの中、午後のセミナーでのプレゼンテーションの内容を考えていました。セミナーのテーマは「危機管理」、私の話は、1993年のWTC(ワールドトレードセンター)爆破テロ事件に遭遇した私の経験を、日系企業の方々に紹介するものでした。

電車の乗客の携帯電話が次々と鳴り出しました。周りがざわつきます。
「WTCに軽飛行機が突っ込んだらしいぞ」。「本当か?」。「バルーンが当たったのかも知れない、、、、」。

私の携帯も鳴りました。妻からです。
「軽飛行機がWTCに突入したらしい。テレビでやっている。WTCから煙が出ている。ダウンタウンには行かない方がいいわよ。新しいニュースがあったら電話するから」。

10分程してグランドセントラル駅に到着しました。駅構内は足止めを食らった人たちでごった返しています。地下鉄は既にストップしています。メトロノースも運転を見合わせると言います。何が起こっているのか全く分かりません。

「これは大変なことになるぞ、、、」。

「仕事仲間の安否の確認をしなければ、、、」。みんながオフィスのあるWFCに向かっている筈です。「仮オフィスとする場所を確保しよう」。グランドセントラル駅周辺のホテルを探しました。しばらくは家に帰れないと思ったからです。いくつかのホテルをあたり、49丁目にあるホテルに部屋を確保することができました。CNNを見ながら部屋の電話で連絡を取り始めます。この時点で携帯電話はすでに繋がらなくなっていました。

この時、二機目の飛行機が2WTCに激突しました

ホテルの窓は南に面しているので、WTCから立ち上る煙は生で見ることができます。テレビにはWTCの状況がLIVE映像で映し出されています。10時になろうとしている時、 2WTC が崩壊しました。テレビでは崩壊が画面いっぱいに放映されています。窓の外からはひときわ大きな灰色の煙が立ち上ります。
2WTC 崩壊直後、UA93便がペンシルバニア州で墜落しました。「LET’S ROLL!」という言葉を残してテロリストに立ち向かったと言われるトッド・ビーマーは元同僚で、彼の妻も同じオフィスで働いていました。90年代半ば、新入社員のトッドは私の仕事を補佐してくれたのです。学生のようなちょっと内気な彼の印象からは想像もできない行動です。

9時38分にはワシントンDCのペンタゴンにAA77便が突入しています

4機の航空機、そして2つのWTCタワーの崩壊と隣接する 7WTC ビルの消滅、全てがあまりにも秩序だっています。20数名の仕事仲間全員の無事を確認するには夜中までかかりました。後で分かったことですが、WTC直前で地下鉄にどじ込められていた者、交通手段がないので徒歩で対岸のニュージャージーまで帰った者、自宅がWTCの近くで停電のために23階の部屋から下りることができなかった者と様々なドラマが起っていました。

* * * * *

9.11同時多発テロに公表されていない真相は本当にあるのでしょうか?US政府陰謀説、チェイニー副大統領主犯説など、かなり過激な説も浮上しては消え、消えてはまた浮上してきています。多発した一連のテロの一つ一つに対して疑惑が表明されていますが、ここでは全ての疑問に対してコメントしません。私自身は当時から7WTCの崩壊が気になっていたので、少しだけ書きます。

仕事で何度か7WTCに入ったことがありました。地下鉄レキシントン線の駅からWTCやWFCに行く場合は、7WTCの前を歩きました。「WTCから離れているにもかかわらず、なぜこれが7WTCと言うんだろう?」と何となく思っていました。また、映画ファンであれば、このビルは見覚えがあるかもしれません。ハリソン・フォードとシガニー・ウィーバーが出ていた88年の映画「WORKING GIRL」の撮影に使われたビルです。7WTCは、WTCの崩壊した2つのタワーから2ブロックほど離れています。ハイジャックされた飛行機が突入した訳でもありません。9.11当日の夕方5時20分、あたかも老朽化したビルを意図的に倒壊させるかのように、一瞬のうちに消滅しました。

