2024年9月20日金曜日

国語に関する世論調査と自民党総裁選

TBS Nスタより(文化庁調査)

2023年度「国語に関する世論調査」

そろそろ人生を振り返る年齢になってきました。人生のどのフェーズを見ても私には人に自慢できる価値なんてないことを再認識させられます。これは謙遜とかじゃなく、自分のことは自分が一番知っているから言えることなのです。    

5年に一度の文化庁の国語に関する調査が発表になりました。驚きです。私は学校は大嫌いでしたが本はいっぱい読みました。小学生の頃は伝記やSFが好きでした。10代の頃、読書は学校の勉強よりも重要になりました。それは学校の先生よりも本の方が価値があると思っていたからです。大人からすると鼻持ちならないイヤなガキですね。  
   
社会人になってからは、仕事柄移動が多かったので出張には必ず本を持って行きました。読書は中国やアメリカで仕事をする上で役にたちました。そもそもコンサルという仕事の本質は「パクリ」です。引き出しにより多くのネタが入っているほうが仕事がやり易くなるのです。   

自民党総裁選は国民に対するリトマス試験紙

さて、自民党の総裁選の話題です。いろいろと勉強になります。日本国民に対するリトマス試験紙です。人となりを知るための基礎の基礎は読解力だと再認識しました。  

先日の記者クラブでの会見を2倍速で、更に飛ばし飛ばし見ました。9人の候補者はそれぞれ違っているけど共通点もあります。「話す力」の前に「聞く力」に問題があるように感じました。

① 質問を理解した上ではぐらかす。
② そもそも相手の質問の意味が解らない。

政治家だから半分以上は①のパターンでしょう。ところが明らかに②の人がいる。更に視点が小学生の作文の域を出ていない(論文の域に達していない)。

質問の主旨を読み取れないのに自分の意見が言える訳はないのです。胡麻化そうとしてもダメです。自分勝手に相手の質問を解釈しておいて全く疑問を感じない。恐らく子供の頃からアンテナの感度を上げる努力もなく、見識が深まっていない。

②の人は最低限以下の事を実行したらいいと思います。  

1.相手の質問のキーワード(概念)をメモする。
2.全体の論理構造を理解する。
3.質問の趣旨を読み取りながら、返答の方向性を考える。

政治家、そもそも一国の宰相を目指す人たちなのに、全体を鳥瞰する眼(世界観)をもっていない。これは日本の戦後教育の当然の帰結でしょう。時代を最低数百年単位で見渡し、今起こっていることがどういったことかを自分で考えたことがない事は明らかです。

和魂洋才という意味では志の道半ばで間違ったかも知れませんが、少なくとも明治の日本国民は西洋に追いつこうと知識の収集や世界観の構築に一生懸命になったのだろうと思います。やはり日本全体のレベルが下がったということか?              

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2024年9月12日木曜日

アメリカ大統領選と自民党の総裁選

 

日本にはアメリカやアメリカの「反知性主義」に対する誤解があります。分かり易く言えば「反知性主義」は日本の政治家の世襲のようなものです。

多くのアメリカ人はお金を持ってる者だけが有名な大学に行き重要なポストに就きそれが世襲されることを嫌います。これは、キャピタルゲインで金持ちだけが更に金持ちになることとも共通性がある。実際TOP1%の所得は全アメリカの所得の95%に等しい。自由な社会の前提は自己規律、つまり道徳なのです。今後のアメリカは自らが信じて来た自由との闘いになるでしょう。

いくつか大事なことがあります。第一にアメリカは平等を求めてイギリスから逃げてきた人たちが作った国であることです。だから平等という価値観が非常に強い。二つ目は、反知性主義というのは知性を攻撃しているのではなく、知性の権威で不当に利益を上げていないか(知性と権力の結びつき)をチェックしようという主義のことです。三つ目を挙げるとすると、リーダーとは自分の知性と権威に対して常に自己反省が出来るか否や(integrity)がポイントなのです。だとすると、今のアメリカはすでに原点に戻るのが不可能なくらい壊れてしまっているのではないでしょうか?

自民党の総裁選は日本の政治家のレベルの低さを如実に示しています。国民の何%が気づいているのか? 学歴に騙されちゃいけない。

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2024年9月4日水曜日

The Match


今の日本が陥っている政治の劣化って想像を絶するほどに深刻です。政治だけでなく、政治報道に携わる新聞・TV、政治ジャーナリスト、TVの報道番組に登場するコメンテーターやら専門家、大学の先生たちを見ていると絶望的になる。もしかしたら、辛亥革命前後の中国と同じかもしれない。申し訳ないが国民は魯迅が描いた『阿Q』のように見えることがある。

「The Match」? 何だか高校か大学の学園祭で自分たちだけが理解するロジックで盛り上がっている学生みたいじゃない?国民の責任は大きいのだろうけど、80年近く前の敗戦直後の坂口安吾が言ったように「堕落しろ、まだまだ堕落が足りない、もっと堕ちろ」しかないか?

「日本や日本人とは、いつまでたってもお気楽なものだ。 むなしい人間関係の上に安眠し、社会制度や国際情勢というものに全身を投げかけて平然としている。 堕落のもつ性格の一つは孤独であると敗戦直後に言ったではないか。 だから、人間の持っている自然の姿(人性)に帰るためにも、もっと孤独になれ。 とことん堕落しろ! そして、 一人荒野を歩いて、そこから這い上がれ」(『堕落論』坂口安吾 1946年)。

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2024年9月3日火曜日

Key To The Highway

 

Key To The Highway (1940)

この曲を聞くと映画『男はつらいよ』が思い浮かびます。主人公の寅さんは、旅回りのテキ屋なのですが帰るべき故郷があります。寅さんの話って実はアイデンティティの確認ではないだろうか?
    
全国を飛び回る寅さんには葛飾柴又で時間を共有した家族や旧知の隣人がいる。つまり、アイデンティティがある。だからこそ町から町へと放浪できるのでしょう。寅さんのアイデンティティは葛飾柴又の人々によって守られているのです。
Rather than a man who left his home because he fell in love with a woman, he is more like a Japanese movie Otoko wa tsuraiyo (男はつらいよ, It's Tough Being a Man). Main character Tora-san is a traveling salesman who has a hometown to return to. Tora-san's talk is a confirmation of identity. Tora-san, who travels all over the country, has old neighbors with whom he shared family and time in Katsushika Shibamata. In other words, he can wander from town to town because he has an identity. Tora's identity is protected by the people of Katsushika Shibamata. That's what it is all about.
  
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