当局の発表では、火災による倒壊とのことですが、果たして火災により、鋼鉄の枠組みをもつビルが一瞬にして跡形もなく崩壊するのでしょうか?9.11陰謀説の中には、「テロの総司令部が7WTCにあり、WTCに突入した2つの旅客機は、7WTCからリモートコントロールされていたんだ!」と言うものまであります。倒壊したビルの瓦礫が次の日には全て現場から持ち去られたのも不可解です。

* * * * *

アメリカという国は、お金さえ十分にもっていたら自由で平等で民主的な国だと認識できます。それは資本主義の論理が強烈に働いているわけで、資本主義と民主主義は相反します。この点を理解していないと、様々な不愉快な出来事によってアメリカが嫌いになってしまうのです。

アメリカの格差社会は日本で問題にするようなレベルではありません。5%弱の世帯がアメリカ全体の純資産の60%以上を占めているのです。持っている金が多ければ多いほどエライと見なされ、実際お金さえ持っていれば、アメリカでの生活はかなり快適になります。お金を持っていないか、お金をかけない暮らしをすると、アメリカの生活にはウンザリさせられます。

アメリカ人は自分を守ることを強烈に優先させます。開拓時代は、それこそ銃を手にとって自分自身や家族を守っていたのでしょう。現在はどうでしょうか?資産を増やしお金でわが身や家族をプロテクトしようとしています。9.11の同時多発テロにより、強固に信じていた国や体制に疑問が出始めて、自分のことは自分で守るという傾向が一層強くなったのかも知れません。

アメリカ人は、かなりインテリであっても自国の歴史や、世界の歴史について知らない人が多いように思います。そして、強いアメリカを盲目的に信じてきました。しかし、アメリカがやっている事は基本的に正しいのだという前提は、9.11を境に崩れてきているのではないでしょうか?

民主主義は民意の代表であることが前提であれば、政府はメディアをコントロールするだろうし、それには絶対的な資本の力が必要となります。金があればあるほど強いと言う訳です

* * * * *

ローマ帝国は、東ローマ帝国が滅亡するまで1500年ほど続きました。イスラムのオスマン帝国でさえ500年続きました。アメリカはたかだか二百数十年です。帝国アメリカは今後どういった展開を見せるのでしょうか?

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2010年9月10日金曜日

「すばらしい新世界」は日本?

『オーウェルの「1984年」をブログに書いたんだね。「1984年」よりオルダス・ハクスリーの「Brave New World(すばらしい新世界)」を話題にするほうが知的だよ。それに、今の日本に近いと思う』と息子に言われました。

「息子も私のブログを読むことがあるんだ、、、」と少し驚きました。早速、『すばらしい新世界』を読んでみました。息子に渡されたのは英語版だったので、読むのに時間がかかると思い日本語の文庫本をオーダーしました(講談社文庫)。ハクスリーが1932年に発表した小説ですので、今から80年前のSFディストピア小説です。ディストピアとはユートピアとは反対で、極端な管理社会で基本的な人権が存在しない社会のことです。

登場人物の一人バーナードは「すばらしい新世界」では「できそこないの人間」です。みんなが政治的なことに興味を持たなかったり、本を読むことに興味を持たなかったりするのが当たり前である中で、彼は苦悶します。つまり、彼だけが問題意識を持ってしまうからです。支配しようとする人間にとっては、大衆が問題意識を持つということは非常に「危険」なのですね。また、「すばらしい新世界」には、「野蛮人生活区」と呼ばれる「未開地区」という保護区域が存在します。そこでは、子どもは「すばらしい新世界」のように試験管からではなく、母親のお腹の中から産まれてくるのです。ここで育ったのがジョンです、ジョンは「すばらしい新世界」に連れてこられるわけですが、ジョンの目にはこの社会はどうしようもない「愚者の楽園」としか見えません。ジョンは町でソーマの配給を妨害し逮捕され、支配者である総統から「すばらしい新世界」の全貌を説明されます。ソーマというのは「1984年」で出てくるプロレフィードですが、ここでは麻薬です。

今の日本人にとって、ハクスリーが「すばらしい新世界」で描いたディストピアは、ディストピアでなく本物のユートピアだと感じるのではないでしょうか?そして、日本の政治を見ていると、「すばらしい新世界」の構築に邁進しているかのように感じるのですが、そう思うのは私だけ?

みなさんの感想をお聞かせ下さい。

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2010年9月3日金曜日

初心の初が衣ヘンじゃなかった!?

【公開討論会】小沢氏「真っ白」 首相は書き間違い

2010.9.3 01:34 産経ニュース

公開討論会に先立ち小沢一郎、菅直人両氏はそれぞれ揮毫した。菅氏は「初心」のころもへんの点を入れ忘れた(栗橋隆悦撮影)



民主党の小沢一郎前幹事長は2日、日本記者クラブが主催した菅直人首相との討論会前に、控室で主催者側から恒例となっている揮毫(きごう)を求められると、力強い文字で「小沢一郎」とだけ書いた。 「今日の気持ちを」と再度促されたが、小沢氏は「真っ白」とおどけながら答え、筆は取らなかった。これに対し首相は「初心を貫く 平成二十二年九月二日 菅直人」と記した。
もっとも首相は「初心」の「ころもへん」の点を入れ忘れ、「しめすへん」になってしまった。

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初心のことをブログに書いたとたんにやってくれましたね。あまりにもタイミングがよかったので、笑っちゃいました。

初心の「初」っていう字は、まっさらな布(衣)にハサミ(刀)を入れることから来ているのですよ。だから、衣ヘンに決まっています。昔は布が貴重で、服をつくるには勇気をもって布にハサミを入れないと服はできません。失敗したら布は無駄になってしまいます。だから、その時の気持ち、つまり、「初心忘るべからず」なのです。私は少々拡大解釈して、「高い志」といつまでたっても「謙虚な気持ち」を忘れないことだと思っています。

我々のような老百姓(ラオパイシン)は、こんなことは知らなくてもいっこうに構わないのですが、政治家先生なのですから、この程度の教養は身につけて頂きたいですね。

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2010年9月1日水曜日

初心忘るべからず

「国民のために働かせていただきたい。初心に戻る思いでがんばります!」と声高に叫ばれてもね、、、。

「国民のために」とか「国民のみなさま」と言われる度に、「お願い、あなたの言う国民から私だけは外してくれ~」と叫びたくなります。「初心に戻る気持ち、それは去年の衆議院選の頃のような熱い思いに立ち返ることだ」と言われても、私は熱くなっていなかったので分かりません。そんなことよりも、ドルに対する円高や中国元に対する円高を一刻も早く何とかして欲しいと思います。

「初心忘るべからず」。これは、世阿弥の晩年の著書「花鏡」にある言葉です。

  • 是非とも初心忘るべからず(若い時の失敗や身につけたことは絶対に忘れてはいけない)
  • 時々の初心忘るべからず(歳とともに、その時々に身につけたことを忘れてはならない)
  • 老後の初心忘るべからず (老齢期には老齢期の試練なり初めて経験することがある。年相応の演技は重要)

世阿弥さんが言われる「初心」とは、新しい事態に直面した時の対処方法、すなわち、試練を乗り越えていく姿勢を意味しています。生きている限り試練は断続的にやってくる、一つ一つが勉強だから対応して乗り越えなさい、そうすることで試練が経験になり身についていくのですよ、と。それには、高い「志」と自分を冷静に見つめる「謙虚さ」が重要だと言っているように思います。これらは、1990年代にハーバード大学や南カリフォルニア大学のビジネススクールの先生たちが盛んに提唱したリーダーシップ論に近いものです。もしかしたら、彼らは世阿弥を勉強していたのかも知れません。

昨今の政治家先生の言われる「初心」には違和感を感じますね。そもそも「志」は何を目指しているのか怪しげだし、「謙虚さ」に関しては、謙虚な言葉とは裏腹に、実は、能力と経験のなさを誤魔化す傲慢さがチラチラと見え隠れしているような気がします。

どう思われますか?
日々の生活に関係ないですよね、、、。

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